令和3年4月号(第129号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
知 覧 1
CHIRAN
 鹿児島県 南九州市知覧町郡 南九州市HP

南九州市知覧観光協会HP

南九州市知覧

伝統的建造物群保存地区

 知覧といえば、まず思い起こされるのは、第二次大戦末期に陸軍特攻基地の一つとなり、数多くの青年たちを悲惨な末路に追い込んでいった悲しみの過去である。
 現在、特攻基地跡に知覧平和記念館が建設され、このむなしい歴史のすがたが伝えられている。
 この基地跡のすぐ近くに、江戸時代に建設された武家屋敷街が保存されている。薩摩藩は鹿児島城下の他に、藩内各地に麓(ふもと)と呼ばれる武士の集住地をつくり、これを外城(とじょう)と称して防衛拠点ネットワークを形成していた。
 その数は
100を超えていたようで、知覧はその代表的な集落の一つである。知覧集落の景観上の特徴は、街路に沿った石垣とその上に連なるダイナミックに刈り込まれた生垣にある。山並みのうねりが連なり、かつ折り重なるように刈り整えられた様子は、たいへん絵画的で道行く人々の目を楽しませてくれる。
 このような景観が、江戸時代から引き継がれ守られている努力に敬意を表したい。
@矢びつ橋 A旧 高城家住宅 B本馬場通り C佐多美舟庭園  
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  @矢びつ橋 集落の北はずれに、集落に沿って流れる麓川に大小2連アーチの石造り橋が架かっている。江戸末期に、上流にある永久橋の残材を使って建造されたそうで、手すりもなく素朴な味わいがある。付近の河原は親水公園として整備され、橋はモニュメントのようだ。
A旧 高城家住宅 江戸期に建築された武家住宅。「知覧型二ツ家」と呼ばれる民家形式で、左側の居住用「おもて」と右側の台所などの水回りのある「なかえ」が連結されている。2棟が連結された民家形式は東北の「曲家」をはじめ全国各地にみられるがほとんど農家で、武家住宅では珍しい。

B本馬場通り 武家屋敷街を東西に貫くメインストリート。街路は宅地を溝のように彫り込んで造成したそうで、そのため宅地側には土留めを兼ねた石垣が築かれている。石垣の上にはうねるように大胆に刈り込まれた生垣が整えられ、知覧独特の景観が続く。

C佐多美舟庭園 知覧武家屋敷街には、江戸中期に造成された枯山水の京風庭園が7か所残されていて公開されている。この庭園もその一つで、残されている庭園群の中で最も広く豪華だとされている。丁寧に整えられた植栽や石積みを見ていると薩摩武士の繊細な一面がうかがえる。