すこし前のことになりますが、96年夏にABC朝日放送の探偵ナイトスクープに出演しました。そのときのことを紹介します。

 依頼の内容

依頼はこうです。学生時代からUCCのレギュラーコーヒーを愛飲していた私はコーヒークーポンを集めだしていました。1300点集めるともらえる「手回しミル」が欲しかったのです。そしてコツコツコツコツと11年かけて1300点集めました。「さあ、もらおう」と思ったところ無情にも景品リストからミルは消えていました。あきらめきれない私はさらに集めて復活を待ちました。それから3年ついにミルは復活しました。しかしグレードアップされており、点数も4000点にアップしていました。このまま集めても何年かかるかわかりません。最後の手段でABCに手紙を出したというわけです。

 採用まで

 当時からネタの質は低下してきており、わたしのネタも十分採用される可能性があると思っていました。したがって、取材が夏休みになるよう、手紙を出す時期にも配慮しました。すぐにABCから電話があり、「候補にあがっている。7月の25日に探偵とUCCへ行けるか。」というものでした。残念ながら夏休みとは言え、その日はどうしてもぬけられない仕事があり、その旨話すと、「スケジュールを調整してみるが、電話がなければ没と思ってほしい。」ということでした。そして3日ほどしてすぐ電話がありました。「どうしても25日は無理か。」「無理ですね。台風でも来ないかぎり。」「では今回はざんねんですが。」というわけで没に。それはない。他のネタの方がおもしろいから、というのなら納得はいくが、スケジュールの都合で、というのならあきらめきれません。

 くさった気持ちで仕事に行きました。しかし仕事先に番組制作会社のクリエイティブジョーズから電話があり、別の探偵でやるといいます。どうも朝日がとった後の残ったネタからこの会社や大阪東通がネタを選ぶようです。

 それからはランラランで仕事をこなして帰りました。

 取材当日

 7月30日に大阪プラザホテルロビーでディレクターの佐々木さんとADの田中さんと落ち合い、歩いて0分のジョーズ社屋へ。ここでしばらく打ち合わせをしたあと、探偵の立原啓祐さんと取材スタート。このとき1回だけNGがあったものの、その後はなし。まずいきさつを話した後、地震後復興の進む神戸のポーアイへ。UCCの本社へ行きました。広報の星野と交渉するもののミルはないとのこと。

 計算どおりのボケ

 ここで当時のクーポンの景品引き替え要項を見せてもらうと、1300点を集めるか、650点プラス1300円でもらえたことが書いてありました。「そういえばそうやったな。」と思ったものの、ここはうっかりしていたことにしたほうがうけると思い、「しもたー。」と言っておきました。それが「やはり見直しをしないといけない。」という子どもへのメッセージとなり計算通りうけました。ただし、うけるためにはスタッフの方が後にここの場面と伏線になる場面に字幕スーパーを入れるなどして、条件は整えてくれてのことです。

 とうとうゲット

 そこで製造元のボンマック社も教えてもらい、まずUCCの支店に行ったり、直営の喫茶店へ行ったりしましたが、やはりありません。遅い昼食をみんなで食べて(期待したもののうどんやだった。)西宮のボンマックへ。ここでついにありました。しかしこれはサンプルとして保存してあるもので、地震の時の傷もついているので保存したいとのこと。そのかわり支店にないかどうかを電話できいてもらいました。その結果大阪支店にありました。大阪に着いたときには6時を過ぎており、渋滞もそれなりにありました。

 ここですぐにもミルをくれたのですが、立原さんは延ばして延ばして、もったいぶってくれた、という体へともっていきました。UCCのコーヒー豆をさがしたのですが、なかったのでよそのコーヒー豆をスタッフの方が買ってくれました。こうして無事ミルをいただき、名神高速を走って大津の我が家に向かい、最後の収録を行いました。

 コーヒー豆を挽き、3人分のコーヒーを入れました。正直言ってあまりおいしいとは思わなかったのですが、大げさに感動しておきました。家内は「いつもと同じ」といって落ちとなりました。

 1カ月後にオンエアとなり、職場でも話題になりましたし、1年以上たった今でも「出てたなあ。」と言ってもらいます。探偵手帳はなかなか送ってこなかったので半年ほどしてから電話すると送ってくれました。もったいないので新品でおいてあります。

 裏話

 立原さんはいい人でしたが、かなりの女づきで取材の車中はそんな話題で盛り上がりました。