解説   江 口


旅僧(ワキ)が淀川河口近い江口の里を通り掛かり、西行法師の詠歌を口ずさむと、一人の女性(前シテ)が現れ、その詠歌の返歌も詠んで、その心を理解するように云います。その女性は、返歌を詠んだ江口の君の化身だったのです。
旅僧は江口の遊女を弔うための読経をしますと、川面に屋形船に乗って遊女達(後シテ・ツレ)が現れ、在りし日の遊女の川逍遥を再現して見せます。やがて遊女は、姿は遊女であっても、本質は菩薩であると仏法の真髄を説き、普賢菩薩の姿となり、白雲に乗って西方浄土へ帰って行きました。
遊女も菩薩も一体であるという教えの意味を、考えさせられます。


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