解説   安宅


 源義経は、兄の頼朝の追っ手を逃れるため、仮に山伏の姿となって、奥州の藤原を頼るべく、北陸道を下って行きました。一方頼朝は、それを知って、要所に新しく関所を作らせ、山伏の通行を一切禁じました。
 義経一行は、加賀の国安宅まで来て、関所のことを知りました。弁慶の考えから、義経を強力に扮して、関所を通ろうとしました。安宅の関守の富樫は、この一行に向かって、全員打ち首といいます。弁慶は、本当の山伏を装って、最後の祈祷をしたり、ニセの勧進帳を読んだりして、何とか通行の許可が出ました。しかし関守は、強力姿の義経を通しません。弁慶は本当の強力に対するように、金剛杖で義経をたたき据えます。富樫は、弁慶の気迫に負けて、全員を通します。
 義経の一行は、虎の尾を踏んだ心地でしたが、弁慶の機転と、八幡の加護で、この難関を切り抜け、奥州へ下って行きました。


解説目次へ    展示室TOPへ    平成13年1月1日更新