陽だまり絵本通信 
NO,195 2016・3・15















                 出会った時からともだち  いいことばです    

 内田鱗太郎さんの新しい絵本です。このともだちシリーズも、この絵本で12冊を数えます。一冊目の『ともだちや』に出会った時、衝撃的でした。「友達、いりませんか.さびしい人はいませんか」などの言葉は、ちょうどぴったりの子どもの姿が多く見られ、たくさんの先生たちの心を捉えました。そのシリーズが12冊、まだまだ続きそうな様子です。ぜひ、続けてほしいです。

    「いつだって、ともだち」 いいですね








 『いつだって ともだち』ーーー内田鱗太郎・作 降矢なな・絵 偕成社

 表紙の絵のなんと楽しそうなこと。降矢さんの絵は、いつ見ても面白い。裏表紙なんか、オオカミが頭に大きなケーキの帽子をかぶり、キツネやテンがびっくりしているのです。表紙のオオカミとキツネがダンスをしている場面が描かれていて、お話の展開にワクワクしてしまうのです。例によってミミズク爺さんのひとりごとから始まります。テンとオオカミが話しているのですが、誰のお誕生日かわかりません。
 オオカミとキツネがトランプで遊んでいますが、オオカミが変です。大いびきで寝てしまうのです。キツネは、家に帰ったふりをして、オオカミを見ていました。何か心配事があって眠れないのかなあ。オオカミさんは、むっくり起き上がって、スコップをかついで、ほっかむりをして。まさか、泥棒!?キツネは心配です。カメに足つぎをしてもらったことも忘れて。カメさんは怒っていますよ。キツネは後をつけていくと。
 何とオオカミさん、原っぱで穴掘りです。なんで、穴なんか掘るのかなあ。キツネは穴に飛び込みました。なんで穴なんか掘ってるのと聞くと、ただ穴を掘っているだけだと。僕にも掘らせてとキツネが言うと、「ためだ、帰れ、俺だけの穴だ」と。びっくりしたオオカミの顔。キツネにけちんぼ、遊んでなんかやらないぞと言われて、穴のふちに顔を乗せ、しょんぼりしているオオカミさんの顔。
 それから、クマの所に行っても、ヘビの所に行っても、忙しいと言って遊んでくれません。森じゅうの皆が狐をのけものにしているような。オオカミさんは穴掘りに熱中。でもぽきりとスコップの柄が折れて、困ったと思ったその時、イノシシさんがスコップを3本、クマはつるはしを持って、タヌキは小さなしゃべるを持って。「俺達も手伝うぜ」と。オオカミの内緒のあなほりだったのに。「プールつくるんだって」とイノシシさん。何を作るのか、わかりません。

 その夜。キツネは椅子にぽつんと座らされていました。暗闇の中で。何が始まるのか、あかりがついてオオカミが出てきました。「ようこそ、星空ホールへ。キツネさん、誕生日おめでとうございます」そして、幕が開くと、優しい音色が。森の皆の演奏です。「オオカミさんはぼくのために」キツネは大粒の涙を流していました。「みんなにもらしたの、お前だな」とオオカミがテンをにらみます。でも、テンが言いました。「そうだよ、みんな友だちでしょ」クマが言いました。「いつ、だってな」「出会った時からな」
 『ともだちや』という最初の絵本から、みんなともだちだったのです。特に、オオカミさんとキツネさんは、最初から。
いろんなことがあってけれど、ふたりは親友になりました。12冊、通して読んでみて、ほのぼのと温かな気持ちになりました。

 

 

 広島県府中市で中学校三年生が命を絶った。学校の責任は重く、どれほど感じているのか、紙面でも書かれていない。三年生と言う年代の男の子にありがちな、相談するということをしない、友達もいただろうに何も言わないのは駄目だろうと。悔しい思いでいっぱいです。であった時から「ともだち」はいなかったのか、絵本読んで育ってないんだと、おもいました。

              
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