医療事故と欠陥住宅

2006年1月10日



最近、頻繁に医療事故の報道を耳にします。

一昔前は、欠陥住宅の話題が多かったですね、で、今又、姉歯問題です。

さて、一昔前、しきりに欠陥住宅の報道がされていたのに、いつの間にか

「欠陥住宅」から「医療事故」の話題に熱が移ったのです。

実はハウスメーカーのCMや広告が増えたからという事実をご存知でしょうか?

テレビ局などはスポンサーからの出資や広告収入などが主な収入源です。

CMや広告を出してくれるようになったハウスメーカーは言わばお客さんであり、雇い主でも

ある訳です、当然、悪口を書きにくい状況になります。

逆にいえば、散々「欠陥住宅」の報道で大衆を焚き付ければハウスメーカー側から

「何とかその欠陥住宅を取り上げた報道を堪えてくれんかな」と、暗にCMや広告の

要求をしていたとも取れる訳です。

もしも、社会正義を信条に報道するならば、いかに広告主であろうが、「欠陥は欠陥だ」と

報道姿勢が変るはずもありません。

広告が増えて報道姿勢が変る事は、すなわち、利益強要だった事に他なりません。

で、その後に矛先になったのは「医者・病院」だったのです。

酷い新聞などになると「○○病院が10年前に医療ミスを犯して、患者側と慰謝料を支払う

事で示談していた事実が明らかになった」などと言う報道もありました。

人間に失敗は付き物です、その時にその損害を賠償して、お互いに納得すれば、それを

敢えて報道機関に報告する義務なんてありません。

私も交通事故で「示談」した事がありますが、朝日新聞に報告していません。

もしも、私のHPが有名になって、著者の私も社会的な地位を得るようになったとして

「民族人種日本人中央委員会委員長が10年前に交通事故で人に怪我を負わせて

その後、治療費と慰謝料を支払う事で示談していた事実が明らかになった」と報道

されるかもしれない訳ですが、だからといって、今から私が朝日新聞に電話をして

その事を打ち明けたとして、その記事が紙面に載るでしょうか?


それと、もう一つ大事なポイントがあります。

それは、欠陥住宅の殆どは「確信犯」であるのに対して、「医療事故」の殆どは「過失」で

あるという事です。

どちらも、人の生命に多大な影響がある点においては非常に大きな問題であります。

が、人間なら誰でも「失敗」を完全に無くすことは出来ないのに、多くの人を救ってきた

医者の犯してしまった「失敗」(過失)を親の敵のように責めたてて報道する。

一方、広告主となったハウスメーカーの欠陥は「意図的」に知った上で行われているのに

金を持ってきたら、もう報道も何もない。

病院は法律上、CMや広告を出せないようになっているのです。

この大きな矛盾と卑劣さに当委員会は警笛を打っておきます。


そして、医療事故をやっきになって報道する事は、実は私たち国民に不利益をもたらして

いるという事実もついで述べておきます。

杏林大学医学部付属病院高度救命救急センターでの「割り箸」事故などが特に有名ですが

明らかに過失の無い人間を社会の公器である新聞・テレビが犯罪者と決め付けて報道するなど

してきた結果、今、多くの病院は「防衛」に主軸をおいているはずです。

容態の急変などでの突然死などが比較的多い小児科などは特に危険が高く、

結果、小児の緊急搬送の時に「うちには小児科の担当医がいていないので診る事が

出来ない」という返事で診療を拒む事態が増えれば、かえって助かる生命が危うい状況に

晒される事になるという事実を知って欲しいのです。

ちなみに、当委員会は医療関係について専門的な知識や関心を寄せる団体ではありませんが、

社会正義や公衆の利益の必要性から、「根本医師の起訴は不当なものであり、杉野隼三ちゃん

が死亡したのは母親の責任が大で、敢えて起訴するなら、母親を起訴するのが先だ」


と、一歩踏み込んだ所まで意思を表明しておきます。


そして、今、大きな問題となっているのが「姉歯問題」です。

本来、国民の不利益に成る「医療事故」へ矛先を変えて、本当に追求していかなくては

ならなかった「欠陥住宅」の報道を止めてしまった結果、こんな大きな問題を起こしてしまう

温床を作り出してしまったのは報道機関にも責任は少なからずあるのではないでしょうか?