令和3年10月号(第135号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
井 波
INAMI
 富山県 南砺市井波 南砺市HP

南砺市観光協会HP




 井波は、浄土真宗の大伽藍をもつ瑞泉寺を中心に発展した門前町である。瑞泉寺は室町時代に建立され、戦国時代には170の寺院を支配する権力を誇っていたが、江戸中期に火災で焼失した。
 再建のため京都本願寺から御用彫刻師が井波に派遣され、地元の大工に彫刻の技術を伝えたことから、井波は門前町としての性格に加えて彫刻の町としての歴史が始まり、今日までその伝統が受け継がれている。
 特に、瑞泉寺の表参道にあたる八日町通りは石畳が敷かれ、その両側には彫刻工房を営む町家が軒を連ね、落ち着いた町並みを形成している。今日でも井波には、200軒を超える木彫刻を営む工房が活動を続けており、関西地方の秋祭りに欠かせないだんじりも、井波で製造されたものが多いそうだ。
 2018
年には日本遺産「木彫刻のまち井波」として認定され、公的な支援の下に歴史を生かしたまちづくりが進められている。
@旧 井波駅舎 A八日町通り B斎賀家住宅 C瑞泉寺
 
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  @旧 井波駅舎 大正4年に砺波地方の動脈として砺波鉄道(のちに加越線)が敷設され、瑞泉寺への参道の玄関口として井波駅が設置された。この駅舎は昭和9年に宮大工の手により設計施工された。仏閣のような重厚な意匠でとても駅舎には見えない。現在、物産展示館兼バス待合所として使われている。
A八日町通り 八日町通りは瑞泉寺に向かう表参道。石畳で整備された広い参道の両側には、木彫り看板を掲げた工房が古い町家とともに軒を連ねている。土産物店や飲食店が建ち並ぶ一般的な参道とは異なり、職人町らしい落ち着いた空気が流れている。

B斎賀家住宅 斎賀家は「糀屋」という屋号を持つ江戸時代の豪商。建物は江戸末期ものと考えられている。1階の板葺軒庇の下にさらに板製の小庇(雁木)がある。雁木が残されている建物は少ないが、これが井波町家の特徴だそうだ。寒い地方なので冬場の雪よけ・霜よけらしい。

C瑞泉寺 瑞泉寺は現存する北陸最大の木造建築といわれている。あたりを威圧するような威厳をたたえた巨大な山門には、随所に精緻な彫刻が施されている。井波の木彫り職人と宮大工のエネルギーが注ぎ込まれて造られた建物で、井波を木彫り職人の町に育てた原点といえよう。