ヤジャーガマの娘

鍾乳洞の入り口にブロック造の2坪ほどの掘っ立て小屋がひっそりと建っていました。外装工事なしの地味な建物です。まさか中に人がいるなどとは思いませんでした。

通り過ぎようとすると、中からかなりラフな服装の若い女性に呼び止められました。入場料を払えと言われまして、値段をきくとなぜか電卓で計算をして、
2400円
(3人)と言われました。内訳はなし。料金を明示する看板もなし。当然パンフもなし。

「高すぎるやん。そんな金額を払うほどの値打ちがあるのん?」

「中はこういうものです」(と無表情に壁面に貼られた写真を指差す)

小屋の中には冷蔵庫と椅子があって、テレビがワイドショーをやっています。やる気のないイヌとトイレも隣りにあります。でも料金表がない!怪しい小屋です。

「あなた、町の職員?」

「さあ。」

「民間? ここはどこかの会社の施設なん?」

「さあ。」

「そしたら、ここの経営は誰やのん?」

私があまりネチネチとからむので、同行人から「ええやん、奥へ行こう」と促されました。久米島娘は化粧っけもなく素朴そうに見えましたが、関西女の追及に一向に動じることなく、したたかでした。

私らの払った料金があの娘の日当とちがうのん?!

 

島の観光地は殆ど無料です。上江州家などの民家も、ウミガメ館のような新しい施設でさえも大人300円です。ヤジャーガマは久米島にきていちばんたくさんお金を払ったところだったのでした。

ところで、鍾乳洞の中身はかなり立派に発達していてみごとなもの。足元に投光機も足場も施工されていて、設備投資と維持費だと思えば納得やないかと諭され、騒がずにそおっと帰ったのでした。

帰宅後、一人800円(2004年)だったという記事をみつけました。だったら、ハチサン二十四や!電卓は要らないでしょう。 !(゚Д゚)クワッ

一人500円(2001年)というパターンも発見しました。リンクの下のほうです。「僕のことをチラッと見る。…なんか、威圧されちゃうよ、この雰囲気…小屋の中の雰囲気もそうだが、このガマの周辺の雰囲気も一種独特の空気に包まれている。」 

この記事を書くのにさらに調べていると、入り口付近に料金を支払う小屋があります。公的に認められてませんので支払う必要はございませんという記事(動画ですが、内部の様子がよくわかる)をみつけました。久米島娘、あなどりがたし。

そして、さらに調べていくうちに真相がつかめました。

ヤジャーガマには一部個人の私有地が含まれているらしいのです。一部というからには、大部分は久米島のものなのでしょうね。その一部の持ち主がヤジャーガマ娘だったわけです。久米島観光協会が管理しているわけでもなさそうです。私はあの設備を作った人に支払たかったのです。

久米島観光協会HP

久米島観光協会お問合せ&お知らせ用掲示板にていねいな回答がありました。そこで発覚。2005年2月には500円、3月には750円、価格は季節によって変動するようです。

2400円(のうち90%くらい)は久米島へ流れるべきお金だったのでした。お人よしすぎるくらいが、島んちゅらしいです。

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