令和5年1月号(第150号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
北 野 3
KITANOI
 兵庫県 神戸市中央区北野町 ほか 神戸市HP

神戸観光局HP

神戸市北野町山本通り

伝統的建造物群保存地区
 江戸末期、日米修好和親条約が結ばれ、兵庫が開港地の一つに指定されて以降、明治にかけて欧米の役人や商人たちが神戸にやってきて活動を始めた。
 彼らの活動エリアは海岸線の港に近い居留地に制限されていたが、住居は特に制限がなかったため、居留地の北側に連なる六甲山の山麓に思い思いの居を構えた。それが現在、異人館街と呼ばれている北野ゾーンである。
 東南アジアを経由して日本にやってきた欧米人は、夏の暑さに日本を亜熱帯の国と勘違いしたようで、涼を得るために、住まいをバンガロー風にしてみたものの、冬の寒さには耐えきれず、ベランダに建具を取り付けて寒風をしのいだ形跡がある。居留地の建物が石づくり中心なのに対して、北野の異人館は大半が木造なのも対照的で面白い。
 今日でも外国人が多く居住する北野の異人館街は、今や国際都市神戸のイメージを代表する観光ゾーンとしてすっかり市民生活に定着している。
⑨東天閣 ⑩神戸ムスリムモスク ⑪旧ゲンセン邸 ⑫神戸物語館  
 ←画像をクリック  
  ⑨東天閣(旧ビショップ邸) 明治中期に建てられた住宅で、12階の正面にギリシャオーダー風の列柱を配し、レンガ造の煙突を載せた気品あるデザインのたたずまいである。現在では「東天閣」という屋号の中華料理店がこの建物で長く営業を続けており、神戸市民には広くその名が浸透している。
⑩神戸ムスリムモスク 昭和10年に建築され、第二次大戦と阪神大震災を潜り抜けて、日本にあるモスクとしては東京とここ神戸の2か所しかない貴重な建物である。今では周りに高層ビルが建て込んで目立ちにくくなっているが、前を通りかかる人はみな一様に玉ねぎ型のドームを珍しそうに見上げて通り過ぎていく。
⑪旧ゲンセン邸 明治末期にゲンセン邸として建てられた邸宅で、現在は華僑総会会館として利用されている。長いレンガ造の塀越しに、白壁と深緑色の窓を備えた建物が望め、色彩の対比が美しい。反対側の南側は、高い石垣の上にベランダが広がっており、当時は素晴らしい眺望だったのだろう。
⑫神戸物語館 明治末期に建築された米国人住宅。その後、ドイツ人のパン職人の住まいとなり、その職人がNHKの朝ドラ「風見鶏」の主人公のモデルとされたことから、「北野物語館」と名付けられた。現在は「スターバックス」の店舗として活用されている。