隠せない真実の経済データ [経済・社会]

隠せない真実の経済データー(路線価と短期経済観測)

6月の短期観測調査が発表された。
7月1日の読売新聞夕刊の1面トップの右側では、
景況感2年ぶりプラス:大企業製造業5期連続改善の活字が踊る。
その横手左側では、路線価2年連続下落の活字が並ぶ。
これをどう捕らえるかだ。大企業の製造が増え輸出が伸びても国内の資金が減少しており、デフレが進行しているのがよく分かる例である。

国内の地価の低減は、まだなお換金売りがなされていることを表している。人々は自分が手に入れた地価よりも安い価格で手放しているのである。

ハートランド(国内の所得を生み出す産業基盤)が今なお縮少を続けており、その資金減少分を補うため資産を換金売りしている状況が見て取れるだろう。

これがインフレであれば逆に、ハートランドの過熱が資金をあふれさせ、土地資産に向かうのである。その時人々は、手に入れた価格以上で販売する。それ故資金がどんどん増えていく。

現在の状況は資産がどんどん目減りしており、経済政策がなんらデフレの防波堤になっていないことを示している。これがその統計データーである。

私達は1990年のバブル大崩壊以来およそ20年間に渡り、土地価格が下落し続けている事を知っている。そしてそのかたわらで、何回も同じように政府や専門家が景気回復の兆しを喧伝してきた事も知っている。
しかしその景気はいずれも自律回復する基調のものではなく、投資をやめるとすぐに萎んでしまう性質のものであった。それもその投資資金すら回収できず莫大な借金を残しながら萎んでしまったのである。

今回もまた同じ轍を踏んでいるのである。そのことは誰もが知っていよう。同じ失敗を繰り返しているのである。政策をどう変えればよいか知らないのだ。

そして経済が萎むとまた再び新聞や経済専門家が矢の催促で追加の経済政策を要請し、同じような無意味な経済政策を実施するのである。もはや誰もだまされはしないだろう。だが当局は同じことを繰り返すだけだ。この間も民間、国双方で借金が増えていくのである。

この成長も今までと同じであり、輸出が伸びても、外国の状況に左右されるため安定することはない。
路線価格が2年連続下落中であると言うことは、我々の財産が確実に減少したことを意味している。

今までの経済政策では、輸出依存型の経済にならざる負えず、国内全体の財産の目減りを補うことができないのだ。

読売新聞が、従来型の経済成長戦略を唱え、低金利、金融緩和を政策を取り、さらに公共投資や企業への補助金(法人税減税など)などを積極的に行っても、このような現象はなくなりはしない。
このやり方がデフレ促進策であることは明らかなことだ。

麻生政権下からの馬鹿げた莫大な経済対策が、相も変わらず自律回復しない無理やりの生産刺激策であったことが自ずと分かるデーターである。

思えば1997年の消費税を上げる前もこのような、景気はましになっているが、路線価は下がっている状況であった。

路線価が下がっているのは、国内の資金が減少していることを表している。個人や企業が土地を手放し借金返済のために換金しているのだ。所得が減少しているからである。

資金の減少が土地価格を下げ、商品価格やサービス価格を下げる要員である。

このような時にさらに資金を市場から奪う消費税を増税することは、さらに資金を市場から枯渇させることになる。我々の懐から無理やり政府の懐へ資金を移動させられるのである。

これで土地売買が活発になる事は考えられない。消費税を国に納めるために換金売りが増えるのが落ちだろう。
土地を買うどころでなくなった多くの人々が、商品を積極的に買うことはない。再び価格競争が激化するであろう。今度の消費税を上げは、国内の生産では付加価値が出なくなるほどの価格に下がるかもしれない。

路線価の低減ほど日本のデフレが進んでいることを表すものはない。商品や製品の価格、又はサービス価格は、ガソリンの値上がりや、公共料金などの値上げで隠される場合があるが、全国規模の路線価は隠すことができないデータである。

リーマンが買いあさった大都市圏の土地の値上がりも地方には及んでいなかった。デフレは製品の価格だけでなく、地価の低減も重要な指標なのである。

さらに消費税の増税で徴収した資金を再び道路やダムなどの公共投資や箱物の福祉政策(保育所や介護施設、など)に使われることになると、想像以上の損失が発生するであろう。恐らく破綻することになる。

新聞の論説記事はいつまで馬鹿げたデフレ促進策を推奨するのであろうか。5主要新聞の論調はほとんど同じで版を押したような書き方である。

内閣官房機密費に似たようなものは、財務省にも、法務省にもあるのだろう。すべての省に存在しているのだろう。これを明らかにする政権が出てきてほしいものだ。

一言主

2010年7月5日

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