解  説   土  車


 京都の深草に住む者が妻を亡くして世を儚んで出家し、一人子を残して修行に出てしまいました。
残された男の子は、乳父(めのと)の作った車に乗り、父が日頃から口にしていた言葉を思い出して、信濃の国の善光寺へ来ました。寺男が境内には入れないと遮りますが、天智天皇の御代の古歌を引いて、天下の平等を説き、境内に入ります。
しかし、尋ねる父の姿はありません。落胆した男の子は、身を投げることにしました。いざ身を投げようとすると、引き留める者が居ます。それは、一旦は名乗ることを諦めていた父でした。乳父もともに、父と 再会できたことを喜び合いました。


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