ある風車被害者の独白6

新聞記事「風力発電9月着工」
                           2012年8月16日



風力発電9月着工

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-194783-storytopic-5.html

新聞記事(琉球新報)の見出しです。また、沖縄に風車ができるようです。そして、新たな犠牲者が出るのでしょう。記事の中では、「問題が発生した場合、村は設備の停止などを沖縄電力に求めるとした。」「(沖縄電力は)村から要請があれば停止する。苦情は迅速に対応する(と説明した)」とあります。

しかし、私の経験からすると、風車が建てられたら終わりです。早く阻止すべきです。

「要請があれば停止」・・・

扇風機を止めるように、簡単に風車を止めるわけなどありません。巨額の費用を投じて建設したものを、少数の被害住民のために簡単に停止したり、撤去したりするなどありえません。村と電力会社が苦情を問題と認識しなければ、問題は無いことになり、迅速に対応する必要もないのです。現場検証を行う立場に無い医師も、「風車による健康被害」というような診断書を書けないでしょう。健康被害の原因が風車であるとは、誰も断定できず、“風車と健康被害の科学的因果関係は認められない、騒音も低周波音も受忍限度内”となり、問題は何もないということになっていきます。

2008年に、わが町の風車が運転を始めましたが、気がついたら、山の尾根に風車(1000kw 16基)が建てられていた、という状態でした。事前に、住民には知らされることもなく、説明会も何もありませんでした。2011年には、2000kw 5基がさらに加わりました。

今は当時とは異なり、地権者だけではなく、地元の同意書や住民への説明会も必須となり、場合によっては環境アセスも義務づけられています。また、風車による健康被害も既に知れ渡り、住民反対運動も各地におこり、補助金交付がなくなったこともあって、風車の建設は今後、困難になると思っていました。しかし、固定価格買取制度が導入され、その高額な価格設定が魅力なのか、当地でも、新たな建設計画があり、業者は言葉巧みに、いろいろな餌をちらつかせています。

 風車建設予定地の人達とも会合を持って、わかってきたことですが、ある地区は“区費”といういわゆる自治会費が、風車建設で無料になるとか、地区の集会所を業者が無償建設する、あるいは山に道路をつける等の甘言にのり、風車建設に賛成する住民がいるようです。地元業者が潤い、町には固定資産税の収入が増え、少しでも恩恵に与る人々は多少の被害があっても許容し、私のように深刻な被害を受け、風車の撤去を求める人間を排除しようとするのでしょう。この手法は、各地で行われている常套手段のようです。

 風車が建設されると、このように“害を被る人”と“恩恵に与る人”に二分され、人々の信頼関係は崩壊していきます。人口の少ない、過疎の地域で、さらに住民が分断され、被害者の声は地域にも行政にも黙殺され、ついには問題など全く無いとされていきます。

どんなに条件を付けても、風車が建てられたら、もう終わりです。

 


 ”脱原発”の世の声に押されて、原発から自然エネルギーへの転換が国策として進められています。巨額のお金が動き、それに群がるように多くの業者が風車建設に参入し、風車被害者は、まるで地域の生贄のように扱われています。

 三重県度会町では、風車建設計画が明らかになってすぐに、町有志が学習会を持ち、HPを開設して風車建設に反対してきました。そして、半年を経て、森林組合は投票選挙で建設反対と決議しました。(組合員数92名のうち、賛成32、反対50)

 この度会町のように迅速に反対運動が行われても、賛成派が1/3を占めることに驚きます。業者は、その後、高額な山の借地料を提示していますが、業者はこれからも風況のよい過疎地を狙い、より姑息な手段をとって風車建設を行なっていくのでしょう。