令和5年7月号(第156号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
神戸海岸通 1
KOBE KAIGANTORI
 兵庫県 神戸市中央区海岸通 ほか 神戸市HP

Feei KOBE HP




 明治初期に海岸線に沿って、現在のJR神戸駅北東側付近から旧居留地の南側に至る道路が整備され、「神戸海岸通り」と呼ばれるようになった。
 当初は、港に向かて木造の外国商館が建ち並ぶストリートだったが、神戸港の発展に伴って外国の企業と競い合うように、日本の商社や海運会社もこのエリアに進出するようになり、重々しい石造様式建築のビルが立ち並ぶ、国際港都神戸の表玄関らしい都市景観を形成するようになった。
 その後、第二次大戦や阪神淡路大震災をへて、これらのビル群は大きな被害を受けたが、歴史遺産を生かしたまちづくりを進めようとする機運の高まりの中、修復や再整備が取り組まれ、数多くの名建築がよみがえっている。
 さながら、我が国の近代建築を開拓していった著名な建築家たちの作品が建ち並ぶ「建築文化遺産通り」と呼んでもいいのかもしれない。
①旧市立生糸検査所 ②新港貿易会館 ③神戸税関 ④市立博物館  
 ←画像をクリック  
  ①旧市立生糸検査所 神戸税関の二代目の庁舎とほぼ同時期の昭和初期に、向かい合わせの位置に建築された。生糸は明治・大正・昭和初期にかけてわが国最大の輸出品だったため、そのような重要な位置に設置されたようだ。玄関アーチの上部に蚕の頭をデザインした彫刻が並んでいるのが面白い。
②新港貿易会館 神戸港周辺に散在していた貿易関係の事務所を集約するための「新港相互館」として、昭和初期に建築され、現在も同様のテナントビルとして使用されている。北隣の旧生糸検査所・筋向いの神戸税関と合わせ、このあたり一帯は昭和初期の神戸港周辺の町並みの姿を残している。
③神戸税関 幕末に兵庫運上所として開設されたものが、明治に入って神戸税関と改称されて引き継がれ、この建物は昭和初期に建築された二代目。阪神淡路大震災後、西側に二代目とデザインを統一して増築されている。円形の時計塔兼展望台がシンボリックだ。
④市立博物館 横浜正金銀行神戸支店として昭和10年に建築された。その後、東京銀行神戸支店をへて、昭和57年に市立博物館として再出発した。日本人初の英国公認建築士の資格を得た桜井小太郎の設計である。正面に6本の御影石張りギリシャオーダーが並ぶ気品ある意匠だ。