2021年
1月号(第395号)
方円秀韻抄
つはものの草も枯れ果て翁の忌
円象集 「宇治にて」
空稲架に山の景色を干しにけり
書離れの学生集ふ秋燕忌
式部の実宇治十帖を読み通す
つはものの草の枯れ果て翁の忌
冬立つや命の果ては神任せ
神仏の一山にをり秋惜しむ

2月号(第396号)
方円秀韻抄
影もまた木の葉とともに落ちにけり
円象集 「憂国忌」
影もまた木の葉とともに落ちにけり
獣道崩さるるまま山眠る
音もせず落ちる小雨や憂国忌
朝日すぐ雲に入りたり亜浪の忌
電飾の届かぬところ冬の月
一輪といふ孤独なり帰り花