解説 鱗形
北条の時政は、旗印にする家紋を選定するために、日頃から信心している、江ノ島の弁財天にお詣りしました。 参詣の路上で、一人の女性が声を掛けてきました。信心深い時政の、望みを叶えようと云います。時政が不思議に思って、名を尋ねますと、夜になるのを待ちなさいと云って,社壇の扉を開いて中に入って行きました。 やがて夜になって、御殿の中より弁財天が姿を現し、時政に三鱗の家紋の入った旗を与えました。そして、この旗を差し上げて戦うときには、加護をする約束をしました。舞楽を奏して夜遊をなし、やがて社壇の中に姿は、消えて行きました。