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Q24
燃料タンクは何故左から使わないといけないの?
*H17.7 追加
XJ6・Sr3
DD6・Sr3
ジャガーに乗っておられる方の間で「伝説」のように
「燃料タンクを満タンにした場合、右側タンクを使用していても左のタンクにある程度のガソリンが戻ってきて溢れるのでレベルが一寸下がるまでは左のタンクを使用するように」
というお話が伝わっています。
私も乗り始めの頃はただ漠然と意味も分からず励行していました!
しかし、燃料系統をつぶさに見ても、車に付いていたディーラーさんのハンドブックを見ても、ジャガーのサービスマニュアルを見てもそう言ったことは何処にも書いてありません。
Sr1やSr2にはひょっとしたらそう言う問題があるのかも知れませんが少なくとも私の乗っているSr3にはそう言ったことはありません、もっともキャブ車はタンクへの戻りラインはないと思いますが。
そこでこれは一体どういう根拠でそう言う話が出てきたのか考えてみました。
まず燃料系統の概要ですが、燃料タンクの切替はセンターコンソールの押しボタンで切り替えます、実際に動くのは
レベルゲージ
タンクから燃料ポンプへ行っているところにある三方電磁弁
エンジンルームからの戻りラインの各タンクの手前に付いている電磁弁
が動作します、ガソリンは使用中のタンクに戻すようになっています。
三方電磁弁は無励磁で左のタンクを、励磁(通電)で右のタンクに切り替わります。
戻りの電磁弁は左のタンク用が通電「閉」、右のタンク用が通電「開」になってます、部品を交換されるときはパーツナンバーが違いますので間違わないようにして下さい。
押しボタンを押し込んだ状態では左のタンクを選択していますがこの時三方電磁弁とタンク戻りの2個の電磁弁は無励磁(電気が流れていない)の状態です。
「左のタンク」から出たガソリンは三方電磁弁をとおり、燃料ポンプ、フィルター、エンジンルームに行き、プレッシャーレギュレーターを通った余分のガソリンは「左のタンク戻り電磁弁」を通って左のタンクに戻ってきます。
押しボタンが飛び出た状態では右のタンクを選択していますがこの時三方電磁弁とタンク戻りの2個の電磁弁は同時に励磁(電気が流れている)されている状態です。
「右のタンク」から出たガソリンは前記と同じく余分のガソリンがタンクに戻ってきますが今度は「右のタンク戻り電磁弁」を通って右のタンクに戻ってきます。
回路構成としては単純なものですし、電気回路も何も複雑なことはやってません、右のタンクを使っているのに左のタンクに戻ってくると言うことはあり得ないのです。
もし、右のタンクを使用中に左のタンクに戻ってきてオーバーフローするというのであれば電磁弁のシートに異物を咬み込んだり、電磁弁が動作していなかったりして、本来右へ戻るべきガソリンが左のタンクに戻ってきて溢れたということではないでしょうか。
こういったトラブルは機械物である以上避けて通れない話ですが、私の想像が当たっているとするならこれをもって「左のタンクから使わねばならない」と言うのは一寸おかしいですね、まず不具合を直すのが筋でしょう。
現に私は両方のタンクを交互に使うようにしていますが、両方のタンクを同時に満タンにしてもそれまでのインターバルを変えずに、今まで左を使用しておれば右のタンクを、右を使用しておれば左と使っていますが溢れたというようなことは一度もありません。
もう一つ推測なのですがジャガーが日本に入ってきた当初、当時の代理店辺りがよく判ってなかったのか本国からの指示があったのか判りませんが、誰かが言ったことを金科玉条のごとく語り継がれてきたことも考えられますね。
この話も燃料系統や電気回路の動作を理解しておれば別に惑わされることはないのですが知らない人にとっては重大事なんですね。
*17/7 追加
(やってきましたねぇ、私の車にも、ガソリンが使ってないタンクに戻るようになりました、特に右を使っているときに勝手に左に戻りタンクレベルが上がってきます、気をつけないと・・・・。
電磁弁を交換すればいいのでしょうが少々お高いのでそのままです)
話は変わりますがタンクのガソリンを空にしたい場合、通常はドレンプラグを取ってガソリンを抜きますが量が多いときは大変です、ここで回路が頭に入っていると一寸頭を捻って上手く利用してやると簡単にタンク間の移送が出来るのです。
例えば右のタンクを空にしたい場合、センターコンソールの切替ボタンは左タンク使用にしておき、三方電磁弁に別回路で電源を供給して作動させてやると右のタンクからガソリンを吸い出し左のタンクへ移送することが出来るのです。
これを逆に切替ボタンは右のタンク使用にしておき、三方電磁弁のリード線を外してやると左のタンクからガソリンを吸い出し右のタンクへ移送することが出来ますね。
普段まずやるような作業ではありませんがもし必要が出てきた場合には一度試してみて下さい。