オーディオラックの製作。

 

管球アンプなど、自作オーディオライフを愉しむ私。

が、しかし、それらを収納するラックは貧弱でグラついている状態。

 なので、新しくラックを作ることにしました。

 

 

●設計&図面

 

 

◆ 図面 ◆

側面図

 

左に図面を示します。

 部屋の状況と相談して、横長の2段の棚とし、上の段と天板にオーディオ機器類を乗せ、下の段にはCD,DVDソフト&雑誌類を収納しようという構想にしました。

 今回は、CD,DVDソフト&雑誌類収納に特に凝った仕掛けを作ってみました。ラック本体の奥行サイズは、ディオ機器類の奥行サイズに合わせるため、その奥行にCD,DVDを収納すると、かなり奥のほうに収納されてしまい、手前に空きスペースが出来てしまいます。これでは空きスペースがもったいないと、奥に並べた物の手前にさらにあと1列並べたのでは、奥の物が扱いづらくなります。そこで、手前に横方向にスライドする収納を組み込んでみました。・・・まあ、手前に収納できる量は、奥に収納できる量の半分弱になるのですが。

 あと、読みかけの雑誌とか、よく聴くCDとかが、片付けるのが面倒く、気がつけばいつも床に積まれている現状の私。こういう物を、パッと仕舞えてサッと取り出せるようにと、ディスプレーラックっぽい扉を組み込むことを思いつき、挑戦してみました。

 サイズ的には、オーディオ機器のサイズを見てみると、幅がだいたい450mm前後、奥行がだいたい300mm400mm位です。これを横に2個並べるとして、幅を1000mm、奥行は430mm位ほしいところでしたが、材料の関係上400mmとしました。高さは、オーディオ機器の高さがだいたい150mm前後とし、これを2段重ね出来るよう、オーディオ機器収納スペースを300mmとし、あとは成り行きで、この構想を実現できるよう、高さを計算し、最終的に850mmとなりました。

 製作に使用する材料は、ほとんどパイン集成材を使っていて、場所によって18mm厚と13mm厚材を使い分けています。あと、背板に9mm厚のシナ合板を使っています。

 

●スライド収納製作

 先ず、CD,DVDのスライド収納(本体の棚の中でスライドする収納)の製作です。

 当初、三枚組み継ぎで組もうと思ってましたが、前面に留め腰押しをしてみました。そのため、端だけ長さが違う五枚組継ぎになりました。

三枚組み継ぎの仕口加工は、凸は胴付ノコで、凹は左の写真のように、胴付ノコで出来る限り切っておいて、あとはノミで削って仕上げます。(写真はノミで削る前です)

加工ができた材料と、仮組みをしている図です。

スライド収納の材料は、13mm厚のパイン集成材と、底板に18mm厚のパイン集成材を使っています。また、背板は5.5mm厚のシナ合板を使っています。

 なぜ底板だけ18mm厚かというと・・・。

 ↓↓

スライドさせるため、底板にコロ(車輪)を組み込む予定で、コロの径が最小のものをホームセンター数軒回って探したところ、φ18mmが最小。これだと13mm厚の材料では底板の上面までコロが突き出てしまい取り付け不可なので、底板だけ18mm厚にしました。

 右の写真は18mm厚の底板にコロを合わせてみたところですが、これでもギリギリといった感じです。

 でもまあ、スライド収納の加工が終わってから、少し遠くのホームセンターまで足を延ばしてみると、13mm厚の材料に収まりそうなφ10mmのコロを見つけてしまいました・・・^_^;

 まあ・・・いいや。(^^

そして、底板にコロを組み込む加工をします。コロが入る分を掘り込みます。

 まずはケガキを入れます。左の写真の、鉛筆で黒く塗っているところが掘るところです。

 掘り込むところに、先ずはボール盤で穴を掘っていきます。掘る深さに合わせて、ボール盤の穴の深さを調整します。また、隣同士の穴を繋げて穴を掘ると後の作業が楽になります。(右写真)

 ボール盤作業が終わったところが左写真です。

 次は、ノミでコロが入るように、四角く削ります。(右写真)

 コロを入れてみたところ、軸の部分が少し出っ張っていて、そこが当たり入らないようなので、その部分を少し削って、(左写真)

コロの横のブラケット(留め金部分)が入るよう、ブラケットの厚み1mm掘り込んで、コロをセットしました。(右写真)

面取りを施して、全ての加工が終了しましたので、徐に組み上げました。(左写真)

底面は、このようにコロが付いています。(中央写真)

そしてもう先に、スライド収納だけ塗装をしました。使ったのは“ダーク・オーク”という色の水性ステイン。(右写真)

個人的にけっこうこのステイン好き。ステインを塗ったままだとただ黒っぽいだけですが、この上からニスを塗ると木目が引き立ち、黒光りがなんともカッコイイ。なのだが、近所には扱っている店がなく、1時間半位車を走らせ、とあるホームセンターで買い溜めをしている私です。・・他のメーカーもこの色出してくれるとうれしい限りです。

 ちなみに、右写真で上面に4箇所穴がありますが、これはスライドさせる時に上側を支持させる突起を取り付ける穴です。

 

●胴体(本体)製作@(基本形状加工、組み立て) 

 胴体を構成する4枚は、留め型隠し蟻継ぎという手法を使って組みました。また、棚&仕切り類は、剣留め継ぎと追い入れ継ぎを使いました。

 各継ぎ方法の詳細はそのうち別に書こうと思っているので、ここでは割愛させていただきます。

←左写真は留め型隠し蟻継ぎの加工をした胴体材料で、右写真は留め型隠し蟻継ぎで組んだ胴体材料4枚です。見た目は留め継ぎですが、その中は蟻組みになっています。

←左写真は剣留め継ぎで棚を組む加工をしているところです。前面が胴体材料とツライチになる棚と仕切りは剣留め継ぎを使いました。

 写真のように、追い入れ継ぎの、前面に両方から留め(45°)加工をしたような感じです。

 あと、前面が胴体材料より奥まる棚は、普通の追い入れ継ぎで組みました。

とまあそんなこんなで、仮組み段階ですが、ラックの基本的形が出来ました。

 

●胴体(本体)製作A(スライド収納組み付け)

先に製作したスライド収納(左写真)を、胴体の左下スペース(右写真の@、A)に組み付けます。

 スライド収納には下面に転がすためのコロ(車輪)、上面には上側を支持するための突起(φ6mmのダボ)を取り付けています。

 胴体の棚にこれらに合う溝を掘り、棚内で横にスライドするようにします。

 溝を入れるところにケビキでケガキを入れます。

 その後、トリマで、溝を入れていきます。

 下側の車輪が入る溝と、上側の突起が入る溝を加工したところです。

 溝のサイズは、車輪側は、幅は車輪幅が6mm弱だったので6mm、深さは、スライド収納の底面から車輪が2mm出るので、1mm浮かすとして1mmの深さの溝としました。突起側は、突起がφ6mm、突起の突き出し量も6mmにしましたので、幅も深さも6.5mm程度の溝としました。

←胴体にスライド収納を組み付けて、塩梅を見るべく仮組みをしているところです。・・・とりあえず、スムーズにスライドします。ん〜。いい感じ。いい感じ。

 

●ディスプレー扉組み立て&組み付け

 

 ディスプレーラックっぽくCDとか雑誌を並べられるよう、扉を作ります。

 扉の動き方は、上に持ち上げるように開き、その状態で奥に押すと扉が収納できるような感じで、その構造として考えたのが、扉の両側面上側に軸を付け、胴体側にその軸の相手となる穴を掘り、扉を上に持ち上げるように開くようにする。さらに、穴を奥の方に延長させ、(長穴にする)扉が奥に収納できるようにするという構想。

 でもしばらく考えると、最終的に組み上げる時に、パーツがかなり多くなり大変そう。ということで、長穴は後方まで延長させ、扉は胴体を組んだ後、後面から入れる。そのままだと扉を収納した時、扉が奥の方まで入り込むので、扉を入れた後、何かストッパーを考える・・ということにしました。

 

◆扉の構造◆

 

 とりあえずたたき台的に、枠を作ってみました。(左写真)。横幅は胴体にあてがってみて合わせましたが、縦幅はとりあえず適当に、少し余裕を持たせて作りました。

 右写真は、枠に合わせて、鏡板(?)を作り、取り付けました。取り付けは、片胴付き追い入れ継ぎです。裏側は、枠と板がツライチになっています。

 ちなみに、右写真で左上に枠材料が飛び出していますが、この部分は不用なので切り落とします。

 扉を胴体に組み付ける加工をします。扉の枠材料を所定の位置にあてがって位置関係を確認しながら、胴体材料に長穴の溝の位置をケガキました。(左写真)

 胴体材料前方、扉を閉じた状態での扉の軸の位置に予めドリルで穴を掘ります。この穴から、後方は貫通するまで、溝を掘ります。(右写真)

 溝が掘れました。軸はφ10mmのダボを使う予定なので、溝の幅は10.5mm程度、深さは、軸を6mm出すとして、6.5mmとしました。

 左写真は、扉を閉じた状態、右写真は扉を開いて収納している状態の扉の位置を、枠材料で確認しているところです。

 扉の枠材料の長さを現物合わせで決め、カットします。(左右とも)

 胴体材料に掘った溝の位置に合わせて、扉の枠材料に軸を取り付ける穴を空けます。写真は、試しに軸にするダボを取り付けているところ。

 枠材料の左右ともに、同じ位置に軸を付けますが、穴の位置決めにはダボマーカーが便利です。左写真のように片方に空けた穴にセットし、もう片方の材料を、外形の位置を合わせてダボマーカーに押さえつけると・・・

 ↓↓

←写真のように、もう片方の材料の同じ位置に印が付きます。あとは、この位置に穴を空けるだけです。

 枠材料の左右同じ位置に軸が付きました。(左写真)

 扉を開けるように回転させると、枠の一部分が棚に干渉することが判明。干渉しないよう、右写真のようにカットしました。

 鏡板(?)を枠に合わせてカットし、続けてそれらを組み立て、扉の完成としました。

 続いて、胴体背板を作ります。胴体材料には、予め背板が入る溝を加工しています。背板は9mm厚のシナ合板を使う予定なので、φ9.5mmのストレートビットで加工します。

 ディスプレー扉を入れるところは背板を入れず、スリットっぽく空けておきます。

 

 オーディオ機器類が入る棚部分の背板には、コードを出すための穴を空けます。普通の丸い穴でもいいのですが、なんとなく花をモチーフにした穴にしてみました。

 フォスナービットで穴を空けて、ジグソーで角を付け、花びらの形にしました。

←写真は、裏面からディスプレー扉を入れるところを見た図です。

 裏面から、右写真のように入れます。

←写真はディスプレー扉を組み付けたところの正面図です。

 左は扉を閉じたところ、右は開いたところです。

 正面に面取りを施して、最終的な仮組みをしているところです。

 面取りは、ボーズ面ビットを両面から施工して、木端面を丸くしました。片面から面取りをするのは簡単ですが、あと片方をする時に段差ができないよう、テストピースで入念に調整します。

・・・ん〜。スライドも扉もスムーズに動くし、まあまあの出来。暫くひと段落。 ( ^^)_~~

 

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