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         デフレ・インフレの一般理論
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2007年02月16日 空ぶかしの日本の経済成長

空吹かしの日本の経済成長

今般2千6年の10月ー12月期のGDPが発表されました。政府に取っては結構な数字になっています。しかし私には空吹かしの失速経済のようにしか見えません。なるほど飛行機の機首部は上を向いていますが、尾翼部は地面に着きそうで、犬がすわっているような格好に見えます。この7年間、低金利にし金融緩和状態を続けたあげくがこのほとんどお尻が上がらない状態、ほとんど失速状態に見えます。

日本のどれだけの人がこの経済成長を信じているでしょうか。今この数字をまともに発表する人は、財務大臣や、総理、日銀総裁ぐらいでしょう。与党の議員でも、選挙向けで言うだけで、だれも信じていないでしょう。これはこのGDPの数字だけで経済成長を唱えるのが無理なことを意味しています。

この中で気にかかる数字は、1、実質GDPが7年連続プラスであった事と、2、名目GDPが実質GDPをわずかながらも上回ったことです。
1、の実質GDPが7年連続でプラスで、だから経済が成長している分けではありません。日本の市場のような資金が大幅に減った経済では、消費減から価格競争が非常に激しくなり、値引きをしてたくさん売ろうとします。本来の付けるべき付加価値より低い価格で販売しようとするので、その分今まで以上に多く売らなければならないので、たくさん製品を作ることになります。それが、不景気の中での生産増に結び付きます。実質GDPが伸び成長します。
百貨店や小売店が売れなかったものを、返品したり、値引きさせたりします。このようなものが百円ショップに流れ、安物が市場にあふれかえります。デフレではこれが顕著に表れ、実質GDPと名目GDPが逆転します。このような状態を経済失速と呼びます。決して成長とは言いません。言っているのは日本ぐらいのものでしょう。

2、名目が実質を上回るのは、普通、資金が順調に出回ってきた証拠でしょう。もしこれが本来のものであれば日本経済にとって喜ばしいことです。デフレ解消は目前のはずです。しかしそのような兆候は見えません。ますます混沌としてきました。
資金は順調に出回っていません。偏在しているようです。その原因は輸出と輸入にあります。日本は内需不振のため多くの企業は外需を求め輸出に活路を求めています。それがここ2千5年6年の名目を押し上げた原因です。輸出は国内の生産量が増えるので実質GDPにプラスになり、国内で消費されないため、国内で国民所得になりません。しかし外需からの還流資金として国内に入ってきます。これが名目に加算されます。名目GDPが増えた理由は、この外需の本来の付加価値が付いた資金が原因のように思われます。もう一つは原油価格の上昇が消費、卸両物価を押し上げたのも原因かも知れません。これが原因であればしばらくすれば再び名目が実質を下回ることでしょう。
輸入は、ハートランド(産業経済基盤)から平等に薄く広く資金を海外へ流します。輸出は、儲かった企業に直接入るためなかなか国内市場に回りません。それ故富の偏在が懸念されています。ここ1、2月の景気動向を見ていると、5月6月の状況が懸念されます。株がこの数字で上がっても、内需関連企業の業績は上がりません。この差の広がりがだれの目にも明らかになりつつあります。

これだけ企業に対して燃料補給しても飛行機は上がりません。空気がないからです。水槽の金魚にいくら栄養剤や肥満剤を打っても、水がなければ大きくなりません。もはや詰める燃料や栄養剤が切れてきました。この後どうするのでしょう。このような供給サイドの支援策しかできないところに、ケインズ経済学の弊害が出ていると思います。政府は真のデフレ対策をとらなければなりません。(デフレインフレの一般理論)

消費税下げよう会