解説 巻絹
天皇の霊夢によって、千疋の絹を三熊野に奉納するように命ぜられた役人は、全国より絹を集めました。
しかし、京都よりの絹は、納入の期限を遅れて過ぎて届けられました。
役人がその罰として、その人足を捕縛しますと、巫女が現れてその者を解き放つように云います。
役人は不思議に思いますが、巫女の云う音無の天神に和歌を供えた事実を確かめて、和歌を供えた功徳により、罪を許します。
巫女は和歌の功徳を説いて聴かせ、役人の求めに応じて、祝詞を奏上して神楽を舞い、
やがて乗り移った神が去って、正気を取り戻しました。