インドに学ぶ;食編

交通網が発達し、あらゆる物があふれ、貧富の差がない文明国、日本と比べるとインドは非文明国という感が否めませんが、
物質的には満たされているけれど、幸せや精神的充足感を感じる暇もなく忙しく時間に追われ、精神的ストレスを抱えている 私達。
それに対し、生活水準が低く、物質的には恵まれていないが、自然と共にゆったりと毎日を過ごし、精神的に満たされているインドの人達。
皆さんはどちらが幸せだと思いますか?
インドに行った事のある人は、やせ細りみすぼらしい衣服を身にまとった物乞いの人達のあっけらかんとした明るさやたくましさに驚かされた人も少なくないでしょう。なぜあんなにあっけらかんとしていられるのだろう?!
大いに疑問を感じて帰ってきたものです。
また、インドでは寝たきりの老人や痴呆の老人はほとんどいないと聞きました。
それは、インドでは年を取っても隣近所や家族とのつきあいも多く、孤独な老人が少ない事も要因なのでしょうが、
朝夕は神々へ祈りを捧げ、現在の幸福に感謝し、家族のために何か仕事をし、自分の頭で考え表現するという、若い頃と変わりのない生活を送るということです。
健康で老いる事が難しくなってきている文明国の人達と何よりも異なっている点は“生きる目的を持っていること”と言えるでしょう。
物質に恵まれていることが幸せにつながるのでは決してないのです。
何時の頃からか心の部分、精神面を置き去りにしてきてしまった私達がインドから学ぶ事が多々有るように思います。今回は”食”について考えてみましょう。




人間の生活にとって必要不可欠なものに衣食住があげられます。『衣』『食』『住』がバランス良く保たれる事が大切だと思うのですが、どうも

日本では 『衣』と『住』が重視され、『食』が軽んじられているように思われます。

スーパーマーケットにはレトルト食品や出来合いの惣菜が並び、お弁当屋さんの盛況、コンビニエンスストアの発達や核家族化がその背景にあるのでしょう。最近は、親が子供達の遠足や運動会にコンビニ弁当を持たせる事が多いと聞いて私はとてもびっくりしてしまいました。

“最近の子供達が切れやすい”のもこういった食生活が一つの重要な要因だと思うのです。 成長期に添加物だらけの保存食、レトルト食品やジャンクフード等の有害な食物を食べていて心身共健康でいられるはずはありません。

お母さん手作りの温かい、

“愛情”というスパイスを効かせた食べ物を食べている子供は精神的にも安定し優しく素敵な大人に育つ

と思うのは私だけでしょうか?!
チャラカサンヒターによると

『正しい食物を摂ることが人間を発育させる唯一の方法です。また正しくない食物を摂ることが病気の原因です。』

とされています。

インドでは、『食』を一番に重視します。

豪勢な食事を摂るということではなく、

新鮮な作りたての食物で身土不二(住む場所の近辺で採れた食物・季節の旬の食物)のものを食するのです。


そしてインドでは作り置きを決してしません。

アーユルヴェーダでも調理後3時間以内の食物を食べる様、勧めています。


中国で医食同源という言葉があるように、

インドでも病気にならないよう日頃から食事に気を付けるという考えがあります。

食べ物が健康を左右するのです。
また、アーユルヴェーダでは「何を食べるか」を重視しますが、「どのように食べるか」も大切だと考えます。すなわち、

感謝を伴わない食事、極度の喜怒哀楽を伴う食事は禁忌だとされています。

そして食事をした結果、満足感が感じられる事が重要なのです。
もう一つ付け加えると、

“肉体が病んでいないことは勿論のこと、その人の精神、魂が正常に活動していなければならない”

のです。これが、アーユルヴェーダが目指す理想的な健康です。

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