Lute 製作工程 [1]

 

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(1)裏板の曲げ
lute_01.jpg 楽器用のアイロンを使って曲げます。
もちろんこれまでに、材料となる、楓の板を薄く削っておきます。形は、型紙に合わせて、バンドソーで切ります。

lute_02.jpg 曲げ終わった裏板。
(リュートの場合は横板とも言えますが)

 

(2)裏板の接着
lute_03.jpg 型枠を使って裏板を合わせて接着します。
     これが最も難しい工程のひとつで、隙間なく段差も付かないように接着します。
マンドリンだと後でのこぎりで鋸目をいれて薄い板を埋め込んでいきますので、この薄い板以下の隙間ならOKなのです。

lute_04.jpg 裏板を型枠から外し、補強の綿テープを張ったところ。
昔は、羊皮紙と言って紙のような羊の皮を張っていました。

lute_05.jpg 鉢巻と言われる補強の薄い板をお尻の部分につけます。これは、ゴムの力を利用して、ぴったりつけます。ゴムは色んな場所で活躍します

 

(3)表板(響鳴板)の接ぎ
lute_06.jpg 楽器でもっとも大切な表板の製作です。
薄い板ですが、きっちり隙間なく接着しないと、長年使っている間に隙間が空いてきます。
表板に使われているドイツ松といわれているドイツ唐桧は、木を切ってから引っ張り強度、曲げ強度、ヤング係数などがどんどん増えていきます。(これを経年変化と言います)。
250年でピークとなりその後は逆に減少していきます。それからさらに250年経つと切ったときの強度になると言われています。
ですから、木の楽器としての寿命はおおよそ500年ということになりますね。
ヴァイオリンがストラッド、グワルネリなどの名器が、250年経った時に、一番よい音がしているように。ですから、この楽器も、250年先(切ってから20年くらいは経っていますので、230年くらいでしょうか)には、もっともっとよい音で鳴ってくれているでしょう。
(余談ですが、日本の檜は切ってから200年(研究者によっては300年)で最も強度が上がり、切ったときの3割ほど増しの強度になって、その後1000年ほどで切ったときの強度に戻ると言われています。)

 

(4)ローズ(ロゼッタ)の透かし彫り
lute_07.jpg ギターはサウンドホールといってただ穴が空いているだけですが、リュートではギターと違ってこのように透かし彫りを彫ります。
デザインはアラベスクのもっともポピュラーなものです。第一段階として、型紙から鉛筆でデザインを移して小さなドリルで穴を開けます。

lute_08.jpg ローズの完成です。