パル判事とは、極東軍事裁判の裁判官達の中において唯一人の
国際法の専門家だった人です。
東条英機始め多くの戦犯が絞首刑を宣告されましたが
パル判事は被告全員に対して無罪判決を出しています。
勝った側が負けた側を裁く不公平さ、そして、なにより
戦争が終わってから、戦争を起こすこと自体が人道に反する罪と言う事で
日本を裁くためだけの法律を作り、それをもって裁断を下そうとする
国際法上あってはならない行為に対し、毅然とした態度を示したのです。
しかし、当時判決文の中には彼の意見は少数意見としてすらも
取り上げてもらえず、全く世に知れる事はありませんでした。
その、当時誰の目にも触れなかったパル判事の判決は、
被告人全員無罪だったのです
その中に、ハルノートが実質上のアメリカから日本に対する
宣戦布告行為であり、日本の戦争突入(日米開戦)は
自衛戦争であり、侵略戦争ではないと、
更に、「真に侵略と呼ぶにふさわしいのは、イギリスやオランダ等の
行った植民地政策の事であり、それこそが人道に反する行為である。」
とはっきりと書かれています。
但し、決して日本の罪が何もなかったと言っている
判決でもない事も忘れてはいけません。
パル判事は、国際法上、事後立法適用は認められないという
常識を言っただけで、何も日本の罪そのものが無いと言っているのではない。
それと、国の責任と指導者個人の責任は全く違うと言う事
も彼の判決の重要な部分です。