§4.地球の腹巻き(文字式の有用性)
今まで数字だけを使って、加減乗除の複雑な計算をこなしていたのに、x、y、a、b等の文字を使いはじめたとたんにわからなくなってきたという話をよく聞きます。計算は数字を使ってこそ意味があり、文字を使って計算をして何の役に立つのかという疑問をもつ人も多いことでしょう。ところが、この文字式というやつは、以外にも役立つことが多く、数字の計算にも実は役立つことが多いのです。
そこで、次のような問題を考えてみることにしましょう。
地球の赤道の周りにロ−プを1周させ、次にそのロ−プの真上1mに2本目のロ−プを1周させたとする。 そのとき、2本目のロ−プは最初のロ−プより何m長くなるだろうか。 |
---|
@ まず、実際の数値を使って計算してみることにする。赤道の直径は12756320m、 円周率を3.14 として計算すると、 1本目のロ−プの長さ= 12756320 ×3.14=40054844.8m 2本目のロ−プの長さ=(12756320+2)×3.14=40054851.08m したがって、求める長さは、40054851.08 − 40054844.8 = 6.28m となる。 すなわち、2本 目のロ−プは1本目のロ−プより6.28m長くなるのである。 A ところで、今度は実際の数値を使わず、文字を使用してみることにする。 地球の直径をdm、円周率をπとすると、 1本目のロ−プの長さ= dπ 2本目のロ−プの長さ= (d+2)π したがって、求める長さは、(d+2)π−dπ = 2π = 6.28 m @、Aの方法を比較して、みなさんはどう感じましたか。 では、次の問題にチャレンジしてください。 |
---|
![]() |
---|
トラックの幅以外に、何の長さもわからないので求められないように思う人も多いでしょう。しかし、先のA と同様、文字を使ってみることにしましょう。 ストレ−ト部分の長さは同じであるからコ−ナ−部分の長さの差が求める長さとなる。 円周率をπ、内側ラインコ−ナ−部分の半径をrとする。コ−ナ−部分は半円周であるから、2コ−ナ−を 合わせると円周になる。したがって、 外側ラインコ−ナ−部分の長さ=2π(r+2) 内側ラインコ−ナ−部分の長さ=2πr よって、求める長さは、 2π(r+2) − 2πr = 2πr + 4π − 2πr= 4π────────────(a) となる。すなわち、約4×3.14=12.56m 長くなることがわかる。 ここで文字を使って求めたことより、単に、幅2mのトラックでは、外側ラインが内側ラインより12.56m長く なるということだけでなく、もっと一般的に、外側ラインと内側ラインの長さの差は、トラックの大きさには関係 がないこと、また、トラックの幅をwとし、式(a)のトラックの幅2mをwに置き換えてやると、2πwとなることよ り、トラックの幅の2π倍、外側ラインが内側ラインより長くなることがわかるのである。 どうかな、文字を使って色々な式をたてて考えてみようという気になってきましたか??? |
---|