勤務先の健診や人間ドックでの血液検査の中に、いわゆる腫瘍マーカーが選択項目として 示されている場合があります。CEA, AFP, Ca19-9, Ca125, PSA, p53, SLXなど多数あり、 これらの血液検査をすれば癌の有無が初期段階でわかると思っておられる方は多いようです。
さらに、内視鏡やCT、MRIなどより簡便であるため、健診時に追加されるかたもおられます。
まとめると、一般健康人を対象としたスクリーニング検査としての腫瘍マーカーの有用性は乏しく、 (2)の場合は過度な不安を誘発し、場合によっては高額な検査が増えることにつながり、 (3)場合は、誤った安心感を与えることになり他の方法での癌の早期発見が遅れることにもなります。 このように、腫瘍マーカーのみで癌の有無を判断することは無理があるだけでなく、 現時点では癌の早期発見に有用であるとはいえません。
腫瘍マーカーが実際に有用な例は、癌を疑う何らかの症状がある場合や、 内視鏡検査や超音波検査で異常所見が見つかった時の補助診断として利用する場合や、 特定の癌の手術後再発の有無を経過観察する場合です。 後者の場合、癌が画像診断その他の手段で確認される以前に、上昇し始めることが知られていますので、 早期治療再開に関して有用度が高いといえます。