L'elisir d'amore Messages frrom the Conductor and the Director






指揮 中井章徳さんからのメッセージ

 こんにちは。指揮者の中井章徳です。オペラ徳島で指揮を務めるのは《リゴレット》に続いて2回目になります。

 今回の演目であるドニゼッティ作曲のオペラ《愛の妙薬》は、音楽とドラマが絶妙に調和した傑作であり、コミカルでありながらも、真実の愛に触れる瞬間には深い感動を与えてくれる作品です。「合唱オペラ」と呼ばれるだけあって、全編を通じて村人を演じる合唱団が大活躍する、イタリア・オペラの傑作喜劇です。この作品の魅力を引き立てるべく、地元・オペラ徳島の合唱団の方々が熱意を込めて取り組んでおり、その力強い歌声が作品全体を支えています。

 さらに、豪華ソリスト陣が演じる個性豊かな5人の登場人物純朴で一途な青年ネモリーノ、聡明で美しい富農の娘アディーナ、口達者でユーモアあふれる旅の薬売りドゥルカマーラ、自信満々で野心的な軍曹ベルコーレ、そして噂話が大好きで活発な村娘ジャンネッタが織り成すユーモラスなやり取りや駆け引き、微笑ましい関係性も見どころです。キャストの高い歌唱力と演技力が、それぞれの役柄に命を吹き込み、作品の魅力をさらに引き立てています。

 物語は、村人たちがアディーナに読み聞かせてもらった小説『トリスタンとイゾルデ』の物語に登場する「惚れ薬」が、時空を超えて自分たちの現実に現れたかのような「まさか」が連続する展開で繰り広げられていきます。悲劇の結末となった小説に対して、オペラは喜劇でハッピーエンドを迎えるユニークさ。この「愛の妙薬」というアイデアは、コミカルでありながらも、登場人物たちの心の変化や絆を巧みに描き出しています。ネモリーノが惚れ薬に頼りながらも、自らの純粋な気持ちでアディーナの心を動かしていく過程は、観客に笑いと感動を届けてくれることでしょう。

 また、演奏面では、オペラを愛する器楽奏者たちで編成された小オーケストラが、多彩な音色と躍動感あふれる響きで作品を彩り、歌を導きます。音楽とドラマが一体となったオペラの醍醐味を存分に感じていただけることでしょう。

 オペラ徳島が誇る地域密着型の舞台芸術と、作品の持つ普遍的な魅力が見事に融合する今回の公演。歌手、合唱、オーケストラ、舞台セット、衣装、演技など、地元の情熱から生まれる唯一無二の舞台芸術が今、完成しつつあります。

 オペラ好きの方も、初めての方も、老若男女みんなが楽しめる稀有なオペラ、それが《愛の妙薬》。

 2024年の締めくくりに、幸せな気持ちで笑顔になれるハッピーエンドのこの特別な体験を、ぜひオペラ徳島と共にお楽しみください。皆様のご来場を心よりお待ちしています!



 

   




演出 松本憲治さんからのメッセージ

 ブラヴォー!「愛の妙薬」!

 輝かしくきらびやかな、それでいて気品のあるメロディの数々!それに全編に配分された、華やかな合唱の声!

 ドニゼッティ作曲オペラ「愛の妙薬」は19世紀半ば、盛期ロマン派の成熟したイタリア・オペラ。だからこそ「磨き抜かれた声と合唱とオーケストラ」の宝箱!「二週間で書き上げた」と言われるドニゼッティの音楽はいささかの迷いもない自由で清明な響き。だからこそ誰もが知る名アリア、名二重唱、そして合唱の華やかさに「ウットリ陶然としてしまう」こと必定の名作オペラです。

 お話は「ブッファ」と呼ばれる喜劇仕立ての恋物語。18世紀終わり頃のスペイン・バスク地方の小さな村。誠実だけど地味な青年ネモリーノは同じ村のお金持ちの気位の高い美しい娘アディーナに恋を募らせます。しかしアディーナは彼を相手にしてくれない(ま、よくあるハナシ)。そこで彼は、村々を渡り歩いてインチキ薬を売っている大ボラ吹きドゥルカマーラの売る「愛の妙薬」に手を出してしまいます。・・・結果は?

 今回のオペラ徳島の公演の見どころ、聞きどころは、何と言ってもまず選りすぐりの歌手たちの輝かしい声!「よく徳島でこれだけの名手の声が聞けるものだ」と思わせます。それに加えて、地域の音楽芸術の粋である「オペラ公演」を徳島という地にあって25年、地道に、継続的に、主体的に、情熱を持って作り続けているオペラ徳島合唱団の声!そして今回、もともとオーケストラピットがなく、設計上配置はムリだと言われた劇場に、関係者の情熱と知恵で叶ったオーケストラの響き。(やっぱりオペラはオーケストラがなきゃね。)それが叶ったのです!
 聞きどころの最後は当然、指揮者(マエストロ)である若き俊英、中井章徳の明確な棒が作り出す音楽!

 今回の演出はそれら声と音楽を浮き立たせるための「古典的手法」をとって劇場に「動く古典絵画」を実現させようと。

 これだけのキャスト、スタッフの「愛の妙薬」公演は徳島では二度と実現しないのでは?と思わせるステージです。ご期待ください!
 



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第21回公演「愛の妙薬」 指揮者、演出家からのメッセージ