全盲の糖尿病患者置き去り報道について

2007年11月16日




糖尿病の全盲男性が病院職員によって公園に置き去りにされたという事件がおきました。

置き去りに関わった病院職員は4人とも書類送検に附されたとの事です。

現在のところ、詳しい経緯や情報なども限られますので、今後新しい事実などが

報道されるにしたがって、私の意見も変るかもしれませんが、

この事件について、少し意見を述べさせてください。


まず、糖尿病で7年間入院中で、2年程前から治療費を払っていない、そして、他の

入院患者と度々トラブルを起こすため、個室に入院していたとの事、更に、そこでも

部屋の備品を損壊するなどのトラブルを頻繁に起こしていたとの事。

患者は生活保護を受けていたとの事。

病院の治療方針として、通院でも治療の継続は可能と判断し、患者にその旨を説明していた事。


医療関係の話題を取り上げる度にいつも書いている事ですが、当委員会は決して医療問題に

特別関心を寄せる団体ではありません。が、現在の医療現場の危機的状況とそれが何故か

正確に報道されず、このままテレビなどの報道が真実かのようにまかり通るような事になれば

それが、この国の未来を滅ぼしかねない事態になりかねない事を危惧し、この国の将来を憂い

必要性が高いと判断し、取り上げる次第であります。


この病院は何が悪いのでしょうか?


この問いに答えるには、「法律」に違反したからとしかいいようがありません。


では、その「法律」はこの病院を守ってくれたのか?


もしも、医者以外の職業であれば、客が無銭で飲食なり、乗車なりすれば、警察に被害届を

出す事で、犯人を逮捕してもらえますし、民事で訴訟を起こせば賠償金を受け取る事も出来ます。

しかし、医者は「応召義務」を法律により課せられているのです。

端的に言えば、時間外であろうが、金を払わない相手であろうが治療を拒否出来ないと法律

が強制しているのです。そこでは、医者個人の人権などは全く無視されているのです。


まして、昨今、「医療訴訟」が急増しているご時世、この様なトラブルメーカーの患者の為に

本来必要でない個室を与える事で、本当に個室が必要な患者に個室が当たらなかったり、

部屋で暴れて看護婦の手が取られた時に、他の患者の容態が急変し、処置が遅れたり

した時に一体何がこの病院や医師を守ってくれるのでしょうか?


「法律」は医者に強制労働を強いておいて、医者を守ろうとは一切しないのです。


2年間も医療費を払わないで治療を受ける犯罪者、備品を壊す犯罪者、この犯罪者の被害に

「法律」の保護も「警察」の保護もなしに、7年間犯されつづけてきたのです。

そして、この犯罪者の為に、他の患者の生命を守る任務に支障をきたす恐れが出てきた時

この医師(病院)はどうすればよかったのでしょうか?



この医師(病院)を責める人は上の問いに答える義務があるでしょう。


病院に置きつづければ、他の患者が死んでしまう、それはそれで医師は訴えられてしまう。

でも、置き去りにすれば、保護責任者遺棄で書類送検されてしまう。


何故、この病院は今、責められ、院長が謝罪などしなければならないのか?


少なくとも、当委員会はこの問題で誰が真犯人かと問われれば

無銭治療を2年間も続け、器物損壊の現行犯でもあるこの犯人を逮捕しなかった警察の

職務怠慢こそが原因であり、犯罪者から適切な庇護を受けることの出来なかった病院は

完全な被害者であると思います。


そして、「生活保護費」「障害年金」などを、元妻の女性が受け取っていたらしいですが

おそらく、月に20万程はあったでしょうか、その内2〜3万程の現金を患者に直接渡して

残りは自分のものにしていたようですね、本来患者が受け取るべきお金をこの女性が

受け取り、治療費として払うべき所を自分の懐に仕舞い込んでいたみたいです。


当委員会は、決して、全盲の患者を西成の公園に降ろして、119番通報して、とりあえず

どこか違う病院に引き渡してしまえとした行動を認める事は致しません。

しかし、他の患者の生命を守る為、止むに止むを得ない苦渋の決断であったのであれば

責める事もまた、出来ません。


私は、これまでに、犯罪者に被害に遭いながら、警察に助けを求めても助けて貰えなかった

という、経験をした事がないからです。