利得計算の例題と考え方
例題)
 図-1において、電気通信回路への入力電圧が120mV、線路の伝送損失が1kmあたり1dB、増幅器の利得が(   )dBのとき電圧計の読みが16mVになる。
 ただし、変成器は理想的なものとし、電気通信回線および増幅器の入出力インピーダンスは等しく、各部は整合しているものとする。

図-1

解き方)
  まず、線路全長の損失を調べます。
  1kmあたり1.0dB損失ですので、 1×50 で50dB損失になります。
 次に、変成器の1次側信号電圧(Vpとします)を調べます。

  巻き線比 3:4 になっていますので (Voは出力の電圧=ここでは電圧計の読みと同じ)

 入力電圧を Vi(mV) とすると、発信器の入力電圧120mVから変成器の入力12mVまでにトータルで、となって、20dB損失になっていることがわかる。
 ここで、増幅器の利得を G(dB) とすると、G−(線路のトータル損失である50dB)が−20dBということになるので、G=30dBということになる。
                                                          答え  30dB 


例題)
  図-2において、電気通信回線1への入力電圧が360mV、電気通信回線1から電気通信回線2への遠端漏話減衰量が62dB、増幅器の利得が22dB、変成器の巻き線比(n1:n2)が(   )のとき、電圧計の読みは0.9mVである。
 ただし、変成器は理想的なものとし、電気通信回線および増幅器の入出力インピーダンスは等しく、各部は整合しているものとする。
 

解き方)
 まず、発信器から変成器の一次側までの減衰量を調べます。
 遠端漏話減衰量+増幅器利得 = -62-22=-40(dB)

 続いて、発振器から変成器までの総合減衰量が40(dB)であることから、変成器1次側の電圧 (V1とする) を求めると
 より、であることがわかるので、 であれば良いので、を求めることができる。
 さらに、電圧計の読み=変成器の2次側電圧であるので、3.6:0.9がそのまま変成器の巻線比になる。
 3.6:0.9を整数比に直すと、4:1になる。
                                                          答え 4:1