京都撮影講座

おおげさなタイトルですが京都を撮影しようとされる方へのアドバイスみたいなものです。

京都は冬寒く、夏暑く、四季がはっきりとわかれています。それだけに京都の紅葉、桜は美しいのです。また、京都は第二次世界大戦の空襲にあって無いため古い民家、看板がまだあります。近代ビルから、大正、明治の洋館、江戸以前の日本建築など日本歴史のすべての時期の建物、お庭を見ることができます。だから撮影テーマは一杯あってその結果散漫になってしまうかも知れません。自分のテーマ、アプローチを持つことが大切ではないでしょうか。

1.撮影する機材は何が良いか
2.三脚について
3.花の撮影
4.桜の撮影
5.紅葉の撮影
6.雪景色の撮影
7.祭の撮影

1.撮影する機材は

  • カメラ
    デジタル一眼、35mm小型カメラ、または645など中形カメラがお薦めです。中形カメラをメインに使用されるかたは絞り込むためシャッタースピードが遅くなるため三脚は必要となりますが京都は三脚使用禁止の社寺も多いため手持ちでも撮影できる様35mmカメラも持たれることをお勧めします。デジタルカメラ、35mmは一眼レフがおすすめです。ファインダーでみたとおりに撮影できると言うメリットははかり知れません。できたらプレビュー(絞り込み)機能がついたカメラがぼけ具合がわかるためカメラ購入の時の条件と考えて下さい。
  • レンズ
    標準ズームでほとんどの写真が撮影できます。特に京都は庭とかが多いので標準ズームは28mmからはじまるレンズが便利と思います。さらに70〜200の望遠レンズがあれば完璧です。反対に300mmなどの超望遠は使用する機会はあまりないでしょう。それより、ちょっとした花のアップなどでマクロレンズを持たれた方が良いと思います。
  • フィルム、フィルター
    リバーサルフィルムがお薦めです。保存や色再現性を考えるとネガよりも良いと思います。私は通常はベルビア100、手持ちや祭など動きのある被写体の時はプロビアを使用しています。フィルターは風景写真の基本としてPLがあれば良いと思います。後、京都の町をソフトフォーカスで撮っても面白いと思うのでフォーギーなどソフト系のフィルターも面白いのではないでしょうか。
  • 2.三脚について
     寺社では三脚中止のところが多いです。例えば、金閣寺、竜安寺の石庭、光悦寺、三千院、祇王寺、桜の花の寺、紅葉の東福寺、紅葉の永間堂、等持院、随心院、蓮の三室戸寺、紅葉の高山寺、正法寺の庭、法金剛院など多数あります。
    また平安神宮みたいに三脚使用料(2000円だったと思います)を払うと三脚を使える所もあります。
    どちらにしても狭い境内の道に三脚を立てたら道が塞がってしまうし、さらに光待ち、風待ち、もっとひどいのは雲待ちなんて長時間そこに居座られたら他の人に非常に迷惑です。そこはあんただけの場所ではないのです。さらに庭の中に三脚を立て苔を台無しにしてしまう人も多数います。苔が傷付いたら修復にどれくらい時間がかかるでしょうか。さらに三脚は地面に直接たてますので靴と同じです。それを建物の中で使うとすれば靴をはいたままでいるのと同じです。要するに良い写真を撮るために手段を選ばない人、礼儀知らずは写真を撮る資格すらありません。その前に社会人としても失格です。みんなが気持ちよくできるよう控えめに、撮影させてもらっているのだという謙虚な気持ちを持ちましょう。そういう判断基準をもてばおのずと三脚を使用しても良いかどうかわかるようになると思います。

    3.花の撮影
     当たり前の話ですが花が咲いている時期に行かなければなんにもなりません。地元に住んでいるならともかく遠くから旅行で来る方にとってなかなか難しいです。それでも京都は四季それぞれ何かの花が名所に咲いてます。まず自分が行く時期にどこが見どころか確認した方が良いです。各時期の花の見頃は私のホームページでも紹介してますし京都の四季では撮影日も書いてますので参考にして下さい。
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     主題と副主題
     映画に主役と脇役があるように写真も主役と脇役がいます。脇役は出しゃばらず常に主役を引き立てます。反対に主役だけでは映画はできません。同じように京都の景色も主役と脇役があります。ゆうめいな景色に清水寺の三重の塔と桜があります。桜が主役なら三重の塔は脇役です。一つの基準として主役にピントが来て露出も適正にあわせます。主役も脇役もなんて欲張るとかえって中途半端な写真となります。スポットライトは常に主役にこれは基本です。反対に三重の塔が主役なら塔にピント、露出をあわせて下さい。そう言っても初めての景色と向き合ってなかなか実行できるものでありません。だから、絞りも浅く、深くと変え露出も変えていろいろなパターンを撮影して下さい。そのうち自分の好みの絵、スタイルができて行きます。有名な写真家の作品を見て勉強するのも良いです。
     構図は主題をど真ん中に持ってくるのはやめましょう。こういう構図は日の丸構図と言います。画面を上下左右三等分し三等分した線上に主題をおいたり空との境目を持ってくると画面は安定します。ここまでは写真教室などで良く言われている事です。
    でも、面白い写真は1対2ではなく、1対3とは4対6とかバリエーションをつけ、被写体は全部を写すのではなく、一部分を写し、画面に写ってないところは見る人の想像にまかすと言うのが私の撮影スタイルです。
    なんかわからない時には自分が写したい物をまずファインダーに入れ、この中からホントに写したい物を全体にクローズアップしさらに外せない対象を80%を画面いっぱいに写せば自分の主張したい物が明確になります。なんでも写すのは結果主題がわからない写真になってしまいます。
    マクロ撮影は別に京都でなければいけない理由もありませんのでここでは何もいいません。

     天気は
     晴れた日に日光に照らされた被写体は一番発色もきれいです。舞台にスポットライトで照らされたスターと同じです。でも日陰の部分との露出の差も大きいことも考えて下さい。めりはりのある画面が得られますがその分日陰の部分もディティールもなんてあまり欲張らないようにしましょう。空は順光の時(太陽を背にすると)青空になります。反対に逆光では空は白くなり+に露出補正が必要となります。さらにレンズに光が入るとフレアが発生するためはれ切りが必要となります。京都の石庭は白い石がメインになるので白が飛んでしまい思ったより満足の行く結果につながりません。
     曇の日は影ができないため案外撮影に最適です。一つ注意しなければいけないのは空が白く、空を入れて絵づくりすると画面がしまらなくなり露出も空の白に引っ張られアンダーになってしまいます。空は入れない様な構図を心掛けて下さい。
     雨の日、最近私は雨の撮影が気に入ってます。光は曇と同じ。花や地面が濡れて色っぽく感じられます。それに雨の日は人も少ないのでじっくりと撮影できます。ようするに良い写真をとれないのは天気や機材のせいではありません。あたえられた条件で一番良い結果がでるように努力すればおのずと良い写真がとれるようになると思います。

    4.桜の撮影
     桜は花の時期が非常に短いです。でも京都は山間部、平野部、染井吉野、しだれ、八重の紅枝垂れと開花時期が様々で4月にはいると20日過ぎまで桜を楽しめます。また桜の季節は観光客、カメラマンが有名観光地に集中します。特にカメラマンは嵐山、哲学の道、祇園白川南通りと有名なところに集中しますからこの場所は避けましょう。人と同じもの撮ったってしょうがないでしょう。でもどうしても撮影したい方は朝の8時までには撮影終了するようにして下さい。朝7時頃なら比較的すいてます。雨の日もねらい目です。言い換えればお昼頃撮影にきても人も多いし三脚で桜の周りは一杯。風待ち、雲待ち、粘る人も多いので写真撮影なんてとんでもない。時間を無駄にするだけです。
    露出は。桜の花びらは白か淡いピンクです。カメラ内臓の露出系ではアンダーになってしまいますのでプラスに補正する必要があります。画面一杯に桜を入れた場合プラス0.7から1ぐらい補正します。桜が画面にしめる面積を考えながら補正して下さい。青空をバックにしてもプラス0.7以上、下から見上げる場合1(青空)から1.7(曇り)以上の補正が必要となります。反対に透過光、光に照らされてバックが暗い場合はマイナス補正となります。カメラの露出計の癖もありますので段階露出をして下さい。この基準はニコンのマルチパターン測光を基準に書いてます。中央部重点の場合すこし補正幅を大きくすれば良いと思います。ちなみに私はペンタックスの645で中央部重点を使用してますがニコンの中央部重点ににくらべて+めに出てくるので補正幅はニコンと同じかすこし大きくしてます。
    最後に桜は生き物です。またデリケートな植物です。どうか桜の根は踏まないように撮影して下さい。 

    5.紅葉の撮影
     紅葉も桜の時期と同様観光客、カメラマンで一杯になります。桜と紅葉の時期になると思うのですがカメラマンの方は他の季節何をしてはるのでしょうか。とりあえず、京都は人人人で一杯になります。桜と同様、嵐山、哲学の道は早朝の撮影がお薦めです。
    紅葉の露出は順光の場合、補正無しか、赤を強調したい時マイナス0.3から0.7補正します。黄葉の場合プラス0.7ぐらいして下さい。紅葉と黄葉がおなじ画面に入れる場合はどちらを主題にするかで補正は決定します。順光の場合PLフィルターでよけいな反射光を取り除くとあざやかな赤があらわれます。是非使用して下さい。ほんとのきれいさは逆光での透過光でみた紅葉です。バックにより補正値を変えて下さい。黒っぽいばっくならマイナス、桜と同様下から空に見上げる時はプラス1.3以上紅葉の時は1.7ぐらい補正して下さい。

    6.雪景色の撮影
     京都は冬寒いけれど、雪はめったに降りません。降ったとしても積もる雪はごく稀です。仮に京都で雪が積もったら高速道路は通行禁止、新幹線も止まっちゃいます。雪が積もったとしてもお昼までにとけてしまいます。ということで京都の雪景色の撮影はチャンスに恵まれなければ無理なので非常に難しいです。雪が降ったり積もったら朝早くから出かけましょう。清水寺の雪景色が有名ですけど途中の二年坂、三年坂は石の階段、雪でこけないように気をつけましょう。金閣寺も9時に拝観開始なので開門と同時に入れる様行きましょう。9時では雪はとけはじめます。
    露出は雪を白く表現するにはプラス1.3〜1.7補正する必要があります。でも、京都の場合、庭とか建物も一緒に写し、それが主題となるのでプラス0.7から1ぐらいの補正が良いと思います。
    雪にはえる被写体としては神社の赤い建物、赤い山茶花、紅梅など雪の白に対してはえる物が良いです。めったに無いチャンスなので雪が積もったら効率良く写すようしましょう。

    7.祭の撮影
     京都三大祭は春の葵祭、夏の祇園祭、秋の時代祭です。これらはすべて行列です。まず、祭の撮影をする時に気をつけていただきたいのは他の人に迷惑になってはいけないことです。一番止めてほしいこと。葵祭、時代祭には牛や馬が多数登場します。ストロボ、フラッシュは絶対に使用しないで下さい。牛や馬が驚いてしまいます。祇園祭の宵山はストロボを使用してもかまいません。三脚も止めましょう。沿道、多数の人が見物します。あなたの三脚で一人の人が前で見れます。第一、祭は動きあるものですから三脚なんて必要ありません。葵祭、時代祭には御所の所で三脚を早朝より立てている人がおられますが迷惑そのものです。御所内ではテレビカメラ以外三脚使用禁止にすべきだと思います。
    祭にまでPLフィルターを使用している人がいます。祭はシャッタースピードは早くなるよう、PLフィルターの使用はやめましょう。
    祭はだいたい標準レンズがあれば撮影できます。葵祭、時代祭を御所内で撮影する時は行列まで距離が少しあるので望遠ズームが便利です。後はシャッターチャンスだけです。がんばって下さい。
    後、警備のおまわりさんを困らせるような行為はやめましょうね。

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