バイク用トランシーバーとマイクセット
                                 (JA3XYD 中谷)  
 バイク用トランシーバーとマイクセットについてバイク仲間からお尋ねやお問い合
わせがありましたのでその内容をまとめてみました。
1.バイクとトランシーバー(TR)
 ツーリング中の連絡は信号待ちのとき横に並ぶなどアイボールで直接打合せします
が人数が多くなるとバイクが相当離れ連絡が徹底しません。
  またトップを走るバイクは後に続くバイクのコース間違い等気を使いながら走って
います。後続のバイクは車間距離が開いたとき前のバイクに追いつくためにオーバー
スピード、すり抜けなど無理をしがちの走りとなります。
  バイク仲間が増えるに従いツーリングに参加するメンバーが多くなり道に迷うバイ
クや事故の心配が出てきました。先頭と中間そして最後尾にハム仲間を配置して走り
ますが10台、20台と多くなりなりますと車間距離も相当開いてきます。

  バイクにトランシーバーをつけますと走行中に先頭車から「次の交差点右折」、狭
い山道で「対向車2台通過」などの情報をバイクに送ることや景色の情報、休憩場所
の打合せも各バイクに同時に届きツーリングがより楽しめます。
 初心者の方や仲間にトランシーバーをお貸ししブラインドカーブなど対向車情報を
送りますと走りにゆとりが出てきます。バイク仲間の交信を聞きながらのツーリング
に新鮮な感じでしたと感想も聞かれ、バイクに無線機を付けたいとの仲間が増えてき
ました。

 トランシーバー1台2万円前後、市販のヘルメット用マイク・スピーカーセットと接
続コード類一式で2万円前後、アンテナ等含めますと5万円以上の出費になります。
  バイクを楽しむ仲間にもっと安くトランシーバーを取付けることは出来ないかと思
いから、マイクセットの制作に挑戦しました。 何回も失敗を繰り返し満足できるマ
イクセットが完成ました。通常の走行(100kmまで位)でしたら十分使用できます。
  ツーリングを楽しむ多くの仲間に自作のマイクセットを取付けています。今まで30
台を超えるバイクに取付けてツーリングを楽しんでいます。
  トランシーバーや送信スイッチ、バッテリーからの電源、外部アンテナの取付けで
午前中に1台、午後に2台、夜にも1台と1日に4台もの取付けで忙しい日もありま
した。

2.マイク(MIC)とスピーカー(SP)の性能
 バイク用はマイクの性能が重要な問題です。市販のトランシーバー用外部マイクは
乗用車内でも周囲の騒音に関係なく音声明瞭な交信が出来ますが、このマイクをバイ
ク走行中に使用しますとバイクの風きり音や走行音などで肝心の音声が聞こえません。
 バイク専用マイクはケテルなどメーカー製がありますがMIC・SP・コード等一式で
1万数千円から2万円近くかかります。バイクを楽しむ仲間にもっと安くトランシーバ
ーをバイクに取付けることは出来ないかとの思いから、何回も失敗を繰り返しながら
試行錯誤の結果、満足できるマイクセットが出来上がりました。

  日本橋の電気街で何種類ものマイクを購入し試しました。マイクの感度を適切なレ
ベルまで調整し、そして音声が明瞭に聞こえるか、風きり音のカットと明瞭な音声と
の関係を実走で試しました。机上で「良」でも走ってレポートをもらうと「NG」。何
回もテストの繰り返しでした。
 自作マイクをフルフェイス型ヘルメットに取付けた場合は100km超えても使用感は
いいようです。ジェット型ヘルのマイクを口から離して使いますと受信側は音声が聞
きづらくなりますので出来るだけマイクを口元に近づけて送信します。

 スピーカーは形が小さく薄いもの、音質は明瞭で音量は大きいほどよろしい。市販
のSPも日本橋で探し何種類かテストしました。音声出力が小さい物は高速になるとヘ
ルメットの風きり音やエンジン音で声が聞き取れません。音声出力は100mW以上のも
のがいいようです。性能の良いメーカー製のマイクを使っていても高速走行している
とき聞き取れないことがあります、これはバイクの高速走行による風きり音やエンジ
ン音にSPが負けているためです。

3.バイク用マイクセットの製作
 マイクとスピーカーの種類が決まりますとヘルメットにワンタッチで装着できるよ
うに、どうまとめるかが課題。これは各社の製品を参考にパーツ屋で各種部品を見な
がら出来上がりをイメージして作ります。小さなボックスに穴あけなどの加工をして
ボリュームやプラグなどの部品を取付けて配線します。
 ヘルメットにSPを付けるスペースの問題があります。ヘルメットの耳の部分にSPを
両面テープで貼り付けますが、そのスペースが無いヘルは内側の発泡スチロールを削
りSPが入るスペースを作り両面テープでSPを貼り付けます。

 4.バイクへの取付け
 トランシーバーをどこに収めるか、簡単な方法はタンクバック(ウェストバックか
ポケット)にトランシーバーを入れて電池での運用です。通常はシートの下あるいは
後席シート付近下などが考えられます。防水と振動対策のためビニールで覆いクッシ
ョン材で包んでおきます。

 送信ボタン(PTT)は左ハンドルのバックミラーのネジを利用してスイッチ(PTT)
ON−OFFします。しかしこの方法はうっかり送信しっぱなしになりかねません。ボタ
ンを押している時だけ送信する「押しボタン式」にし、ハンドルのグリップの部分に
簡単に脱着出来るよう工夫しました。初めてバイクにTRを取付けた時送信しっぱなし
の誤操作を防げると思います。

 電源はバイクのバッテリーから取るといいと思います。電源コードにヒューズ(出
来るだけバッテリーに近い側)を入れます、そしてトランシーバーとの間にコネクタ
ーを入れておきますとタンクバックのトランシーバーを取り外すときワンタッチで脱
着できます。

 外部アンテナはナンバープレート等のネジを利用して取付けますがお好みの場所に
どうぞ。市販の取付け金具や同軸コードもあります。アンテナはトランシーバー付属
のものや市販のものを利用します。
 トランシーバーをハンドル付近に取付け周波数を切り替えて交信したいとお思いで
しょうが安全走行のためお勧めできません。前方不注意で事故の元。その場合トラン
シーバーに触れないようまた表示部が見えないようカバーをして下さい。走行中にど
うしてもトランシーバーの方に目が移ります。トランシーバーの操作は必ず停止して
からします。

 バイクはスピードが出るうえ不安定です。目線がトランシーバーに行っている間に
何がバイクの前に飛び出してくるかわかりません。私はTRをK100RSのタンク左のカウ
ル上に取付けて一寸周波数を読んだ直後、前を見ますと乗用車が目の前に・・・車に
 追突してしまいました。

ソロツーリングを楽しむ、あるいは仲間と一緒に走たいと思うときがあります。仲間
と走るとき1台1台、一人ひとりがそれぞれ楽しんでいます。ツーリング中にこの喜び
・感動を仲間に伝えたい時があります、その思いからも手作りのマイクセットを製作
しました。
 バイク用トランシーバーについてお尋ねがありましたのでHPに載せました。バイク
仲間の皆さんの参考になりますと幸いです。
余談ですが マイバイクのTR等のシステム

 最初はIC−03Nをサイドバックの中に入れて運用(NV750)、次にTRの周波数を切
り替えるようTRをケースに入れリレーでボタンを直接押し、メモリーCHにメインCHや
特定のCHを入力しワッチできるようにしていました。

 現在はマランツのC500をテールカウル内に積んでいます。TR内部の基板に細い線を
ハンダ付けし、テンキー他のボタンの機能をバイクの前面まで引き、ボタンを押すだ
けでメインCHや特定CH、メモリーCHスキャンや任意のCH間のスキャンが出来るように
しています。(数本の線を引出しています) これでソロツーリング時に145及び435
MHz帯のワッチができ、交信が出来ます。

 電源はバッテリーからですが、SWのON−OFFの回路を探して接続しバッテリー上がり
を防いでいる。(車のACC回路と同じように)
 スピードレーダーは分離式ですので、受信ランプはスピードメーターサイドに、信
号音はヘルメット内にTRのマイクコードを利用して接続しています。レーダーの購入
費はとっくに元が取れました。

 ツーリングの記録のためテープレコーダーを後ろに積んでいます。どこを何時に何
kmの所、○○交差点右折などを記録しています。テレコは3000円程度のものです。外
部マイクに小さなマイクを使用、ヘル内部に付けたマイクのに貼付けています。(この
テレコのおかげで詳細なツーリングレポートを書き上げることができます)

 録音の切替えは、テレコを録音状態にし外部電源(単三2個)のON−OFFで行います。
SWの切り忘れでテープが終わってしまうことが多々ありましたのでONのときランプが
点灯するようにしています。バイクの震動録音状態が再生状態になりますので工夫が
必要)

 各機器の操作SWを一つのBOXにまとめ、バイク前面カウルのところに取付けました。
これらの機器の線とヘルメットへの接続は8PのDINコネクターを使っています。TRの
MICとSPとアースで3本、レーダーの信号音用に2本、テレコのマイク用に2本、合計
7本の線を一つのコネクターでつないでいます。

 小さな工夫は他にもありますが私のバイクへの装備の主なものです。
 これらのシステムはハムやバイクを楽しむ中で「こんなことが出来たらなー」との思いから、
時間を見つけて少しずつ改良を重ねて作っていきました。バイクやマイカーに色々なアイデア
が浮かび失敗を繰り返しながら工夫し完成さす楽しみがあります。

 無線機のバイクへの設置(電源・アンテナ、送信ボタン)、マイクセットのヘルメットへの
取付などはYahooフォトをご覧下さい。