マーラー、チャイコフスキー、ラフマニノフ好き管理人のクラシック音楽の部屋「ほんのちょっとクラシック気分」





クラシックCD鑑賞 ひとくちレポート(J.S.バッハ)


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★ Contents ★
ゴールドベルク変奏曲
(デジタル盤)
管弦楽組曲(全曲)
ブランデンブルク協奏曲
無伴奏チェロ組曲
無伴奏ヴァイオリンのためのバルティータ第3番、第2番/ソナタ第3番
ゴールドベルク変奏曲
(モノラル盤)
★ ゴールドベルク変奏曲 ★
グレン・グールド(1982年デジタル盤)  (2007/9/20 記)

27年前の初録音のものと聴き比べたい!! このCDの購入動機はそれが一番でした。
一言で感想を述べるならば、「えっ? これが同じ曲? 同じ人が弾いているの?」と思うほどの衝撃が走りました。
前録音では、グールドの若い才気溢れる演奏が押し寄せてくるような演奏。 今回は・・・何と言うのでしょう? 凡人の想像力を遥かに超えた、まったく新しい「ゴールドベルク変奏曲」とでも言うのでしょうか。
まるでピアノと戯れているようにさえ感じました。

楽譜を持ち合わせていないので間違っているかもしれませんが、前回は楽譜に忠実な演奏だったと思うのですが、これは、テンポ、アクセント、装飾音・・・いろんなものが、グールドの感性によって変えられ、演奏されているようです。旧盤との大きな違いは、誰が聴いてもわかる速度。 驚くほどの速さで弾かれているそれに対抗するように、限界までゆっくりと弾かれています。 これはこれでかなりの技巧が必要なのでしょうね。 レガートで弾かれていた部分をスタッカートで弾くなんて・・・。バッハが聴いたら激怒しちゃうかも?

演奏の表現は全く違うものの、前録音のグールドも、この録音時のグールドも「挑戦的」であることだけは変わらないなぁ、と思わせるCDでした。


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★ 管弦楽組曲(全曲) ★
指揮:ラインハルト・ゲーベル/ムジカ・アンティクヮ・ケルン(1982年/1985年)
(2007/9/13 記)

ブランデンブルク協奏曲と並んで、バッハの代表的な管弦楽作品の一つ。バリエーション豊かな独立した4つの組曲から成っていて、宮廷音楽の集大成と言われています。 クラシック通でない人でも一度は聴いた事のある「G線上のアリア」は第3番の2曲目です。 第1番から第5番までどれをとっても優れた演奏で、宮廷の雰囲気そのままに華やか高貴なものでありながら、『ブランデンブルク協奏曲』を聴いた時に感じたシャープさや新鮮さもあって、とても心豊かな演奏でした。
今更言うまでもありませんが、バッハの装飾音は本当に美しい。 それを弾きこなし、美しさを聴衆に伝えられる演奏者もすばらしい。
この組曲の中では、2番、3番がお薦め曲、演奏の定番とされているようですが、1番!よかったな。
とにかく、どの曲も聴いていて心地いいんです。一曲一曲は30分以内ですので、忙しい時間の合間にも聴けるところもいい!
宮廷に置かれているチェンバロの可愛くも上品な楽器・・・そういう風景が頭に中に自然に浮かんでくる。優雅な気持ちになれますよ。

そうそう、グスタフ・マーラーによる編曲版もあるんですよね。


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★ ブランデンブルク協奏曲 ★
指揮:ラインハルト・ゲーベル/ムジカ・アンティクヮ・ケルン(1986年/1987年)  (2007/6/21 記)

「協奏曲」。主役となるピアノやヴァイオリンなどの一人の奏者が、オーケストラをバックに華麗な演奏を繰り広げる。ラフマニノフのピ協をはじめ、私が好んで聴いてきたのはこの手の曲。
でも、協奏曲には「合奏協奏曲」と呼ばれる独奏楽器が必ずしも一つとは限らないもので、主にバロック時代の協奏曲があります。そしてこの「ブランデンブルク協奏曲」は後者の代表的作品。

ブランデンブルク伯爵に捧げられた曲に相応しい華麗さと気品を持ち、宗教的雰囲気も含まれた神秘的な曲集です。 また、どこか牧歌的でもあり、聴いている私も心が華やぐと同時に安らかな気分そして心躍るような楽しい気分になります。
また、それぞれに見られる楽器編成もおもしろく、高い演奏技術もしっかりと求められているところは、さすがバッハ!

さてさてこのCD。バロックが苦手だった私を驚かせました。 ぜんぜん古臭くないのです。先にも書いた様に、この協奏曲には「宮廷音楽的気品」「宗教音楽的神秘性」は確かに存在するのですが、その域を少しはみ出しているような、そんな印象が強く残りました。 速度が早く軽快な印象というだけでなく、個々の楽器が奏でる音そのものが、斬新でとてもモダンに描かれているのです。特に第5番、フルートとチェンバロの魅力に取り付かれますよ!
そうそう、第6番もすごい! 「これがバッハ?」という感じ。 本当に面白く、印象に残るCDには間違いないような気がします。


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★ 無伴奏チェロ組曲 ★
ヨーヨー・マ(1994年〜1997年)  (2007/3/4 記)

馴染み深いプレリュードが始まると、低音のゆったりとした、それでいて情熱的なうねりをもった音が、ゆっくりと心の奥底の方に漂ってきます。マの演奏は、弾き方そのものは、とても感性に響いてくる情熱的な弾き方をしているように思われるのです。 それなのに、聴いている側にがんがんと迫ってくるでもなく、なぜか心がなごみ穏かになってきます。
第1番〜第6番をよくよく見てみると、なるほど6曲中、4曲が長調で作られているのですね。もともと低音パーツのチェロでの短調の曲は、暗い哀しみと絶望を表現するには、あまりに効果がありすぎて感受性の高い私は涙を流してばかりになってしまいます(~~; それが、気持ちが沈んで行きそうになると、長調の曲を軽やかに弾いてくれているので、とても安定した気持ちになれるのですね。

どれも曲も演奏も素晴らしく、技術、感性のバランスがとても良くとれていて、私の様な初心者でも聴きやすいCDだと思いました。

また、このアルバムは『インスパイアド・バイ・バッハ』というテーマで録音されたもので、聴く人すべてにバッハから何らかのインスピレーションが得られるようにとの願いが込められているそうです。

先に記載した「無伴奏ヴァイオリン・・・」も同様なのですが、演奏家一人っきりの独演となるので、他の音や他の感性が分混ざり合わない分、演奏家それぞれの表現の違いが明らかに出て、聴き比べもしやすような気がします。もっともっと他の演奏家の「無伴奏チェロ組曲を聴いてみたい!」。 そう思わせる1枚となりました。


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★ 無伴奏ヴァイオリンのためのバルティータ第3番、第2番/ソナタ第3番 ★
ヒラリー・ハーン(1996年・1997年)(2007/2/8 記)

「バッハのヴァイオリ〜〜ン♪」。 どのCDにしようかと探していた私の目に飛び込んできたのが、まるでルネッサンスの絵画の中から出て来たような、美しく可愛らしい女性のCDジャケット。まずその容姿に一目惚れをした私は、「この子のヴァイオリンが聴いてみたい」と、即、購入してしまいました。

どんな音を聴かせてくれるのか、わくわくしながら聴き始めました。 バルティータ第3番ホ長調のプレリュードが流れるなり、その音色の美しさと素直さに引き込まれていきました。 目を瞑って聴いていると、まるで草原のさわやかで優しい風を感じさせる、心が澄み渡る音色にうっとり。
「私の選択は間違っていなかった!」と思わず叫びたくなる程感動しました。

これがわずか17歳(当時)の子の演奏! やっぱり才能のある人間に年齢は関係ないのだと改めて実感です。

バッハのごまかしの効かない、完璧なバランス、そして崇高な音楽を、この少女は見事に弾きっていました。

どれも素晴らしかったのですが、私としては”シャコンヌ”に関しては、もう少し情熱的にというか、こう・・・もう少し訴えてくる何かがあったほうがよかったかなぁ〜と。 好みは人それぞれですからね。 私としては情熱的なシャコンヌが好きなので(~~;

毎晩寝る前に必ず聴いているので、娘に「お母さん、これ毎日聴いてるね。私もちょっとだけ覚えてしまったわぁ」と言われてしまいました。 このCDを聴いていると、本当に心が洗われるというか、安らげるのです。


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★ ゴールドベルク変奏曲 ★
グレン・グールド(1955年モノラル盤)  (2007/1/28 記)

CDをセットし、再生ボタンを押し、最初の主題であるアリアが始まります。巧みな装飾音が穏かに響きます。と思う間も無く、次からの30からなる変奏曲が一気に私の中を猛スピードで通り抜けていきました。そのスピード、そして1声〜4声による、目まぐるしく巧みな声部の構成に、「えっ? どうやって弾いているの?」と、私の頭は混乱(?)してしまいました。

とにかくすごいんです。指の一本一本が別々にバラバラに自由自在に動き回っていて、それでいてしっかりと一つの曲が作りあげられているんです。
グールドの演奏の速さ、その集中力、そして完璧な演奏に驚嘆し、感動しました。生で聴いていたら、しばらく声も出せないのでは?と思うくらい。

このプログラムによる録音には1981年盤があるらしいのですが、そちらはゆったりとしたテンポでじっくりと聴かせる演奏になっているそうです。これは是非聴いてみなければなりません!

さて、この曲の逸話をご紹介しますと・・・
「当時ドレスデンの宮廷に駐在していたロシア公使のカイザーリンク伯爵は、健康がすぐれぬために眠れぬ夜を過ごす事が多かった。そしてそうした夜には、伯爵の邸に住んでいたバッハの弟子の若いチェンバリスト、ゴールドベルクが、控えの間で、不眠の伯爵を慰める為にチェンバロを演奏しなければならなかった。ある時伯爵は、バッハにそうした夜にゴールドベルクが弾く為におだやかで、しかも陽気なグラヴィーア曲を作曲して欲しいという希望を述べた。バッハはこの希望に添う為には変奏曲が一番よいと考えた。・・・・」

こうして主題のアリアを最初と最後に置いた、30からなる変奏曲が生まれました。


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