令和5年5月号(第154号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
関 内 1
KANNAI
 神奈川県 横浜市中区海岸通り ほか 横浜市HP

横浜観光情報HP




 

 幕末の神奈川開港に伴い整備された横浜の外国人居留地は、日本人とのトラブルを避けるため、周囲を掘割で囲い、堀に架けられた橋の前には関所が設けられた。つまり居留地は関所の内側にある、ということで「関内」と呼ばれるようになったそうである。
 関内に整然と区画された街路と町並みは、明治から大正・昭和を経て今日まで引き継がれ、横浜が大都市へと発展する中心的なエリアとして機能してきた。
 関東大震災や太平洋戦争の苦難に遭いながら、街の骨格となる街路や主要な建物は今日まで引き継がれ、現在の関内は近代的なビル群の中に、歴史的な建築物が数多く保存されている。
 「横浜三塔」と呼ばれているキングの塔(神奈川県本庁舎)・クイーンの塔(横浜税関)・ジャックの塔(横浜市開港記念館)をはじめ、明治から大正・昭和にかけて建築された名建築がエリア内に散在し、さながら近代名建築巡りが楽しめる。

 
①インド水塔 ②キングの塔 ③ジャックの塔 ④クイーンの塔  
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①インド水塔
 東大震災で亡くなったインド人への慰霊と、被災インド人の救済に尽力した横浜市民への感謝のしるしとして、在日インド人教会が建立した水飲み場。震災復興のための瓦礫処分場として、埋め立てられ造成された山下公園内に建てられているのが、さらに象徴的である。
②神奈川県本庁舎(キングの塔)設計案はコンペにより募集されたもので、一等当選案がこの作品である。昭和初期に建築され、左右対称形の端正で厳格な雰囲気が感じられ、正面中央の高塔は「キングの塔」と呼ばれている。和洋折衷のこのデザインは「帝冠様式」と名付けられ、以降、流行になったそうである。
③横浜市開港記念会館(ジャックの塔) 博物館のように見える建物だが、講堂や会議室からなるコミュニティ施設。横浜開港50周年記念事業として、コンペにより設計案が募集され、これがその当選案で大正6年に完成した。関東大震災によりドームと屋根は焼失したが、平成元年に復元されドームは「ジャックの塔」と呼ばれている。
④横浜税関(クイーンの塔)関東大震災のあと、その復興事業として昭和初期に建築された。シンプルでシャープなデザインで、屋上の紡錘型ドームをもつ塔は「クイーンの塔」の愛称で親しまれている。交差点の角にあるので陸からもよく見えるが、海上からの眺望に配慮して計画されたようだ。