マーラー、チャイコフスキー、ラフマニノフ好き管理人のクラシック音楽の部屋「ほんのちょっとクラシック気分」



ピアノ協奏曲第一番変ロ短調

☆作曲の背景☆
チャイコフスキーは、その生涯に3曲ピアノ協奏曲を残していますが、第2番、3番が特に際立った魅力を持たない作品である反面、この第1番は、豪華絢爛たる魅力に満ち溢れ、雄大なスケールを誇る傑作作品となっています。1874年12月24日のこと、チャイコフスキーは自信を持って書き上げたこの曲を、尊敬しているニコライ・ルビンシティンに捧げようと決意し、彼の前で演奏しました。ところが、返ってきた言葉は「全く無価値で、訂正不可能なほど拙劣な作品!」というものだったそうです。 ロシアの他の作曲家にも受け入れられなかったこの曲を、ドイツのハンス・フォン・ビューローに捧げたところ、彼はこの作品を誉め称え、初演をボストンで行い大成功をおさめました。
それを契機としてロシアでも急速に普及するようになり、さすがのルビンシテインもチャイコフスキーに謝罪し、これを好んで演奏するようになったといいます。


この曲の冒頭部分は、大半の方が一度は耳にしたことがあると思います(よくテレビのCMでも用いられますから)。 ピアノから繰り出される「ダン ダン ダン・・・」いきなりグッとこの作品の世界に引き込まれずにはいられません! 私がチャイコフスキーの曲を聴き始めるきっかけになったのもこの曲でした。
チャイコフスキー自身、ピアノの腕前はなかなかのもだったらしいです。これだけの作品を残す人なのですから当然と言えば当然ですね(ラフマニノフしかり)。
ほんのちょっとピアノをかじっただけの私ですら憧れてしまう、雄大なスケールの作品です。

【第1楽章】 アレグロ ノン トロッポ エ モルト マエストーソ(きわめて壮厳に、堂々と)
 −−− アレグロ コン スピリト(元気に、生気に満ちて)
ソナタ形式
ホルンに導かれて冒頭で提示される雄大な主題の見事さは、この作品の最大の聴きどころと言っても過言ではないでしょう。主部はかなり自由で変則的なソナタ形式になっており、再現部まで進んだ後、ピアノのカデンツァが奏でられ、輝かしいコーダによって楽章の結末へと至ります。第1楽章に比重を置き過ぎていてるとの批評の声もあるようですが、とても雄大かつ豪華な魅力溢れる楽章です。大海原に帆を広げ、悠然と航海に旅立つ情景がなぜか目に浮かびます。ただ、演奏時間が20分程かかるこの楽章、最初のインパクトがあまりに強烈なためか、私個人としては途中ほんの少し退屈かな〜という気が・・・・・。

【第2楽章】アンダンティーノ センプライス(歩くより早く、飾らずに)
三部形式
のどかでとても美しい楽章です。田園風景を思わせるような静かで情緒溢れる音楽に続いて、とても動きの速いものへと移り、主部の再現とともに静かに終結します。甘美なロシア的情緒溢れる主部に対して、中間部は大変目まぐるしい動きとなっているのが特色となっています。

【第3楽章】アレグロ コン フォーコ(快速に、情熱を持って)
ロンド形式
ロシアの民族舞曲を思わせるような主部。西欧の音楽とはちょっと違った感じを受けました。力強く足を踏み鳴らして踊るような、そんな感じでしょうか。
クライマックスへ向かって、ピアノとオーケストラの華やかな競演が繰り広げられます。互いに演奏効果を出しつつ高揚を続け、圧倒的な盛り上がりをみせるダイナミックなコーダーでこの曲のフィナーレを迎えます。






☆チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第一番変ロ短調を聴く(CDの記録)

@ピアノ:スヴャトスラフ・リヒテル / 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン / ウィーン交響楽団    1962年9月録音