あられ組み(継ぎ)方法(手作業)

 

 

 手作業であられ組みをしてみましたが、意外とうまくいったのでその方法を紹介します。

 

◎使用する、主な道具

 使用する主な道具はこのようなもの (右から)

 ・胴付きノコ

   普通のノコより刃の厚みが薄く、刃の山が細かくなっている。

細かい作業用のノコ。

・シラガキ

   墨付けをするための道具。先はナイフのように刃が付いていて、刃で墨付けをする。鉛筆などを使うより細い線が引ける。

・ケビキ

  これも、墨付けをするための道具。材料の端に沿わせてスライドさせることで、端から平行に墨付けができる。

・カンナ

 

・ノミ (適当なサイズのもの)

 

・スコヤ (適当なサイズのもの)

   直角な線を引く、直角を確認するなど。

・直定規 (適当なサイズのもの)

 

◎墨付け

正確な墨付けをするために、鉛筆より細い線が引ける、シラガキ、ケビキと云う道具を使います。

なお、あられ組みの高さ(深さ)は、寸法ぴったりにせず、わざと0.5mm程度深くし、組んだ時に少し先が出るようにし、組んだ後で、飛び出た部分を削って平らにします。

また、シラガキ、ケビキは、材料にキズを付けて、印にするものですので、キズがついてはまずい面(表に出る面)には、とりあえず墨付けせず、裏面および断面(木端、木口面)に墨付けしていきます。

 

接合する箇所に、接合する板の幅の線をケビキで引きます。

(接合する板の幅+少しの余裕0.5mm位)

材料の幅を、適当な幅で細かく等分して印をしていきます。この幅が、あられ組の各ジョイントの間隔になります。

等分は、写真のように材料の幅と定規のきりのいい数字を合わせるとしやすい。写真の場合、材料の幅と定規の240mmの位置に合わせ、20mm間隔で印を付けているので、12等分できます。(間隔がいくらになるかはわからない。)

また、この方法は内側にキズが残ってしまうので、小物入れのような普段から内側も見えるようなものには使えません。(キズが残ってもいいのなら使えますが・・・)(鉛筆で印を付ける方法もありますが、あまり精度がでません)

スコヤをあてがい、付けた印を接合する位置に下ろしてきます。

これを繰り返して、各板に墨付けをします。

 墨付けが終わった材料。

 鉛筆で塗ってある部分を切り取って組み合わせるのがあられ組みです。

先にも書いたとおり、墨付けをする面は、組んだ時、裏になる面と、断面(木端、木口面)です。

組んだ時、表面になる面には(この段階では)墨付けをしません。

(残す部分に線がはみ出た時、キズがそのまま残って見た目に悪いからです)

 

◎胴付きノコで切れ込み入れ

 胴付きノコを使って、シラガキの線に合わせて切っていく。

 (実際に私が行なった方法は下参照)

図のように材料を作業台にセットし、クランプで作業台に固定します。

(墨付けをした面を上にします)

ポイントは材料の下に敷いている捨て板です。

 胴付きノコで、シラガキの線に合わせて切っていきます。

 上にしている面には、墨付けをした線があるので、それに合わせて切り止めればいいのですが、下にしている面には、元々墨付けをしていませんので、材料の下に敷いている捨て板にノコが当たるまで切り進めて、当たるところで止めるようにします。

 

 このようにして、全ての箇所に胴付きノコで切り込みを入れていきます。

 

◎更に細かく切れ込み入れ

先ずこの段階で、墨付けをしていない面に、墨付けをしておきます。図の、赤線のところです。

既に切り込みを入れているので、残す部分に線がはみ出ることはないと思います。

墨付けをしてキズを付けておくことで、後のノミで切り取る作業がしやすくなります。

 切り取る箇所に、細かく切り込みを入れていきます。(赤線部分)

 こうすると、この後ノミで切り取る際、ノミが入りやすい。

 

←ウチの作業場で、数少ないシャレた工具のひとつ、イクラツールのバンドソーカッター、TN-100Aです。

 バンドソーカッターで、このように切れ込みを入れていきます。

 バンドソーカッターの他に、糸ノコ盤、テーブルにセットしたジグソーとかでも出来そうです。

 無い場合は手引きノコでこつこつ切っていきます。

 

 切れ込み入れが完了しました。

 

◎ノミで切り取り

 切り取る部分をノミで切り落としていきます。切り込みが入っているので、けっこうスムーズにサクサク切れます。

 

で、加工が終わった材料。

(下のほう)

 

 

 

 

 

◎あられ組み完成

 

 材料全てに加工できたら、加工完了です。とりあえず、試しに組んでみましょう。

 スコヤをあてがい直角を確認しながら、キズが付かないよう当て木を介して金槌で叩いて入れ込んでいきます。もし、スムーズに入らないようなら、どこかが非常にきつい具合になっているか、重なっている箇所があります。無理に叩き込もうとせず、仕口を確認します。

(無理に叩き込もうとすると、最悪材料が割れてしまったりします。)

  試し組みでいいようなら、実際にボンドを塗布し、組み上げます。クランプで圧着、固定して、ボンドが乾くまでおきます。

 ボンドが乾いたら、クランプを外し、仕口の飛び出ている部分を、カンナで削って平らにし、仕上げます。

 

(あられ組みはこれで完了ですが、正面の接合部分を45°に加工し、留め接合とすると見映えもさらによくなります。(と思います。)留め接合とする場合、↓に続きます。)

 

★留め加工

 

 

 写真のように、正面を留め(45°)に加工する方法を紹介します。

 

 自作の留め削り治具がミソで、つくり的には簡単なのですが、45°の精度が肝心です。

◎使用する、主な道具

 

使用する主な道具はこのようなもの (右から)

 ・留め削り治具(自作)

   ●構造詳

 ・留めスコヤ

   45°に墨付けをするためのスコヤです。

・シラガキ

 

・ノミ (適当なサイズのものですが、少し大きめが使いやすい)

 

・この他に、胴付きノコ、留め削り治具と材料を固定するためのクランプ、プロトラクタ(分度器)。

 

◎墨付け、粗切り

留めスコヤを使って、留めに加工する部分(木端)に墨付けをします。

 

胴付きノコで、とりあえず粗切りします。

 

◎ノミで仕上げ

 

留め削り治具を墨付けの位置に合わせて、材料といっしょに作業台に固定します。

 

治具にならってノミを移動させ、墨付けの位置まで削り、45°に仕上げる。

治具によって角度が決まるので、治具の45°の精度は重要です。

 こんな感じに削れます。

 

実際に削った角度を、プロトラクタ(分度器)で確認しながら作業を進めていきます。

このように四枚全てに45°加工をしていくと、冒頭の写真のような留め継ぎができます。

 

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