企業トップと社員賃金格差 過半数で50倍超

日産129倍 ゴーン氏9.9億円

  企業トップと従業員の賃金格差が広がっています。各社が発表した2013年度の有価証券報告書によると、役員報酬上位20社の過半数で役員報酬額が社員の平均賃金額の50倍を超えていることがわかりました。そのうち4社では100倍を超えていました。

 各社が発表する有価証券報告書には役員報酬の額や従業員の平均賃金などが記載されています。役員報酬については基本報酬のほか、賞与やストックオプション(新株優先権)、退職金などの内訳も記述されています。「しんぶん赤旗」は役員報酬から退職金を除いた額の上位20社を調べました。

 退職金は一時的な収入になるため、労働者の定期的な収入と比較するのは妥当性に欠けるからです。ただ、1億円以上の役員報酬が公開されるようになったのは10年3月期以降なので、10年度との変化を調べるために、10年度、13年度両方で報酬が1億円を超える役員がいる企業に限りました。

 それによると20社中11社において賃金格差が50倍を超えました。10年度は50倍超が8社でそのうち2社が100倍超だったこととくらべても、格差が広がっています。

 13年度決算の集計では、上位500社の利益は1年間で12兆円から22兆円へと急増しています。1人あたりの役員報酬は11%増と大幅にアップしました。大企業の利益が働く人々に還元されることこそ日本経済の活性化につながります。

 日本マクドナルドホールディングスの原田泳幸会長兼社長(現・ベネッセホールディングス社長)は表中、14位に相当する3億4900万円の役員報酬を受け取っていましたが、同社には従業員がおらず、賃金比較はできませんでした。

役員報酬と従業員の賃金格差(2013年度)
順位 企業名 役員報酬−退職慰労金 平均賃金
(円)
賃金格差
金額(円) 氏名
1 日産自動車 9億9500万 カルロス・ゴーン 767万 129.7倍
2 武田薬品工業 9億9000万 フランク・モリッヒ 944万 104.9倍
3 ユニバーサルエンターテインメント 8億1000万 岡田和生 636万 127.4倍
4 セガサミーHD 6億3500万 里見治 891万 71.3倍
5 日本調剤 6億1900万 三津原博 553万 111.9倍
6 信越化学工業 5億0600万 金川千尋 823万 61.5倍
7 エイベックスGHD 4億6100万 松浦勝人 748万 61.6倍
8 ファナック 4億3200万 稲葉善治 981万 44.0倍
9 三共 4億2000万 毒島秀行 702万 59.8倍
10 ファーストリテイリング 4億0000万 柳井正 709万 56.4倍
11 富士フイルムHD 3億9000万 古森重隆 1070万 36.4倍
12 ソニー 3億5920万 平井一夫 885万 40.6倍
13 中外製薬 3億5700万 永山治 928万 28.5倍
14 ミスミグループ本社 3億4800万 三枝匡 441万 78.9倍
15 資生堂 3億3000万 カースティン・フィッシャー 692万 47.7倍
16 ソフトバンク 3億2300万 ロナルド・フィッシャー 1146万 28.2倍
17 堀場製作所 3億2300万 堀場厚 605万 53.4倍
18 日清食品HD 2億9900万 安藤宏基 823万 36.3倍
19 野村HD 2億9800万 永井浩二 1488万 20.0倍
20 大日本印刷 2億9700万 北島義俊 677万 43.9倍
※HDはホールディングス、Gはグループの略

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