§3.トランプのポーカーの役の順位はどのように決めたのか?

 トランプでポ−カ−をやっていると,時々,フラッシュとストレ−ト,フォアカ−ズとフルハウスではどちらの役の方が上だったか忘れてしまうことがある。これらの役の上下は,おこりにくさの度合いに基づいている。
 図1は,ポ−カ−の役の順位をまとめたものである。実際にそれぞれの役ができる確率を求め,順位表と一致するかを確かめてみることにする。

順位 役の名前 確率
ロイヤルストレートフラッシュ 1/649740
ストレートフラッシュ 1/64974
フォーカーズ 1/4165
フルハウス 1/694
フラッシュ 1/505
ストレート 1/254
スリーカーズ 1/44
ツーペア 1/21
ワンペア 1/2


1.ロイヤルストレ−トフラッシュのできる確率
 ロイヤルストレ−トフラッシュというのは,同じマ−クの,例えばハ−トの10,ジャック,クイ−ン,キング,エ−スがそろった場合をいう。52枚 のトランプから無作為に5枚取り出したときの525通りの取り出し方の内,たった4通りしかない。
 したがって,最初に5枚配られたときにロイヤルストレ−トフラッシュができている確率は,

    4/525 = 4/2598960 = 1/649740

となる。
2.ストレ−トフラッシュのできる確率
 ストレ−トフラッシュというのは,同じマ−クの,例えば,スペ−ドの1〜5,2〜6,3〜7,4〜8,5〜9,6〜10,7〜11,8〜12,9〜13,10〜1がそろった場合をいう。したがって,ハ−ト,ダイア,クロ−バ−,スペ−ド各10通りあるので,全部で40通りある。ただしこの中には,ロイヤルストレ−トフラッシュも含まれている。
 したがって,最初に5枚配られたときにストレ−トフラッシュ(ロイヤルストレ−トフラッシュも含む)ができている確率は,

   40/525 = 40/2598960= 1/64974

となる。
3.フォーカ−ズのできる確率
 フォアカ−ズというのは,5枚中同じ数字が4枚そろう場合をいう。他の1枚は何でもよい。52枚のトランプから無作為に5枚取り出したときの525通りの取り出し方の内,例えば,1のフォアカ−ドとなる場合は48通りあるから,フォアカ−ドとなるすべての場合の数は48×13=624通りある。
 したがって,最初に5枚配られたときにフォアカ−ズができている確率は,

    624/525 = 624/2598960 = 1/ 4165

となる。
4.フルハウスのできる確率
  フルハウスというのは,スリ−カ−ズとワンペアの組み合わせである。すなわち5枚中3枚は同じ数字であり,残り2枚も同じ数字となる場合である。52枚のトランプから無作為に5枚取り出したときの525通りの取り出し方の内,例えば,1(エ−ス)を3枚,11(ジャック)を2枚取り出す場合の取り出し方を考えてみることにする。4種類のエ−スから3枚取り出す取り出し方は43通り,また,4種類のジャックから2枚取り出す取り出し方は42通りあるから,43×42通りある。
 フルハウスはスリ−カズとワンペアの組み合わせであるから,13種類の数の内,スリ−カズをつくる数とワンペアをつくる数の組み合わせは132通りあるから,52枚のトランプから,無作為に5枚取り出したときの525通りの取り出し方の内,フルハウスをつくる場合の数は132×43×42通りある。
 したがって,最初に5枚配られたときにフルハウスができている確率は,

    132×43×42/525 = 3744/2598960 ≒ 1/694

となる。
5.フラッシュのできる確率
 フラッシュというのは,5枚とも同じマ−クがそろう場合をいう。例えば,5枚ともスペ−ドというように。
 52枚のトランプから無作為に5枚取り出したときの525通りの取り出し方の内,例えば,スペ−ドのフラッシュとなる場合は135通りあるから,フラッシュになる場合の数は4×135通りある。ただしこの中には,ロイヤルストレ−トフラッシュおよびストレ−トフラッシュも含まれている。
 したがって,最初に5枚配られたときにフラッシュができている確率は,

    4×135"525 = 4×1287/2598960 ≒ 1/505

となる。
6.ストレ−トのできる確率

 ストレ−トというのは,5枚のカ−ドが1〜5,2〜6,3〜7,4〜8,5〜9,6〜10,7〜11,8〜12,9〜13,10〜1のいずれかになった場合をいう。ハ−ト,ダイア,スペ−ド,クロ−バ−の種類は問わない。
 例えば1〜5のストレ−トになる場合の数は,1〜5の各カ−ドは4枚づつあるから,45=1024 通りある。だから,ストレ−トのなる場合の数は1024×10=10240通りある。ただしこの中には,ロイヤルストレ−トフラッシュおよびストレ−トフラッシュも含まれている。
 したがって,最初に5枚配られたときにストレ−トができている確率は,

    45×10/525 = 10240/2598960 ≒ 1/254

となる。

7.スリ−カ−ズのできる確率

 スリ−カ−ズというのは,5枚のカ−ドの内3枚が同じ数字である場合をいい,残り2枚はそれ以外の数字ならば何でもよい。
 52枚のトランプから無作為に5枚取り出したときの525通りの取り出し方の内,例えば,1(エ−ス)のスリ−カ−ズになる場合の数は,4種類の1から3枚取り,残り2枚は48枚の中から選べばよいから,
43×482通りある。2〜13のスリ−カ−ズの場合も同様であるから,スリ−カ−ズになる場合の数は,
13×43×482 通りある。ただしこの中には,フルハウスやフォーカーズになる場合も含まれている。
 したがって,最初に5枚配られたときにスリ−カ−ズができている確率は,

    13×43×482/525 = 58656/2598960 ≒ 1/44

となる。

8.ツ−ペアのできる確率

 ツ−ペアというのは,5枚のカ−ドの内,2枚同じ数字のものが2組含まれている場合をいう。
52枚のトランプから無作為に5枚取り出したときの525通りの取り出し方の内,例えば,1と2のツ−ペアになる場合の数は,4枚の1から2枚と4枚の2から2枚取り出し,残り1枚を44枚中から1つ取り出せばよいから,42×42×441通りある。同様の取り出し方が,1と3のツ−ペア,1と4のツ−ペア,‥‥‥‥‥ と,132種類のツ−ペアについて存在するから,ツ−ペアになる場合の数は42×42×441×132 通りある。ただしこの中には,フルハウスになる場合も含まれている。
 したがって,最初に5枚配られたときにツ−ペアができている確率は,

      42×42×441×132/525 = 123552/2598960 ≒ 1/21

となる。

9.ワンペアのできる確率

 ワンペアというのは,5枚のカ−ドの内,2枚同じ数字のものが1組含まれている場合をいう。
 52枚のトランプから無作為に5枚取り出したときの525通りの取り出し方の内,1のワンペアができる場合の数は,42×483通りある。2〜13のワンペアについても同様であるから,ワンペアができる場合の数は42×483×13通りある。ただしこの中には,ツ−ペアおよびフルハウスになる場合も含まれている。
 したがって,最初に5枚配られたときにワンペアができている確率は,

      42×483×13/525 = 1349088/2598960 ≒ 1/2

となる。

 以上のことから,トランプのポ−カ−の役は,すべてそれができる確率に基づいて順番が付けられていることがわかり,最初に5枚配られたとき,少なくともワンペア以上の役をもつ確率は,0.5より大きいことがわかる。

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