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         デフレ・インフレの一般理論
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 2007年3月7日 アダムスミスの間違い

アダムスミスの間違い。

経済学の創始者と言われるアダムスミスが唱えた、経済の見えざる手が自ずと経済を調和させるという理論は、デフレやインフレの状態では全く役に立たない。(ここに言うデフレやインフレは、貯蓄以上に資金が減じたデフレや貯蓄以上に資金が増えたインフレを指している。)
この放任主義は今なを多くの人が信じているため迷惑千万なものになっている。この理論もあらゆる経済事象に通じるものではなく、ある一部の状態にある時に通じるものに過ぎない。

今思えば彼の理論のため、ヨーロッパがアジアに進出して来た時、自由放任主義を唱え、他に有力な経済理論が無かったために、アジア諸国は大きな被害を被ったと言えるであろう。この放任主義はアジアの多くの国がデフレに近い状態であったため、アジア諸国はその多くが輸出と輸入に頼る経済に陥り、国内の経済産業基盤を作り上げれず脆弱なままになってしまったのである。もし彼の言う放任主義が正しければ、またどのような経済の状態でも、それが正しいのであれば、今頃、発展途上国など無くなっていることであろう。

確かに未開発国は、治安が不安定、社会基盤が整理されていない等いろいろ経済発展が阻害されるものを包含している。しかしその中に経済学が間違っていたことも原因の大きな要素と言えるであろう。これが自由と民主主義を旗頭にし自分たちの体制を作るのが正義だと考え違いをしたヨーロッパ諸国がもたらした自由主義経済も、多くの未開発国や発展途上国で窮乏と災厄をもたらしたのである。このアダムスミスの理論の欠点は、正常な経済状態にある時にのみ通用するものであり、デフレやインフレ状態にある国では通用しないのである。反って災厄をもたらすものであったことは、既に証明されていよう。

彼の主張は、各々が自分の利益を求めて行動すれば、経済の見えざる手が自ずと経済全体を調和させるというものである。
しかしながらデフレのような経済が縮小する経済ではなんら意味が無いのである。どころか疫病神に過ぎない。また逆にインフレのような資金が、生産物に比べて膨張し過ぎるような場合にもなんら意味が無い。
デフレの場合、経済要素の各々が自分の利益を優先させればどうなるか。デフレは資金量が生産物の量に比べて順次減少していく現象である。この時政府関連の機関が赤字財政是正のために増税すれば市場資金はさらに枯渇する。各企業が利益を追求すれば、資金の取り合いとなり、資金が減っているためどこかの企業が損をするか全体が損するかのどちらかである。消費者がより安いものを買い求めれば、企業は赤字を出しそれが跳ねかえって所得減をもたらす。資金が減少している社会では各々が資金取り合い競争を続ければ続けるほど、資金が早く激烈に無くなるのである。それ故デフレ下では、放任主義は弱肉強食社会を促進することになる。政府は市場に介入して、資金を増やす役目を演じなければならないのである。しかしいまだ多くの人が、彼の放任主義を信じているため、適切な介入が、適時になされないことが多々ある。
ハートランド産業経済基盤が45度線より以下になる時、放任主義は明らかにデフレスパイラルを阻止できないのである。

横軸に生産量を取り、縦軸に資金量を取る。貨幣価値と生産物の価値が1対1の場合、所得線が45度になるものとする。この時資金が生産量より少なくなって角度が45度以下になったとすると、資金量が減るにつれ、角度が下がって行くことになる。逆に資金量が生産物の量より多くなった時、角度が上がり、資金の上昇に連れ角度が上昇する。ひとたびこのように角度が上昇や下降をし始めると、各経済要素が自分の利益を追求すればするほど困窮することになる。例えば45度線より下降局面にある時、各経済要素は資金の取り合いをやめ、競争を抑制した方が全体の経済状態はより良いものになり、角度の低下もゆるやかになって行く。また45度線以上の上昇局面にある時、各経済要素は、生産物の取り合いをやめ、競争を抑制した方が角度の上昇がゆるやかになり、より悲惨な状況を回避することができる。アダムスミスの理論が適用できるのは、45線上にある経済の時だけである。
現在の日本のような生産物の量に比べて資金量が少ない経済では、明らかに所得線は45度より角度が下がっている。(デフレインフレの一般理論のハートランド理論参照)

所得線がなぜ45度線上に留どまっているのであろうか。本来なら0度から90度まで大きく変動しているはずである。それは人々が所得が増え生活に満足してくると、貯蓄をし始めるからである。そのため生産物は無限に生産されることがない。この貯蓄が十分に存在し、資金量が貯蓄の範囲にある間、その経済は安定するのである。アダムスミスやケインズの経済理論は、この安定した貯蓄が存在する状態を分析したものである。したがって、この範疇から逸脱している日本経済において妥当な結果を得ることができないものである。成り立たないものである。http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/