ラジオ少年 HD−AMP−1K

無線と実験誌を見ていると真空管アンプキットの特集がありました。その中にひときわ低価格さが光るキットを扱う所がありました。それが
ラジオ少年のキットです。まだまだ真空管アンプ初心者なので、いくつかあるアンプキットの中から難易度の低そうな真空管ヘッドホンアンプを
選んでみました。このアンプはプリント基板に組立てるのと、それが丸見えなので雰囲気はあまり良くないですが、作りやすそうです。
このキットは基盤完成品も用意されていますが、それでは面白くないので完全組み立てキットを注文しました。
回路図を見ていると、このアンプは出力にトランスを使っていません。真空管が直接ヘッドホンをドライブします。
真空管の音が直接聴こえるようで楽しみです。
また、上の写真を見ていただくと右下にもちょっと細めの真空管があります。これは6Z4という、整流管と言われる物です。
半導体で言えばダイオードと同じ働きをし、230Vの交流を直流に変換します。ただし、この管では50mA程度しか
取り出せないようです。真空管で整流できるというのは面白いですね。
さて、このキットは組み立て説明書が付いていません。回路図と いくつかの資料を参考に組み立てますが、抵抗等の部品は
台紙に整理されて用意されているのと、基盤に印刷されているのをつきあわせて取り付ければ簡単に組み上がります。
B電源にあるR13(6Z4の左にある抵抗)は発熱の可能性があったので少し基盤から浮かしました。
実際は ほんのり暖かい程度なので浮かす必要はなかったかも知れません。
基盤は順調に組み立てられたのですが、
組み立ての順序として1つ気をつけることがあります。トランスを固定してしまうとボリューム等の配線、取付がしにくく
なるので、先に線材の半田付けとシャーシへの取付をしておいた方が楽です。サイドウッドも先に付けておきます。
トランスの固定はトランスを丸いゴムシートでサンドイッチにしてケースに置き、金属の円盤をのせてボルトとナットで固定しました。
また、シャーシへの部品の取り付けで少し考え込んだところがあります。
1つめがネオン管入りスイッチの配線です。スイッチ本体の回路図が無いので端子の役割が分かりづらく、ネットで調べても
なかなか内部回路まで分かるものがありません。なんとか見つけたので載せておきます。

クリックすると拡大されます。
スイッチのデータ

上の写真にあるスイッチ(配線されているスイッチ)の左側の端子がネオン管専用の端子で、真鍮色をしています。色々と悩んだ結果、写真のような配線になりました。
スイッチの動作は、内部の回路図では分かりづらいのですが、スイッチがONになるとコモン端子(真ん中の端子)がネオン管方向と、その反対側の方向の両方に接続する仕組みに
なっています。つまり、OFFの時にはコモン端子はどこにも接続されていない状態になります。
青いケーブルが
トランスからの100Vケーブル、白と黒ケーブルがコンセントからの100Vです。もちろん、片方はヒューズを通します。
いわゆる作法というか定番の接続方法があるのかも知れませんが、これで正常に使えるようなので良しとしました。
もう一つの問題は発振です。ボリュームが最小、または最大の時は発振しないのですが、途中の位置でブーンという激しい音が
します。
付属のシールドケーブルを使っていたのですが、試しに単線ケーブルを編んで使用してみると少し良くなりました。
しかし、発振音はしなくても一カ所だけ入力された音声が激しく歪むポイントがあります。ボリューム最大を100%とすると
大体70%位の所です。色々と調べてみた結果、原因は入力部のケーブルの引き回しが問題だったようです。
ケーブルが基盤に近づくと発振するようです。ケーブルを出来るだけ短くし、基盤から離すことで
うまく動くようになりました。付属のシールドケーブルの問題ではなかったようです。発振はシールドケーブルだから大丈夫と油断しては
いけませんね。
シャーシはアルミむき出しでも良かったのですが、
時間が経つと白っぽく曇ってきそうだったので何か処理することにしました。塗装は苦手だったのでカッティングシートを
使うことにしました。
当初黒にするつもりでホームセンターに行ったのですが、思いのほか黒のシートが高かったので安かった大理石模様を買ってきました。
竹のサイドウッドと共に自然石っぽいところがマッチし、さらに重量感が出るかなと言う目論見です。シートは思ったより簡単に貼れました。
また、シャーシの切り口をシートで巻き込むことで作業中の怪我も防止できます。
大理石模様のシートを貼ってみました。

裏です。真ん中の大きめの穴がトランス固定用の穴です。ボルトの方が太かったので穴を広げました。

先に組み立てた基盤を乗せてみました。

シャーシに取り付けるスペーサーの付け方は何通りか有ると思いますが、私はこの方向に付けました(下写真)。というのは、
基板が見えていると雰囲気が壊れる気がして基板を隠そうと思ったからです。最終的にはナット代わりに
ここにスペーサーを取付け、その上からカバーを取り付けようと計画しています。

さて音ですが、低音がよく出ています。しかし、その低音で中音、高音がマスクされることはなく元気に鳴ります。
ハム音をはじめ、気になるノイズは全く聞こえません。SONYのMDR-EX300SLという16Ωのイヤホンでも問題なく使えます。
JAZZなんか聴いていると良い感じです。
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