ハザエルがアラムの王になった経緯が、8:7〜15に記されています。エリシャがダマスコに来たとき、病気であったアラムの王ベン・ハザトは、自分の病気が治るかどうかを、ハザエルに聞きに行かせます。エリシャは言います、「行って王に言うがいい。「あなたは必ず治る」と。しかし、主は彼が必ず死ぬことをわたしに示された」と。そのことを語った後、エリシャは、上記聖句のようにハザエルを見て涙を流します。ハザエルがイスラエルに災いをもたらす(殺す)ことになるからだと、その理由を言っています。ハゼエルは王のもとに戻って、エリシャが必ず治ると言った旨伝えますが、その翌日には、ハザエルは濡れた布を王の顔に乗せて殺します。そしてハザエルが王になるのです。
この言葉は、列王記上19:15で、主が「ハザエルに油を注いで彼をアラムの王とせよ」とエリヤに語った、その言葉がエリヤの後継者であるエリシャによって成就したということを告げています。列王記上19章と列王記下8章との間に、どれほどの時間的経過があるのかは、不明です。しかし、主なる神の仰せになったことは、どれほどの時間的隔たりあったとしても、必ず実現するのです。列王記上19章にそんなことが書いてあったことを、わたしたちは覚えていないでしょう。それほど小さなことであっても、それが御心であれば、成就するのです。
エリシャはハザエルを見て涙しました。前王を殺害することになるという悲惨を覚えてのことでしょう。主イエスもエルサレムの都が、罪の故に滅びることになることを思って泣きました(ルカ19:41)。しかしその罪は、主イエスご自身が負うてくださいました。そのことを思う時、わたしたちは感謝の涙を流さざるを得ませんし、同時に御子を十字架に渡してまで、わたしたちを救い給う主の恵みの御心を思って、主への信頼を新にせざるを得ないのです。
|