令和5年4月号(第153号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
仙厳園 2
SENGAN-EN
 鹿児島県 鹿児島市吉野町 鹿児島市HP

仙厳園HP




  仙厳園は江戸時代初期に築かれた薩摩藩主・島津家の別邸。居宅である御殿を中心に、敷地の南側に接する鹿児島湾(錦江湾)を池に見立て、正面にそびえる桜島を築山に見立て、広大な敷地に粋を凝らした日本庭園を展開した壮大なお屋敷である。
 まるで京都に住む上流公家の住まいのようなたたずまいで、島津家は武家でありながら日本文化志向の高さと気位の高さがうかがえる。仙厳園のもう一つの特徴は幕末期に藩主となった斉彬の手による近代化への取り組み跡である。
 当時盛んだった欧米先進国のアジア進出に対抗するため、富国強兵を目指した工業化の実験が実施され、その足跡が「尚古集成館」として保存・展示されている。
 仙厳園は、NHKの大河ドラマ「篤姫」や「西郷どん」でロケに使用されたため、観光的には大いに関心を持たれているようだが、「壮大な日本庭園を持つお屋敷」という側面と「明治近代化の先駆けとなった実験場」という異なった側面を併せ持っている。
⑤錫 門 ⑥尚古集成館 ⑦磯工芸館 ⑧磯珈琲館  
 ←画像をクリック  
  ⑤鈴 門 屋根を薩摩の特産品である錫で葺いたことからこの名で呼ばれている。江戸末期に庭園が拡張されるまでは、仙厳園の正門だった。ここだけが朱塗りになっていて、ずいぶんと目立つ。昔は両側に門番が立っていたのかもしれない。
⑥尚古集成館 江戸末期に島津斉彬が建設した「旧集成館機械工場」。現在は「尚古集成館」と名付けられ、島津家の歴史・文化を紹介する博物館として活用されている。現代風の簡易な構造の工場と違い、石造りの重厚な雰囲気をもつ建物である。
⑦磯工芸館 磯工芸館は、もとは島津家の吉野殖林所の管理事務所で明治42年に建築されたものだが、現在は薩摩切子を展示・販売するショップに衣替えしている。薩摩切子は、島津斉彬が生みの親となった薩摩の特産品である。斉彬の実業家としての活動の一部を伝える建物といえよう。
⑧磯珈琲館 串木野の芹ケ野に、明治37年建築された島津家の金山鉱業事務所が、昭和61年に仙厳園の隣接地に移設され喫茶店として活用されている。2階ベランダは連続アーチと列柱でデザインされ洋館風だが、玄関や張り出し部分にはムクリ屋根がかけられ和風のテイストも含まれている。