令和5年3月号(第152号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
仙厳園 1
SENGAN-EN
 鹿児島県 鹿児島市吉野町 鹿児島市HP

仙厳園HP




  仙厳園は江戸時代初期に築かれた薩摩藩主・島津家の別邸。居宅である御殿を中心に、敷地の南側に接する鹿児島湾(錦江湾)を池に見立て、正面にそびえる桜島を築山に見立て、広大な敷地に粋を凝らした日本庭園を展開した壮大なお屋敷である。
 まるで京都に住む上流公家の住まいのようなたたずまいで、島津家は武家でありながら日本文化志向の高さと気位の高さがうかがえる。仙厳園のもう一つの特徴は幕末期に藩主となった斉彬の手による近代化への取り組み跡である。
 当時盛んだった欧米先進国のアジア進出に対抗するため、富国強兵を目指した工業化の実験が実施され、その足跡が「尚古集成館」として保存・展示されている。
 仙厳園は、NHKの大河ドラマ「篤姫」や「西郷どん」でロケに使用されたため、観光的には大いに関心を持たれているようだが、「壮大な日本庭園を持つお屋敷」という側面と「明治近代化の先駆けとなった実験場」という異なった側面を併せ持っている。
①秀成荘 ②御 殿 ③正 門 ④薩摩のれん  
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  ①秀成荘 昭和62年に建てられた茶室。江戸末期に島津斉彬が築いた「集成館」事業を、明治になって島津忠義は「就成所」として引き継いだ。「秀成荘」はこの「就成所」にちなんで名づけられたそうである。茶室にしては規模が大きいので、イベント向けの建物なのかもしれない。
②御 殿 この町並みのような一かたまりの建物群全体が御殿。江戸時代は島津家の別邸として、明治に入ってからは本邸としてつかわれていたそうである。正面に鹿児島湾が広がり、その向こうに桜島を望む絶好のロケーションで、贅沢を極めた別荘かつ迎賓館だったのだろう。
③正 門 明治に入ってから御殿を島津家の本邸として使用するようになってから建造された門。いつ戦争が起こるかもしれない江戸時代ならともかく、単なる住居の正門にしてはずいぶんとものものしい印象を受ける。藩主ではなくなった後でも島津家の威厳を示したかったのだろう。
④薩摩のれん お菓子や民芸品を販売するショップ。最近の建物のようだが、古い町家が数軒並んでいるように景観デザインされていて、お屋敷の庭園内でありながらよくなじんでいる。一般の住宅地もこのように周辺環境に配慮したデザインがされれば・・・と思うのだが。