アトピー性皮膚炎は、遺伝的素因の上に、以下のような内外の多様な因子が複雑に絡み合い、 アトピー素因(いわゆるアトピー体質)を形成・助長して発症します。
飲食・嗜好 | 脂っこい食事、甘いもの、辛いもの、刺激物、味の濃いもの、生もの、 牛乳、清涼飲料水などの過剰摂取、飲酒、喫煙 |
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生活環境 | 多忙あるいは不規則な勤務、粉塵の多い職場、過度の冷暖房、乾燥、 湿気、日焼け、寒冷、紫外線、浴室・流し・カーペットやソファの下などのカビやダニ、 細菌・ウイルス・真菌感染 |
精神衛生 | 職場・学校・家庭内のストレス、個人的不安や悩み、睡眠障害 |
その他 | 洗剤、入浴剤、化粧品、化学繊維、抗生物質、鎮痛剤、便秘、 生理不順、生理痛、発汗過多 |
*アトピー性皮膚炎の原因として、何か1種類の食べ物に対する アレルギーのように誤解されることがありますが、その食べ物だけを制限しても、 それだけでこの病気が治ることはがほとんどないことは、多くの方が経験済みです。
一般に処方される治療薬には以下のものがあります。
これらの薬は、根本的に治癒させる効果はほとんどありませんが、 対症療法としての効果は比較的優れているので、補助療法として上手に使うことが大切です。
副作用の面ばかりが話題になるステロイド剤については、漫然と続けるのは避けるべきですが、 注意点をわきまえ使い方を守れば、副作用はほとんどみられません。 ステロイド剤の使用を控えたい方には、当院では、漢方の軟膏(保険適用)や院内調整の専用クリーム(自費)を処方しています。
多くの方が経験されているように、いくら対症療法を行っても、 一時的に軽くなるだけで治療を中断すると悪化し、軽快・悪化を繰り返します。 症状が重いほど、体の中にあるアトピー素因が強いといえます。
体の中から根本的にアトピー性皮膚炎を治すためには、先の原因と悪化因子で述べました さまざまな要因を、症状の重症度に応じて是正しなければなりません。 そのうえで、当院では漢方による体質改善治療を根本療法の一環として積極的に行っています。
体質と言っても、人によって大きく異なるので、処方も個人個人異なります。 さまざまな漢方生薬(ほとんどが保険診療ですが、一部保険適用外の生薬を使用することがあります)を加減し、 その人の現在の症状に合わせて、逐次作り代えていきます。
重症の場合は、煎じ薬を用いることもあります(こちらも一部保険適用外生薬を使用することあり)。 そのほかの補助療法としては、ある種のビタミンが有効なことがありますので、 短期間使用して効果をみることもできます。