アンティークラジオレストア

 

とあるリサイクルショップで不動品のアンティークラジオを発見。なんとか修理して音だし出来たらいいな〜。と購入、早速様子を見てみました。

さて結果は・・・レストアと言うほどのことでもないのですが・・・

 

←購入したアンティークラジオです。アメリカ製で、多分1950年代のもの。

Silvertone”と、メーカーらしい文字があります。

 

◎現状

←キャビネットを外したところです。前方は上のほうに選局の指示針と、中央にスピーカーがあります。後方には、けっこう大きなループアンテナがあります。

←シャシの内部。

 ところどころに修理した痕がありました。

←キャビネットが派手に割れています。

 ん〜。過去に少し高いところから落とされでもしたのだろうか・・

←選局ツマミとバリコンとを連動させる糸が外れています。あと、選局ツマミの軸の脇にあるプーリーも固まっていて回りません。

 

◎とりあえず・・・

 外れている糸をかけましょう。

 その前に、固まって回らなくなっているプーリーを甦らせねば。

浸透性の潤滑スプレーを塗布して、少し力を入れて回すと、スムーズに回るようになりました。

改めて、糸をかけましょう。

糸は選局ツマミの軸のところで外れています。その軸のプーリーに3回転させ、脇のプーリーで向きを変え、バリコンのプーリーにバネを介して止めます。(糸の長さで判断し、多分こうだと思う)

これで、選局ツマミとバリコンが連動して回転するようになりました。

ちなみに、糸は、

 ループ状ではなく、1本の線状になっています。で、バリコンとツマミがどのように繋がっているかというと。

糸の始点も終点もバリコンのプーリーに止められていて、1端は糸に張りを持たせるためのバネを介して止められ、もう1端はそのまま止められています。

 そのまま止めてある方からスタートすると。 ↓

シャシ上の右端にあるバリコンのプーリーから出た糸は周波数指示パネルの右裏側にあるフック状の突起で向きを変え、背景パネルの裏側に沿って左右方向に走ります。この部分に周波数指示針が付き、バリコンの回転に連動して周波数指示針が左右に可動します。(写真は後ろ面からの図のため、フックは左側に見えています)

(この部分だけなぜプーリーではなくフックなのだろうか。。。)

  ↓

周波数指示パネルの左下にあるプーリーでUターンし、再度、右端まで走り、周波数指示パネルの右下にあるプーリーで下方に方向転換。

真下にある選局ツマミの軸に付いているプーリーを3回転し、その横のプーリーで方向転換。そして、バネを介してバリコンのプーリーに戻ってくるというけっこう面白い連動の仕方。

(何回、“プーリー”という言葉を使っただろうか・・・^^;

さてさて続いて、要所にグリスアップを施しました。使ったグリスは、エーゼットの“万能グリス”というものです。爪楊枝の先で塗布しています。

よく見ると、バリコンの可動部分はボールベアリング構造になっていました。

 

◎火入れ・・・

 シャシの内部と球類(真空管類)を目視でチェックしたところ、特にこれといっておかしなところはありませんでした。

 真空管を挿し直し、火入れをすることに。(電源を入れることです)

 ・・・電源を入れて暫くすると、真空管のヒーターが橙に灯ってきました。メタル管を3球含む、5球ある真空管のヒーターは、全てが直列に入っているので、少なくとも全ての球のヒーターは生きているみたい・・・。

 更に暫く待っていると、スピーカーから微かに“ブ〜ン”という音が鳴る。

連動するようになった選局ツマミを回すと、なななんとラジオ放送入りました。

 左の3つの写真はヒーターが灯っているのが見えるガラスチューブ管。

左上は整流管の“35Z5GT”、右上の黒い球は出力管の“50L6GT

 

◎キャビネット

 キャビネットは、元々から割れておりました。(書くの二度目ですな・・)

 

そこで・・・月並みですが、

 接着剤で補修することにしました。

 接着中です。

 接着剤が硬化するまで、セロテープで固定しています。

←右サイドの、この部分の欠片は元々ありませんでした・・・残念。。

 ところで、個人的にですがこの接着剤かなり気に入っています。

 セメダインの“スーパーX2”。

 接着できる材質が、金属類、プラスチック類、ゴム類、コンクリート、石、陶器類、ガラス、木材や皮革類など、かなり広範囲。接着力もけっこう強力。色も外観を損ねない透明と、好印象。しかも硬化した後も弾性を持っていて、ショックに強いというのも特長。

 一昔前のスタンダードが黄色い接着剤(G17とか)ならば、現在のスタンダード接着剤はコレだと、(あくまで個人的ですが・・・)思う。

 (私はセメダインの廻し者ではありません・・・(^^ゞ )

 

◎動作チェック

 さてさて、少し脱線してしまいました。

左の写真は、シャシの裏蓋の内側です。このラジオの回路図と、使用されているパーツのリストが貼ってありました。(現在では考えられないですね)

回路図には、各部分の電圧値が表示されていましたので、これを参考に電圧値を測定しました。測定した結果が、この電圧に近ければ、完全に問題なく動作していると判断できます。

 結果は左図のとおりです。( )内の値は回路図に表示の値で、( )外の値が測定値です。表示値よりも、実際は少し低めです。これは、AC電源入力電圧(コンセントの電圧)が表示値では117Vとなっていますが、実際の測定値は101Vで、つまり、コンセントの電圧が違うためと思われます。(117Vというのは、多分アメリカ仕様なのでしょうね)これを考慮すると、測定電圧は妥当なところで、ラジオは正常に動作していると考えられます。

 

◎完・了〜〜

キャビネットを付け直し、簡単ではありますがとりあえずレストア(?)完了としました。

(大したことしてないケド・・・(^^ゞ )

下の方に左右2つあるツマミは、左のツマミが電源スイッチ兼音量調整用で、音量最小よりも更に回すと“カチッ”と電源が切れます。(現在でもたまによくあるタイプですね)右のツマミは選局(チューニング)用のツマミです。

 

ここで、このラジオに使用されている真空管を紹介。

使用されている球は全部で5球。高周波を扱う3球はメタル管で揃えられています。

写真中の左上から、周波数変換用のメタル管12SA7GT、中上は中間周波増幅に使われているメタル管12SK7GT、右上は検波用のメタル管12SQ7GTです。左下は電力増幅用ビーム管の50L6GT、右下は整流管の35Z5GTです。

 12SA7GTです。GE製です。それなりに汚れはありますが、意外とキレイなものです。

 

 12SK7GTです。これもGE製です。けっこうサビが目立っています。

 12SQ7GTです。これもそれなりにサビています。SYLVANIA製です。

 

 50L6GTです。下のベース部にSILVERTONEとあり、ラジオと同じブランドのようです。ベース部分にヒビが入っていますが、ガラスは無事で、内部の真空度も保たれているようです。

 35Z5GTです。AIRLINEというブランドのもののようです。これはけっこうキレイなものです。

 

silvertone & SEARS,ROEBUCK AND CO.

 最後に、シャシの後面に付いている銘板と、シャシ裏蓋の表側に付いているラベルです。

 シャシの銘板には、シャシナンバーと、“SEARS, ROEBUCK AND CO.U.S.A”と会社らしい文字がありました。

さらに、裏蓋のラベルには、“sold Only by SEARS, ROEBUCK AND CO.”とありました。

SEARS, ROEBUCK AND CO.”というのは、アメリカの大きな百貨店のようで、このラジオは当時、その百貨店が“Silvertone”という自社ブランドで販売していたラジオだったみたいです。

 

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