当麻寺 |
「当麻寺(たいまでら)」は、二上山(にじょうざん・古くはふたがみやま)の東麓の奈良
奈良は京都と違って左右対称の伽藍配置でありますが、当麻寺ではそれらの原則を気
塔崇拝から仏像崇拝に変わる時代とはいえ金堂と塔は殆ど同時期に着手すべきで舎利
古代の伽藍形式では金堂と講堂があり、後世には金堂と講堂の役目を果たす本堂が誕 |
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「近鉄南大阪線・当麻寺駅」から当麻寺に向かう途中に、「当麻蹶速(たいまのけは |
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当麻蹶速之塚と過ぎると間もなく右前方に「二上山」が見えてきます。
二上山を越えた西側の磯長谷(しながだに)(河内郡太子町)には歴代の天皇陵や古墳
死火山二上山は凝灰岩の産地でありましたので奈良の寺院の基壇などに多く使われ
夕日の撮影に3月13日に「桧原神社」へ行きましたらカメラマンの数が少ないので社 |
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鬱蒼とした樹間に埋もれた東西 |
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当麻寺駅から「東大門」まで徒歩で |
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「石灯籠」は金堂の前庭にドンと座ってお |
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「東大門」を入って最初に目に |
高さは2.17m。二上山で産出した凝灰岩で |
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「金堂」は興福寺別当が |
白壁と腐食した木組みで昔の面影をひっそりととどめる金堂ですが少し小規模の印 |
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「弥勒仏坐像」は像高
2.2mで丈六仏より一回 |
を六頭身ぐらいの大きさに造っておりました。その流れを受けて本尊も頭部は大きめ |
![]() 南山弥勒谷石仏坐像 |
![]() 軍威三尊石仏 阿弥陀三尊像 |
当麻氏は新羅に派遣されるなど新羅との交流がありました影響で新羅仏の造形様式 |
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![]() 持 国 天 像 |
本尊は塑像で「四天王像」が脱活乾漆造でありますこ とから何故素材の違いが出たのか不思議です。塑像の 安価な粘土に比べ脱活乾漆像は割高な高純度の漆で制 作されました。 ランク付けをすると如来、菩薩、(不動明王)、天部 となりますから素材の使い方から考えられることは創 像当時は弥勒三尊像であったのが脇侍が失われたので どこからか移安されてきたのでしょう。それというの も、金堂内には脇侍と四天王の両方を安置するスペー スはありません。 白鳳時代の作で脱活乾漆造の現存最古の四天王像で すが一般的な脱活乾漆造と違うところは像の胴部辺り の造りは、桐の薄板で作られた円筒状のうえに「乾漆」 で整形仕上げをしていることで、このことは脱活乾漆 像の制作において試行錯誤した結果でありましょう。 「持国天像」は「法隆寺金堂四天王像」と同じように憤 怒相でなく穏やかな顔付きで脚を少し開いた直立不動 の姿勢です。 襟のたった甲、肩には布を巻き、長い袖、裳裾の広 がりなど手の込んだ甲の表現は見事です。法隆寺金堂 |
四天王像の甲は丸首ですが後世の様式である襟が前開きになっております。 見事な顎鬚と口髭を付けた日本人離れをした表情で、これほど異国的な顔貌は他で は見たことがありません。これらの鬚髭(しゅし・あごひげとくちひげ)の表現が出来 たのも乾漆なので難しくはなかったことでしょう。というのも、木彫像でも髪の毛な どの細かい表現には乾漆で制作することがあります。飛鳥から白鳳時代の作と言われ る「法隆寺六観音像」も素材は樟ですが髪の毛などは乾漆で造られております。 邪鬼は手を組んで蹲り畏まっております。邪鬼は法隆寺では台座のような大きさで あるのに対し小さくて、邪鬼が少しでももがけば四天王は滑り落ちそうでありますが 白鳳時代の邪鬼は大人しいです。次の天平時代になりますと四天王の動きにつれて邪 鬼も踏みつけられた重圧から逃れようと仰向けや横向きになり暴れて反抗するように なります。 現存では法隆寺に続いて二番目に古い四天王像ですが南都焼討ちで蒙った損傷の補 修をもう少し丁寧にしておれば、間違いなく「国宝」に指定されていたのに残念ながら 「重要文化財」です。ただ、南都焼討ちでの損傷とするともう既に本尊の脇侍は存在し なかったことになり難しい問題です。 |
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「講堂」は「金堂」と同じく |
経典の解説の聴聞や法要などが行われたので多くの僧が参加するため金堂より大き |
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「本堂」は東面して建ち、創建当時の本堂は天平時代の住宅建築古材を転用しての建 |
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![]() 木瓦葺と蟇股 |
本堂の背面には「閼伽棚(あかだな)」がありますが付属的な建物には見えず閼伽井屋 |
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本堂の本尊である「当麻曼荼羅」で |
厨子は金銀泥で多種多様な文様を描かれており、須弥壇には黒漆地に朱で描かれた |
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「中将姫」といえば当麻寺、当麻寺といえば中将姫というぐらい |
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「東塔」「西塔」は金堂より離れた台地に |
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「東塔」は天平時代の創建です。 |
東塔は構造上大変不利であるのに、二重、三重ともに方二間で特異な構造です。「薬 |
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「水煙」の形は魚の骨のような珍しいものですが何をデザインされたのでしょうか。 |
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「西塔」は25.2mで東塔より0.8m高くなっ |
は塔頭「西南院」の池泉回遊式庭園の「みはし台」から少し回遊した場所からです。 |
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![]() 水煙(法隆寺五重塔) |
「水煙」は火炎状に配置した未敷蓮華 |
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「法隆寺五重塔」の水煙によく似て |
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牡丹園は「当麻寺中之坊」にあり、是非中之坊も訪れますようお勧めいたします。 |
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![]() |
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![]() |
中之坊の庭園にて |
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「石光寺(せつこうじ)」は当麻寺から |
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「染の井」は「當麻曼陀羅」に用いられた |
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以上 2001年 5月10日 撮影 |
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以上 2002年 2月16日撮影 |
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