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         デフレ・インフレの一般理論
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2008年8月7日 ガソリンの補償よりガソリン税の軽減を

生産者へのガソリンの補填は無意味、ガソリン税の軽減が肝要。

いよいよと言うべきか、やはりと言うべきか、自民党は漁業者へのガソリン補填への予算を付けるようだ。これは漁業者への選挙対策にはよいかもしれないが、経済学の理論に完全に反する政策だ。

またこれに呼応するかのように民主党の小沢代表が自分の方がもっと大きく補填できるぞと雄叫びを上げました。
日本の問題点はこのように政権が民主党に移っても、経済政策のやり方がなんら変わりなく、自民党の模倣政策を踏襲する可能性が高いことです。今後解散があって民主党に政権が移った場合でも、正しいデフレ解消策が出されるとは限らないのです。

それほど今のデフレという状況を、経済学者も、政策担当者も、全く理解できていません。

ガソリンの値上がり分を予算を組んで補填し、漁獲量を増やす政策は、既に過去において何度も失敗してきた補助金政策と同じです。これは今まで何度も経済政策として、あるいは成長戦略として、上げ潮政策として取ってきたものとやり方が同じ方向なのです。今まで政府が取って来た上げ潮政策や成長戦略は単に名前だけが前向きであるだけで、実際はデフレ促進策に過ぎなかったのです。それが今の惨状をもたらしました。
企業への補助金政策等の研究開発費、構造改革費、雇用促進費、という名の政策は、企業への資金ばらまきであり、生産を刺激し生産量をあげ、それにより所得を増やす政策です。また低金利で企業に借り入れしやすいようにするのも同じことです。
その結果は惨憺たるものです。景気浮揚になんら効果がなかったのです。選挙対策は以外には。

日本の借金が莫大なものになったのは、このようなデフレではなんら意味のない政策を執拗に何度も取ったことが原因です。借金の莫大な累計額は、新たな財源をこれ以上探すことは困難なところまできています。

仮に赤字財政の上にさらに借金をしてこの資金を捻出したとしよう。
デフレは所得線の角度が45度より下がり、貯蓄がない経済であるため、産業全体の生産曲線が資金量や価格に対して右下がりになります。それ故生産量を増やすような政策は一向に売上が増えず、生産量が増えるにつれ価格が下がっていきます。

例えば消費額が1000円と決っている時、生産量を100個からさらに150個、200個へと増やして行くほど
1単位辺りの利鞘が少なくなっていくのです。
生産費用が増えるが利益は増えず、所得が増えないのです。それがデフレの根源的な性質です。

漁獲量を増やすような政策は、企業への優遇策と同じように、生産量を刺激し、生産量(漁獲量)を増やします。しかし消費額が増えていないため、市場に持って行くと、漁獲量の増大が、返って低価格競争を勃発させることになります。
消費額が壁となって、1匹辺りから得られる付加価値が下がるのです。結局漁師は十分な利益を得られないことになります。それが政府の補助金が無駄になり、借金に変わるのです。

正常な経済(所得線が45度)かインフレ(45度以上)であれば、貯蓄があるため、漁獲量の増大が市場で普通の利鞘で取引され、魚の売上が伸び漁師の所得が伸びる事が予想されます。経済理論もそれを容認しています。生産量の増大は、資金増、価格上昇、所得増を招く事を表す、右上がりの生産曲線を描いているのです。

しかしデフレでは、このようにならないのです。漁獲量が増大しても、消費額が伸びないので、今までの消費額の中で増えた漁獲量を販売しなければならない。そのため低価格競争が起こり、1匹辺りの利鞘が減少する。漁獲量が増えても売上が増大しないため、漁師の所得も伸びないのです。

それ故デフレにおいては、生産量の増大は、資金の漸次低減、価格の低下、所得の低減をもたらす右下がりの生産曲線を描かなければなりません。

デフレにおいて、生産曲線を右上がりに描くような経済理論を珍重している限り、間違った政策を行い、デフレ促進策を取ることになるのです。日本の成長戦略や、上げ潮政策がことごとく失敗し、返って所得減少に見舞われ、低所得化し、(格差社会)借金が増大したのは、これが原因です。

この付加価値の減少が利鞘の減少となり、次期への投資が漸次少なくなる。拡大再生産に必要な投資額に足らず、縮少再生産に陥って行く。この繰り返しが借金を増大させ、破綻に突き進むのです。デフレとはこの繰り返しなのです。
経済学者は一刻も早くこの愚を理解し、正しい経済理論に改めなければなりません。

このようにガソリンの生産者側への補填は経済の理論に反したものであり、さらなる借金増やすだけであり、経済の拡張は認められません。一時的な対症療法に過ぎず、全体のデフレ解消にはつながらないのです。

これに対しガソリンの暫定税率の廃止は消費者を優遇する政策であり、資金をを市場に増やす政策となるため、消費者の購買力を増やします。企業は利鞘を生産物に載せ易くなる。それが売上の増大を招き、所得が増えていく好循環になります。生産量を増やすのではなく、資金を増やし消費を増やす方向に動きます。大幅に経済が拡張しデフレが解消するのです。
生産者にも、消費者にも恩恵が平等に行き渡り不満が少なくなります。

所得線の角度が45度より下がった二等辺三角形(のデフレのハートランド)は、横に生産量をいくら伸ばしても、角度は上がりません。縦に資金量を伸ばさなければ、角度が上昇しないのです。角度が上昇しない生産増は、いくら働いても所得が上がらないのです。資金量が増え、生産すれば角度が上昇し、所得が上がります。

これがデフレの公式です。これに逆らう政策はすべて失敗します。この当たり前の理屈が分からないため日本の生産者優遇政策はことごとく失敗し、今借金を返せないところまで来てしまいました。

最悪は、我が政党は、漁業関連にこれこれのガソリン補填を行います。いや我が政権はそれ以上の補填を致します。あるいはトラックや輸送関連にもこれだけ補償します、原油高による資材の高騰に対して、農民にこれだけの補填を我が党は致します。というようなことになれば、
お金を無意味にばらまかれ、なおデフレを促進し、借金が増えるだけです。しかし次の選挙ではどの政党も、このような国民をさらに地獄に陥れる政策を取るかもしれません。

これはデフレの場合選挙対策にはなっても、
その場しのぎの政策に過ぎず、デフレ解消にはならないのです。一見、一つの対策としては、有効であるように見えるが全体としてデフレを促進しているのである。

これに対してガソリン税の軽減は、一つの場面に対してまどろっこしいかも知れないが、確実にデフレ解消に進むのです。多くの人に平等に恩恵が得られ、経済が拡大するのです。

ガソリンの暫定税率をカットするに当たりあれだけ財源をどうするのかと騒いでいた政党が、わずか3カ月後には、補填をすると言い出し、その財源を今度はどうするのだろう。補正予算を組むようだ。ただ借金を作るためだけに。

新たな借金をするより、道路に回す資金を削減した方がよいはずだ。それなら我々の負担が増えることもない。

さて新聞の社説はどうするのだろう。あれだけ財源がないと言って反対しながら、今度は補正予算を組んで借金を増やして、馬鹿げた補填策をすることに賛成するのだろうか。

こんな馬鹿げた政策を取るなら、5月にガソリン税を安くしたままの方がよかったというべきであろう。財源をどうするのだと叫んだ社説が今もう一度財源をどうするのだと叫ぶ時だろう。

まともな新聞論者なら、補填よりガソリン税を下げろと言うべきだろう。
新聞は完全に間違った政策に加担し国民の敵になっている。

こうした新聞のていたらくを見るにつけ、先の戦争時マスコミがこぞって戦争遂行を煽ったということが正しい見方だという事がよくわかる。
現在も時の政策担当者の空気を読んで、先回りし間違った方向へと導びいているのである。

今や日本は資金が枯渇し、増税もできないところに追い込まれている。今までの負担の中でどれかを切って、経済を成長させる方に回さねばならないのだ。
新聞はこれを声高に言い、ガソリン税の低減と、道路に回す予算を削るように提言すべきなのである。

現在の原油高による物価上昇に対して、ガソリンの暫定税率を廃止することが最もよい方法である。その分道路に回る税金をカットすればよいだけである。5月のガソリン税を再び上げたことは、日本の大失敗であり、世界的愚挙であった。

そのためこのようなみっともない場当たり的な見込みのない政策を取り、国民をさらに窮乏化させなくてはならないのである。もし5月にガソリン税が軽減されていれば、この年末には確実に日本はデフレ解消のきっかけをつかみつつあったであろう。これは世界に貢献できる大チャンスも逃したことを意味する。

一言主。http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
mまたは、http://www.eonet.ne.jp/〜hitokotonusi
日本のウイニングショット参照。