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         デフレ・インフレの一般理論
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2008年2月7日 道路特定財源の暫定税率廃止についての世論の不安定さ

道路特定財源の暫定税率の廃止についての世論の不安定さ

世論は違った方向に行っているような気がします。特に政治家やそれを書く新聞記者などの主張にそれが見えます。
道路特定財源を一般財源化するなどはなんら急ぐことでもないし、今焦点にする必要がないものです。

いま大事なのは、景気の回復であり、デフレの解消であり、そして何よりも原油高による物価上昇分を乗り切るためにガソリンの値下げが必要なのです。単なる生活防衛ではない。デフレ解消である。道路特定財源がどこに何に使われているかではない。

消費者側に直接資金が入るかどうかなのです。

ガソリンを安くしなければならない理由。
今ここでガソリンが安くならないなら、日本は大きな需要減に見舞われ、再び所得線が下降する事になるでしょう。これは再びデフレスパイラルに入ることを意味し、これに日本経済は耐えられるかどうか予断を許さないからです。

デフレの解消には資金を消費者側に、需要側に入れなければならない。今までと同じように生産者側に資金を入れていても経済は拡大しません。

デフレやバブルのようなインフレが起こるのは、市場に生産量に比べて大幅に資金が減った場合や、大幅に資金が増えた場合です。それは所得線の角度の上昇下降によって起こります。

これは今までの需要と供給の差による不景気と区別しなければなりません。需給差による景気循環では民間が十分な貯蓄を持っているので、生産者側に資金を入れて生産を刺激してやれば、消費が生まれ、所得が増えるので景気を拡大させることができます。

しかしデフレでは、貯蓄がほとんどないため生産側を刺激して生産量を増やしてもだれも今まで以上に買えないため、消費が増えません、それ故売上が伸びず、販売価格を下げ、本来の付加価値以下の価格で売ることになります。結局無駄な生産をしているに過ぎず、借金を増やすことになるのです。つぎ込んだ資金を回収できない事態を招くだけです。

新聞やテレビの取材でよく分かったことは、この道路特定財源はやはり生産量の増大になる方向におびただしい資金が使われていたことです。
道路の製造に始まりありとあらゆるものが、供給側に使われていることが明らかになりました。デフレにおいてこのような方向に、すなわち生産者側に、供給側に資金を入れることは、ほとんど無意味であり、返って借金が増える要因になっています。

それ故その余計な生産者側にまわっているお金を、デフレ解消にに役立つ消費者側に入れることが大事なのです。

デフレ解消の特効薬である理由は、新たな財源を設ける必要がなく、すなわち民間の負担になる借金を増やす事なく、間違った方向へ入れていた資金を、正しいデフレ解消に導き経済を拡大させる方向に入れることになるからです。

デフレの時市場は、生産量に比べ資金が著しく少ない状態にあり、所得線の角度は45度より下がっています。このような時生産量のみを量産すれば、その角度のままで所得が増えるが、1生産当たりの付加価値に対する価格が下がるばかりです。原価率が上がり利益率が下がるばかりなのです。
すなわちいつまで経っても資金が増えず江戸時代のようにすべての人が働いても貧乏が続くことになります。

それ故、デフレの時の景気回復のあり方は、この所得線の角度を上げる用に資金を使う必要があります。
需要と供給の差から生じた不景気ではなく、資金が不足したデフレの状態の不景気であるから当然違った景気対策が必要なのです。
それはケインズ経済の景気対策とは全く違ったものになります。

単純に図形から見ると、この資金と生産量の比率を変えるには、生産量をあまり伸ばさず、資金をハートランドに入れるのがよいのが分かります。デフレ所得線は縦軸の資金量の増大が、大きく生産量を伸ばすことが図形から分かります。資金が増えれば付加価値に対して価格が乗せ易くなる。製造に拍車が掛かるのです。それは角度を上昇させるエネルギーになり、デフレを解消させる道筋です。(http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/デフレインフレの一般理論:第4章デフレでの資金量と生産量の関係参照)

どうやったら資金が市場に入るのか。

これは消費者側の購買力を増やす事なのです。そうすることによって付加価値へ価格が載せやすくなり、
本来の経済成長に戻っていきます。
民間に掛かっている公共の負担分を減らし、その分を消費者側を優遇する政策を取ることがハートランドに資金を入れることでありそれが所得線を押し上げていくのです。
これは公共の負担分を減らすだけでなくそれを実際に真水としてハートランドに注入しなければなりません。経済が退潮している時、負担を減らした分を借金返しに使っていては、経済が縮小し再び借金が増えていくからです。その資金を市場に入れて経済を上向きにしなければなりません。でなければ今までと同じように退潮します。

こうすることによって付加価値につける価格が上がり易くなります。インフレ政策は生産量を増やさず消費者側の資金を増やすことです。デフレ所得線の角度は、生産量に比べて資金が増える方が上昇し易いのです。
このような政策のひとつが、高速代金の低減であり、ガソリン税の低下や、消費税の減税がデフレの解消に有効な理由なのです。

しかも都合のいいことに、道路公団には利益準備金が5、6千億あると云い、トラックの団体にも1500億ほど余っているらしい。これを高速代金の半減に使えば誰も困らず、消費が増えることになります。デフレでは誰もが民間だけでなく政府もお金が無く困っているので、このような余剰金を使うのがもっとも良い方法なのです。
ガソリンの値下げにはこの暫定税率の廃止でいいと思います。
消費税を3%に下げるには埋蔵金を使えばよいでしょう。消費税下げは確実に所得線を引き上げるので、経済は拡張します。これはデフレ線の角度が上がると、生産量が一定でも資金量が増えるため、確実に付加価値が生産物に載ることがわかります。
実際の話実現されれば用意した財源以上に実入りが入り、その財源を使うことなく他の用途に使えることになるでしょう。

この3つどれもが我々民間の負担が増える事なく、ハートランドに真水として資金が増えることになります。これでおそらくデフレは解消されるであろう。
なぜなら日本の労働に対する真摯さは、尊敬に値するものであるからです。
デフレ所得線から分かるように、約20年の長きにわたるデフレの中で、間違ったひどい政策により、労働生産性が世界最高であるにもかかわらず長時間の低賃金労働を余儀無くされ、所得が減り続けています。にもかかわらず、なお生産量を増大させているのです。暴動も起こらず、自暴自棄にもならず働き続けています。ただ残念ながら自殺者が増えているだけです。

このような時に正しく資金をハートランドに投入すればそのテコの反作用により一気に所得線が上昇し波に乗って行くでしょう。

今欧米はサブプライム問題で苦しみ始めています。しかしもはやサブプライム問題は怖くありません。デフレやインフレの仕組みがわかったからです。ハートランド理論はデフレやインフレを克服します。しかしもう少し彼らが立ち直るには時間が掛かるでしょう。約5年ほど。日本は逆にこの機に素早く立ち直り彼らの機先を制するチャンスが再び巡ってきています。資金をデフレを脱出する方向に集中的に使う時がきているのです。
今の世論はあちこち振れています。どのような妥協がなされても消費に真水が入るようになさなければ意味がなくなります。日本は再びさらなる苦境に入ることでしょう。
今は、ガソリンを安くすることに傾注すべきで時であり、生産量を増やしている場合ではありません。長閑に道を造っている場合ではないのです。

http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/デフレインフレの一般理論:参照)

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