もう誰しもわかっていよう。何が原因か。 [経済・社会]

もう誰しも分かっていよう。

デフレという経済の基礎的諸条件が変わった市場で、
正常な経済状態の時に使っていた経済政策が通用しなかったことは、もう誰しも分かっていよう。

そのため津波の被害による公共投資がなんら経済の復活やデフレの解消にならないことはもう誰しも分かっていよう。

(注、念のために付け加えておくが、復興のための公共投資は、津波被害の地域を回復させるが、他の地域を疲弊させ、全体が下降するという意味である。さらに付け加えると、今まであるところに公共投資を追加するより、津波で何もなくなったところへ投資をする方が景気にはよい効果を与えます。それでもデフレ解消するところまで行きません。)

いつまでも政策がこの20年間変わらなかったために財政が破綻に瀕し、国民生活はバブル以前の状態まで落ち込んでしまった。

愛知万博、ワールドカップサッカーの誘致、2千円の発行、チデジ化、などのイベント的興業は、デフレ下では、そのイベントが終わると同時に、しぼみより深い下降を経済にもたらす。

オリンピック、カジノ構想などすべてのイベント的趣向が、デフレの下においては、需要の先食いとなるだけであり、経済は一向に上向かない。

このようなことはもう誰しも知っていよう。

何が悪いのか。もう誰しも分かっていよう。

低金利が何をしたか。過剰な金融緩和が何をしたか。

低金利による生産者への生産刺激や、研究開発費、構造改革費などなんらデフレ解消にはならなかった。

消費額が減少しているところに、生産物を増やしても、販売競争が激しく、思うような価格で売れず、結局付加価値を減じて売らざる負えないのである。

このような時の生産増は、所得増に結び付くことは無い。
低金利は預金金利をも激減させたため、高齢者の貯蓄を枯渇させ、消費をさらに落ち込ませている。

もう誰しも分かっていよう。デフレ下では、生産増がコスト高を招くだけであり、付加価値が余計に減少し、所得が下がるのである。デフレは、収穫逓減の法則が支配している市場であるため、生産が増えるにつれ付加価値が減少していく。

この20年間名目GDPが減少し続けているのはこのためである。

もう誰しも分かっていよう、異常な金融緩和が円キャリーを生み、それがアメリカのサブプライムの崩壊、アイスランドの破綻を見たことを。

そして日本の踏襲をしたアメリカの低金利政策がどれほど新興国の資産や、原材料の価格を上昇させているか、そしてバブルの崩壊を避けるため金利の引き上げや、経済の引き締めにやっきになっているかをだれしも知っていよう。

彼らは日本やアメリカの低金利政策の犠牲者なのである。いい迷惑なのだ。

にもかかわらず日銀は相変わらず低金利の異常な金融緩和を続けようとしている。それが日本以外の国のバブル要因であることが分かっているにもかかわらず。

デフレでは消費税の税率アップがデフレスパイラルを招くことは誰しも知っていよう。ようやくこのことが認知されてきたようだ。

しかしそれに対する成長戦略の大部分が意味をなさない旧態依然の経済政策であることも誰しも知っていよう。
相変わらず需給ギャップ理論による、公共投資や生産刺激策のオンパレードである。

ようやく税収増には実質GDPより名目GDPの成長が大事であることが分かってきたらしいが、その名目の成長のさせ方がまたも、生産刺激策や、公共投資、低金利では、一体今まで何を経験してきたのだろうか。

もう誰しも分かっていよう、どうすればデフレが解消できるか、インフレスパイラルを起こすことができるか。

単に低金利にすればインフレになるのではない。市場のお金が増えるのではない。消費者側に増やさなければならないのだ。

それは消費者への直接投資である。ものを作るより、購買力を引き上げることに愚直に専念することが、生産量に比べ資金量を引き上げることになり、それが所得線の角度を引き上げるのである。

それがデフレ解消の正しい道程なのだ。

低所得者に対する補助金又は負担の減額、ガソリン税の減額、低所得者への子供手当、高齢者の年金額の増加、個人預金金利の引き上げなどである。

子供手当がばらまきであるという論調こそ、日本の政策の失敗を物語っているのである。

保育所より、子供手当が景気には有効であり、給食無償より、子供手当が大事なのである。教科書無償より子供手当の方がデフレ解消になるのである。

子供手当資金が確実に全額消費に回るよう、所得制限を厳しくすべきなのは言うまでもないだろう。

少なくとも助成した資金が確実に全額消費されるような政策が大事なのである。

デフレの時は、これが正しい政策であり、実質GDPより名目GDPを引き上げる投資効果の大きな政策である。

これに対しデフレの時、生産刺激策や、生産者への各種補助金、公共投資こそ浪費であり、ばらまきなのである。

もう誰しも分かっていよう。i異常なほど長く新聞が同じ論調で、同じ政策を推奨しているか。

新聞の論調は完全に経済原理に反している。それゆえに日本経済は復活の兆しが見えなくなっている。

特にこの10年間、新聞の論調が如何におかしいか、経済白書の内容が如何におかしいか、誰しも知っていよう。

その通りやってきた政策がなんら効果を上げていないのである。今、原発や津波対策で問題になっているのは、専門家がなんら役に立たないことである。

日本は過去、経済一流といわれ、政治や社会学者が二流と言われていたことを誰しも知っていよう。

経済専門家、経済学者、特に著名な一流と思われている人達の政策がなんら役に立たなかったということである。しかもこれだけ失敗していてもなお同じ政策を踏襲するのである。

新聞の社説や、論説も同じである。しかも日経から始まり、他の新聞も含め同じ論調なのである。日本人を洗脳するのにこれほどよい仕組みはないだろう。

中国のようにあからさまに言論統制を命じれば、反感を買い、誰も従わないが、日本の場合全部の新聞が同じ方向に向いている。

みんで討ち死に、みんなで転べば、責任問題は出ないからだ。これでは、まともな経済理論や政策が取り上げられることはないだろう。


一言主

2011年8月03日

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