M3ハンガーボルトを洋折れ金具で自作する。

 

 M3のハンガーボルトが欲しく、アチコチ探し回りましたが、あるのはM4からで、M3のハンガーボルトは見当たらない。

 ので、“洋折れ”金具を素材に自作することに。

 ネジ切りなど一見難しそうな加工がありますが、工具があれば以外に簡単にできます。

 

● 始めに・・・ハンガーボルトとは?

左の写真のような金具で、一端は木ネジ形状、もう一端はナットと組み合わせで使用するネジ形状になっています。

用途としては、大きなものは壁付け洗面台、壁付け手洗器などの取り付け、小さなものは家具のツマミ取り付け、コタツの脚取り付けなどに使われています。

ツマミにハンガーボルトを使う場合は、左の図中の右のように、ツマミのネジ穴にハンガーボルトをねじ込み、その状態で材料の正面からツマミをねじ込みます。材料の厚みが厚く、材料の裏からネジで止められない場合に有効です。

 

今回は、小さなツマミの取り付けに、M3径のものが欲しかったのですが、ホームセンター数軒回っても見当たらないので、それなら自作してしまおうというものです。

 左の写真がそのツマミです。φ10mmの小さなもので、取り付けはM3ネジを使うようになっています。

 

 

● 元となる素材と使用する道具

 使用する素材は、何処にでも売っている、“洋折れ”という金具です。木部にねじ込んでモノを引っ掛けたりする金具です。

 今回はM3のハンガーボルトに加工するので、材料径がφ3mmに近いものを選びます。(見た目で見分けるしかないのですが)

 ということで、見た目でだいたいφ3mmの、「サイズ32mm」と、少し太いと感じたので、一サイズ下の「サイズ25mm」を買ってみました。

 早速直径を測ってみると、「サイズ32mm」はφ3.2mm、「サイズ25mm」はφ2.5mmでした。今回はφ3.2mmのものを使いました。

 ちなみにこの「サイズ〜」は、材料の径を示しているのではなく、引っ掛ける部分の長さを示しています。

 あと材質は、鉄のものと真鍮のものがありますが、強度はそれほど必要なく、作業しやすいほうがいいので、軟らかい真鍮を選びました。

 

 使用する道具。。

・金工用ヤスリ・・径を調整する。

・ノギス・・・・・径を測定、確認する。

・定規

・喰い切り・・・・不要な箇所を切る。

         (強力ニッパ、ペンチなどでも代用できると思います)

・ダイスとダイスハンドル

      ・・・(M3用)ネジをきる。

・ドリルチャック

      ・・・ネジをきる際、材料をつかむ。

・電工ペンチ・・・ネジ長を短くカットする。

 あと、ボール盤か若しくは電気ドリルを使います。

ボール盤がモアベターです。電気ドリルでも代用できますが、静粛性、作業性とも、ボール盤の方がいいと思います。

 

 

● 加工@ 形作り

 まず、喰い切りで適当な長さに切ります。

 長さは、とりあえず出来る限り長くなるように切っておき、最後に欲しい長さに仕上げます。

続いて、ツバの部分を切ります。

 次は、3.2mmの直径が3mmになるように削ります。加工した材料をボール盤にセットし、回転させながらヤスリを当てます。ヤスリも、普通にヤスリを使うように前後に動かすと早く削れます。(左写真、矢印)

 先端は、少し斜めに削って、心持ち尖らしぎみにします。後工程で、ダイスを通しやすくするためです。)

前工程で切り取ったツバの部分も、切り残しを削って3mmにします。

 ノギスで径を確認しながら削り、最後に、一応サンドペーパーを当て、仕上げました。

 右の写真は、ボール盤の代わりに電気ドリルを使っているところです。水平スタンドなどあれば、作業しやすくなりそうです。

 

● 加工A ネジ切り

材料の径が3mmになりましたので、M3のネジを切っていきます。

雄ネジを切る工具のダイスと、ダイスを回すためのダイスハンドルです。M3のネジを切るので、M3のダイスを使います。

まず、ダイスをダイスハンドルにセットします。ダイスの横面に窪みがありますので、ここと、ダイスハンドルの止めネジの位置を合わせてセットします。そして、止めネジを締めて、ダイスを固定したらセット完了です。

 ←ドリルチャックです。インパクトドライバーにドリルを取り付ける時などに使うものですが、ここでは、材料の保持に使います。

 材料を、ドリルチャックにセットします。木ネジ部を掴みますが、あまりにキツく締めすぎると木ネジ部が傷みますので、様子を見ながらホドホドの締め付けにします。

(ドリルチャック単体の代用で、電気ドリルのチャック部でも使えなくはないと思います。その際は、安全のためドリルのコードをコンセントから抜いておきます。)

 ダイスとドリルチャックを両手で持ち、ダイスを材料に通していきます。ダイスを左にまわしながら送っていき、ネジを切っていきます。

 実は、ネジ切りの作業で最初の難関は、ダイスを材料に真っ直ぐ入れることです。入れ始めは、いろんな角度から真っ直ぐ入っているか確認しながら作業します。

 入れ始めが斜めになると、そのままネジ全体が斜めに仕上がってしまいますが、入れ始めに真っ直ぐ入ると、途中でネジが斜めになることはありません。

 

  ダイスでネジを切る際は、半周〜1周ダイスを送った後(送り辛くなってきたら)、少し反対方向に回して元に戻すという作業を繰り返して、無理な負荷が掛からないように作業します。

 右写真は、ダイスの裏側から。ネジが切れています。

 ネジを切る加工が終わりました。

 

● 加工B 長さカット

ダイスを通したネジ部を、必要な長さにカットします。

使う工具は、電工ペンチという、電線を繋ぐ時などに圧着スリーブなどの接続部品を潰す工具です。

一見全く関係のない工具のようですが、ネジを短くカットするにはこの工具が便利だと思います。

左写真の矢印の部分にネジをカットする機能が付いています。(矢印の先の部分に付いている穴です)

ペンチを開いた状態で、穴に切りたいネジをセットします。穴にはネジが切ってあり、今回はM3のネジなので、M3の穴に、切りたい長さまでねじ込みます。

 ネジがセット出来たら、ペンチの柄を握ってペンチを閉じると、ネジがカット出来ます。

これで、M3用のハンガーボルトが完成しました。

ツマミにセットしてみました。

けっこういい感じです。

我ながら少し妙案(微妙案?)と自画自賛でっす。 ^_^;

 

● ちなみに・・・

 今回使用した洋折れは直径3.2mmのサイズ32mmで、これを3mmに削って使いましたが、後日サイズ28mmというものを見つけ、直径を測ると3.0mmでした。

 素材はサイズ32mmよりも、28mmのものを使用すると、径を細くする工程が省けます。(^^

 

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