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         デフレ・インフレの一般理論
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2008年7月24日 ラーメン煮えたもご存じない2千8年労働白書

ラーメン煮えたも御存じない2千8年労働白書。

昨年の労働白書も笑えたが今年もやはり同じ過ちを繰り返している。

朝日コムの解説した物を引用すると「企業が競争力強化のために進めた正社員の絞り込みとパート・派遣など非正規雇用の拡大がかえって生産性の上昇を停滞させている。」ー厚生労働省が22日発表した労働経済白書はこう指摘しているらしい。

今年は非正規雇用者の増加が生産性の悪い原因であると言うことらしい。
そして日本の特徴であった長期雇用を賛美している始末だ。
何やら本末転倒しているように見える。そもそも昨年から見方が間違えており、辻褄合わせにやっきになっているようだ。

まず企業はなぜ非正規雇用を増やし、正規社員を削減するのか分かっていない。またなぜ日本の終身雇用や長期雇用を止めざる負えなかったのか。この説明がない。

バブルが崩壊し日本は長いデフレに入っている。政府はそれを解消する方法を取っていない。逆に促進する政策を取っている。
そのため企業の販売している商品やサービスが消費不足で思うように売れない。数量が出ない、低価格で売らなければならない。企業は思うように利鞘を取ることができない。その結果リストラをせざる負えなくなった。総賃金の抑制を行わざる負えなくなったのだ。

その結果正社員を長期にわたり雇用し、厚生年金を払い、退職金を払えるような状態ではなくなった。長く働いていた正社員からリストラし、非正規社員を雇わなければ経営が成り立たなくなったのである。

これはデフレという資金がどんどん市場から減少していく経済にあっては、企業や労働者のまた資本家の当然の経済行動であり、見事に日本企業は適応しているのである。これはほめられるべきことであり非難されることではない。

非難されるべきは正しいデフレ政策をしない政府の方針であろう。名目GDPを増やすべき政策を取らなければならないのに実質GDPを増やす政策を取っているからである。

労働白書が歌う非正規雇用者の低生産性の問題は日本には存在しない。デフレでは低賃金者が優遇され、儲け憎いから低賃金者が増えるのである。労働白書は市場の儲け憎さを強調すべきなのである。


商品やサービスが売れなくて利益率(付加価値)が悪くなったから、低賃金労働者を雇うのであり、低賃金労働者を雇ったから、利益率(付加価値)が悪くなったのではない。

今年の白書は低賃金労働者を雇うから生産性が悪くなったと言いたいらしい。

今現在まで消費税を5%に上げた頃からこの11年の間賃金が減少し続けている。しかしそれ以前あるいはもっと前バブルのころ労働者不足から低賃金労働者など居なかったのです。それが中国などの発展途上国とは違うところです。
この白書の言いようは、日本の企業は低賃金労働者を雇うからどんどん付加価値が悪くなったということになる。

どこから低賃金労働者がこんなにもたくさん現れたのだろうか。バブルのころは高給取りばかりだったのに、おかしな話です。昔から未熟練労働者は居ましたが今ほど低賃金ではなかったと思います。厚生労働省は、低賃金労働者をどこかに隠して居たのでしょうか。
そうではないでしょ。物が売れない、思う価格で、思う量売れない、そのためリストラに継ぐリストラで、少なくなった利益額でやり繰りしてきたのです。

同じ仕事で同じ付加価値を上げて居るにもかかわらず低賃金労働者を雇わざる負えないのです。
それは消費不足が続いて居るからです。今なお生産量より資金量が少ない状態が続いているからです。

外国から安い物が入ってくるから、低賃金化していったのではなく、低賃金が外国の安い物を買いあさるようになったのです。

日本の労働者は恐らく世界で最高の部類に入る生産効率を上げているでしょう。そして算出する付加価値も最高水準にあると思われます。
しかしその製品を日本市場で販売すると、極端に安い価格でたたかれるのです。
産出した生産物に対して正当な価格で評価されていないのです。作った物が十分な拡大再生産に必要な利潤を満たす価格で売れないからです。
ここに問題があるのです。

労働生産性には二つの意味があります。1つは、生産効率という意味の物です。物を作る速さや量の大きさを競うものです。もう一つは、作った物がどれだけ高く売れるか、利潤を上げられるかというものです。

今言われるのは、どれだけ利益率の高い物を作れるかを問う生産性です。これは市場に問題があるのであり労働者に問題はありません。確かに若い世代に非正規社員が多く十分に熟練しないという問題がありますがそれはあくまで派生的な問題です。

デフレでは生産量に比べて資金が不足している経済です。それ故常に競争が激しく低価格競争が起こります。それが付加価値に対して十分な利鞘を乗せられないのです。貨幣で正しく評価されていないのです。
単に儲け憎いだけです。

新日鉄やトヨタの生産ラインを考えてください。

新日鉄の高炉は、輸出用の高炉が生産性が高く、国内用の高炉が生産性が悪いのでしょうか。生産効率が同じでも、外国では、高く売っても利潤が出るが、国内では、消費が十分になく低価格で販売せざる負えないのです。

トヨタ自動車は生産車数を増やしていますが、国内の販売車数は減らしています。トヨタの国内ラインは、外国用のラインより、コンベアーの回りが悪いのでしょうか。そんなことはないと思います。これは市場の問題であり、労働者の問題ではありません。
労働者に何の落ち度もありません。

日本の労働者は恐らく世界で最も不幸な部類に入るでしょう。働きがいがないのです。働いた分に対する対価が低すぎるのです。正当に労働が評価されていないのです。にもかかわらず低賃金過剰労働に黙々と耐え続け、低所得により、生活保護所帯以下になっても文句も言わず、落後者は自殺者やうつ病になり淘汰されているのです。

そのうえなおも、厚生労働省のお役人連中のおかしな分析によって、いわれのない低生産性を指摘され、もっと働け、生産性が悪いから賃金が上がらないのだと罵倒されているのです。今まさしくこのような状態に日本がいる分けです。そりゃ犯罪者も増えるでしょう。労働者に何の落ち度もありません。幸福度が薄いのはこれが理由です。http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/さらなる強制労働を強いる労働白書(2千7年)

今、労働白書が指摘すべきことは、日本の民間労働者は恐らく最高の生産効率を上げているにもかかわらず、本来の付加価値以下の賃金しかもらえない状態であるということであり、そして今なお低賃金過剰労働の状態にあり、それは政府、政策担当者がそれを救う能力がないという事です。

その原因も明らかに経済政策に有り、デフレにもかかわらず、名目GDPを中心においた政策を取らず、また資金を消費者側に注入する政策取らないところにあります。
デフレはガソリン税の減税や、高速代金の低減、消費税の減額により簡単に直るものです。逆に生産者側に資金を注入している限り、デフレが進みいずれ突然死が訪れるでしょう。

一言主
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/