陽だまり絵本通信 
NO,185 2015・8・15















 
             記憶する責任は君たちにあると言う言葉、胸にささる                             

 記憶するためには、知る努力をしなければなりません。子どもたちに伝えるまえに、私たちはもっと知らねばなりません。比叡山には、「桜花」という特攻基地が、終戦の日にできるはずだったということです。「桜花」というベニヤ板まがいの特攻機?に乗って、敵の軍艦めがけてぶつかっていくわけです。一人では遠くまで飛んで行けないので、親機に乗せてもらっていくのだとか。終戦を迎えたわけで、出番はありませんでした。ここでは被害はなかったが、全国で400人が犠牲になって、亡くなったということでした。そして沈めたのは、たった敵艦一隻。あまりの力の差に唖然とします。
 この国には、「受忍論」という考え方が幅を利かせていたということです。国が決めたことは、国民にも責任がある。だから、被害は当然のこと。甘んじて受けよというわけです。被爆者に援助するは当然として、国の予算は国民の税金で成り立っているのだから、あらゆる被災に、国は保障すべきでしょう。  他国はすべての国民に補償があるようです。若い人たちは、このことをしっかりと覚えておきべきです。戦争法案は、だからあなた方の未来でもあるわけです。


 
『ほうれんそうはないています』ー―ー鎌田 実・文 長谷川義史・絵 ポプラ社

 11日は、月命日です。こんな日に、再稼動するなんて、ほうれんそうがないています。福島から4年あまり。復興はまだすすまないのに、もう新しく再稼動するなんて、ぼくは許さないとほうれんそうが言ってますよ。それに、その必要性が感じられないように、電気は足りています。値上げは、もっと企業努力が必要です。
 我が家の5歳児は、ほうれんそうが大好きです。だから、「ないている」という題名を読んて、「許さない」と言いました。だから、立派に育てたおじさんやおばさんのきもちがよくわかるのです。立派に育ってホウレン草を、「おいしそう」と言いました。でも、食べてもらえない、何故?絵本の黒い葉っぱを、じっと見ていました。
 お米も好きです。何もなくっても、白いご飯さえあればいいのですから。でも、食べてもらえません。いいえ、食べられないのです。ミルクも。かれいも、食べてもらえないのです。いいえ、食べられないのです。みんな、みんな泣いています。ちゃんと食べてほしかった。食べられるために、大きくなったんだ、なのに。悔しい、苦しい,さびしい、悲しいと、みんなみんなないているのです。5歳にはわかります。放射能のこわさを何となくわかればいいとおもいました。
 核のゴミをどうするのか。気の遠くなるような年月がかかるそうです。なのに、再稼動なんて。賛成するひとは、エゴでしかないとおもわれるのです。

  
  
『ぼくのこえがきこえますか』――ー田島征三・作 童心社

 戦争に行くのは嫌だ。これ、当たり前のことです。誰も、戦争なんてすきじゃありません。「おくにのために」と励まされて、ぼくは戦争に行ったのです。おかあさんが泣いています。あとの人たちは、喜んで見送っているのでしょうか。いいえ、仕方なく旗を振っているのです。
 戦争に行くのが嫌だという人を、エゴの塊だと言った若い議員がいました。そんな人に読んでもらいたいのです。この絵本が訴えていることを。僕は同じ人間に向かって鉄砲を撃った。命令だから。敵の砲弾が飛んできた。逃げることもできず。体はなくなっていた。そして、暗くて寂しい所で、僕は何も聞こえないし、何も見えないのだけど、心が感じ始めていたのです。おかあさんの悲しみ、弟の怒り、誰のために、何のために戦争をするのかも分からないままに、とうとう弟も戦争にいきました。僕の声は聞こえますか。弟が死んで、おかあさんの悲しみは、深く、激しいものになった。
 ぼくは伝えたいのです。この戦争のなんと意味のないものか。僕の声を聞いてほしいのです。殺し合うことがどんなに悲惨なものなのか。僕の声は聞こえますか。
 この絵本は、日・中・韓の絵本作家が集まって、戦争反対の声を上げたものです。この絵本の叫びを、真摯に受け止めたいと
思います。

 8月15日、総理談話がだされました。長い文章でした。総理自身の文章ではありません。心がこもっていない、出さなければならない言葉を、巧みに繕いながら、ちりばめただけのことになります。「積極的平和主義」とは何なのかを、もう少し具体化してほしいです。また、熱い論戦と言えるのかどうか。集団的自衛権の中身を、この長い談話と重ねて討論してほしいと思います。

                           
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