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         デフレ・インフレの一般理論
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2007年9月26 さらなる強制労働を強いる経済白書

「さらなる強制労働を強いる経済白書。」
労働惨禍
8月に2千7年の経済白書が出ました。それには、経済成長の持続が大切であり、生産性向上がその鍵となるとあります。少子高齢化のため一人当たりの生産性を高める必要あるということでした。

はたしてこの見方は妥当なのでしょうか。

見方を変えるとこれはさらなる過剰労働の強制を宣言したのと同じことです。「やらずぼったくり宣言」といえるでしょう。お金を与えずさらに働かせようということです。

今日本はデフレ下において生産量を増やしており、これは経済を無理やり成長させているのと同じことです。本来なら資金を消費者側に投入し、付加価値に対する貨幣評価を高めながらデフレからの解消を図っていくものです。
しかし国民負担を減らす事なく、市場の資金不足を解消せず、低金利を続けているため、デフレのままの成長を続けています。

デフレでは資金量を増やさず生産量を増やすとますます賃金が低下傾向になっていきます。
というのはデフレの所得線は45度線以下の角度です。これは生産能力より大幅に資金が減ったため、生産量と資金量の比率が変わった事を表しています。この時資金が増えずに生産量を増やし、そのためさらに労働力を投入すると、支払う賃金総額が増えずに労働力が、言い換えると労働人口が増えることになります。そうすると当然一人頭の賃金が少なくならざる負えません。

これがデフレの労働曲線又は生産曲線と言われるもので右下がりになります。資金を縦軸にとり、生産量を横軸にとると、資金の減少に連れ生産量や労働量が増えます。又生産量や労働量が増えるにつれ付加価値が減少します。こういう現象が実際日本で起こっているのです。

それは民間労働者に過剰な低賃金労働をもたらし続けています。
そしてもう一つそれを補強するかのように世界の生産性ランクなるものが発表されました。日本はかなり低いと思わされています。16位だそうです。

この白書の問題点は2つあります。
一つは、生産性を上げさらに生産量を伸ばすということです。今のデフレの現状で生産量を伸ばせば、余計にデフレを促進させ、付加価値に対して価格を適切につけられず、より低い価格を付けることになります。デフレにおける生産量の増大は、低賃金と低価格をもたらすからです。
それ故この白書の結論は、デフレから脱出する道から遠く外れてしまっているということです。デフレでは生産性を上げ生産量を増やすと余計に賃金や価格が下がります。実際に名目賃金が下がり続けています。

次にしかし日本は本当に生産性が悪いのでしょうか、
これは日本は潜在成長率が少ないので低成長が普通だと言うような政府の自己弁護のような物のひとつでしょう。
日本は生産性は低くないと思います。恐らくかなり高い部に入るでしょう。少し見方を変えてください。
それは統計の取り方がおかしいのです。
ここで説明した通り、デフレ下では、付加価値に対して正当な価格による評価ができません。貨幣が少ないのでどうしても低く安く評価されざるおえません。他の国は正常な経済かインフレの経済です。当然付加価値に対して目一杯の価格で評価されます。

こういった他国との生産性の評価は、デフレか否かにより大きく左右されます。今の日本はどこの国より生産性が高いと言えるでしょう。それほど企業はリストラに継ぐリストラでコストを絞りに絞っているのです。これは常識であり当たり前のことです。一人で以前の二役も三役もこなしているのです。
デフレでなければ恐らく日本は最高の生産性を持っているはずです。

この好例の一つは、新日鉄が外需を享受する前、生産性が非常に悪いと言われたものです。ところが中国特需を受けるや否や、次年度に最高益を出すのです。
日本の今外需を享受している企業は最高益を出しているはずです。これは外需はデフレではなく、付加価値に対して普通の価格で評価しているからに過ぎません。
今日本の輸出企業が最高益を出すのは、日本の生産性が高いからです。輸出企業だから生産性が高いのではなく、輸出企業も高いのです。

個人の生産性をさらに上げるということは、今でも利益額が少ないため、人手を減らし、一人であれもこれも掛け持ちし、それでも満足な賃金をもらえず、過剰に働いている労働者に、まだそれ以上に働けということです。手や足が4本ずつ、頭も二つ必要だろう。あるいは過労で倒れよということです。まだ現場には余裕があると思っているのです。

恐らくこの白書を書いた人達は本当に仕事現場や生産現場を知らない人達のように思います。単に統計を見てうんちくを垂れているに過ぎないようです。他国と日本の現状の違いをよく把握すべきです。単に統計を照合しているだけでは勤まりません。

白書が言うようにさらなる生産性を上げる政策は、デフレではさらなる生産量の増大となり、企業が付加価値に対してますます正当な価格を付けられず、賃金が減少する可能性があります。現実は理論どおりに減少しないだろうが、賃金がなかなか上がらないでしょう。実際に今年は名目賃金が減少傾向にあります。
デフレに内在する生産曲線の右下がり現象は、あらゆる生産物や要素の価格を生産量を増やすにつれ、下げる方向に働きます。(デフレインフレの一般理論http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/

本来デフレからの解消は、資金をまず増やしそして生産物価格を上昇させていくのが正しいのです。
今やらねばならないことは資金を市場に増やすことです。高速代金を安くするような類いのものです。ガソリン税を下げる、年金支給を物価にスライドさせないなど消費者に対する優遇が大事なのです。

経済白書が目指す生産性向上の方向は、国民を低賃金で強制的に働かす事を目的にしていると言わざる負えません。本来前向きに提案している物が、残念ながらデフレというものに対する認識不足から国民に困窮と消耗をもたらすのです。それどころか強制労働になっていることがわからないのです。

(分かりやすく具体例で言うと、米不足で米の価格が高騰したインフレの時、米を輸入して米の流通量を増やして価格を下げるようにします、デフレはインフレの逆ですので、価格を上げるには、生産量を減らすべきなのです。これが当たり前の理屈です。)

我々はこの2千7年8月に出た経済白書を書き換えさせる事なく、他山の石として永久に保存し政府の非と、無知からくる悪政の象徴として常に座右の銘とすべきことを子子孫孫にわたり語り継がねばなりません。

デフレ・インフレの一般理論

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